おむすびの企画・開発を担当しています。いくつかの取引先と協力して商品を形にしていきますが、おむすびは中食の中でも売り上げが大きいアイテムなので責任重大です。
市場調査、社内の売上動向を分析したうえで新商品の内容をプランニング、試作品をオーダーします。できたものを評価し、改良点を伝えながら、最終的に採用するものを決めます。
毎週、新商品が出ていて、年間でおよそ120種を開発します。定番商品をベースに30品ぐらいの中で新商品や季節のアイテムなど時期ごとに構成比を変えていきます。例えば、夏はさっぱりした梅アイテム、秋冬は温めておいしいおこわやドリアなどを増やしたりします。
梅や昆布、シーチキンなど定番アイテムはどうやっておいしくしていくかも課題です。米や海苔などの基本素材は一年に1度、全店舗の一年分を買いつけます。おむすびなどの基幹商品は価格を上げにくいので、価格の変動や買いつけ場所など、慎重に検討して原材料を調達します。もともと食べることが好きなので、全国の農家さんや海苔の漁場を訪れたりと、食の深いところまで学べるのが楽しいです。
「自分なりに納得したい」と高3で理転
高2のとき文系に進みましたが、高3で理転しました。大学の文系学部を調べてもピンとくるものがなく、自分の性格上、理系のように専門的なことに絞って学んだほうが納得できると思ったからです。数ⅢCや物理は苦手でしたが、化学や生物は嫌いではなかったので正しい判断でした。
大学や会社を選んだときは「これがしたい!」という明確な目標があったわけではありませんでした。それでも食べることや料理が好きだったので、食にはずっと関わってきました。大学では調理学研究室に入り、食べ物のおいしさについて研究。なぜ、おいしいと感じるか? おいしさを評価するために行う官能評価とは? どうすれば評価を行うパネラーになれるかなどを調べていました。
仕事では食に関するプランニング的なことをしたかったのですが、食品メーカーの企画開発や研究部門は狭き門。そこで、企業コンサルタントをしている叔父の助言で食品部門のある流通・小売業の会社を受け、その中のひとつがファミリーマートでした。入社前は商品開発に単純に憧れがありましたが、現実は売り上げという実績が求められます。厳しい面もありますが、数字で評価されるところは「答えがひとつ」という理系のシンプルさと通じるものがあります。あらためて自分に合っている仕事だなと感じています。
今はグルメな世の中です。コンビニもいかにおいしいものを届けるかがミッション。大学時代は漠然と選んだ研究室でしたが、当時の経験が活きています。大学や会社などの選択で迷ったときは周囲の意見を聞きつつ流されず、自分自身で決断すれば、その後の人生を後悔せずに送れると思います。
【リケジョブ・オフショット】
夏休みは必ず大好きな海外旅行に出かけています。今年はハワイ、去年はヨーロッパに行きました。旅行の楽しみは食です。ガイドブックなどで現地の名物を調べて、朝昼晩に何を食べるか決めてから旅のプランを立てています。
(『Rikejo』2017年9月号より。一部情報は取材時のものです)