商品開発部に所属し、お茶飲料の中味の開発と品質保証の仕事をしています。私は入社以来ずっと伊右衛門ブランドに関わっているのですが、伊右衛門は2004年に発売され、今年で14年目を迎えていています。
発売当初、私は高校生ぐらいだったのですが、伊右衛門を飲んで、すごくおいしかったんです。それで就職の面接のときから「伊右衛門ブランドで仕事をしたい」と言っていました。そして念願かなって、伊右衛門ブランドで仕事をしています。本当に夢のような話です。
サントリーでは、私のような中味の開発者、パッケージのデザイナー、ブランドマネージャーがチームとなって商品を開発していきます。私は2015年に新たにランインナップに加わった『伊右衛門 ジャスミン』の開発に関わりましたが、最初は「最近ジャスミン茶の需要が伸びているね」「トクホ(特定保健用飲料)のジャスミン茶は女性に人気が出そうだね」という感じで話し合っていきます。
その後、具体的な中味やパッケージデザインなどについてもイメージを固めていき、最終的に「こうしよう!」と決めたら、それぞれが持ち帰って、試作を繰り返しながら形にしていきます。実際にアイデア出しから商品になるまで、1年以上はかかりましたね。
商品をつくるとき、完成した中味を工場でペットボトルに入れるまでが私たちの仕事です。ラボでは最大でも10リットルほどの分量でしかつくりませんが、実際の工場の生産ではその1000倍以上のスケールになります。そうすると成分の抽出のされ方や香りの立ち方が違ったりしますので、現場での調整も必要となってきます。そういったところが大変ですが、どの過程も「商品をつくっている」という実感があって楽しいです。
「薬で人を助ける」発想から「食で人の役に立ちたい」へ
高校生のときから医薬系で人の役に立つ研究をしたいと思っていました。大学と大学院では、天然物化学という分野を専攻し、天然の生物から薬のもとになる新しい化合物を取り出すという研究をずっとやっていました。大学院では思いっきり研究に取り組みましたが、研究ではなかなか目に見えるものができないので、何か自分で形あるものをメーカーでつくりたいと思い始めました。就職を考えたとき、頭に浮かんだのは食品メーカーでした。薬は病気になった人や身体に不具合のあった人を助けるのが役目ですが、食品でずっと健康だったら薬は必要ありません。食で人の役に立ち、楽しませることを自分の仕事にしても面白いんじゃないかと思って、食品メーカーで就活することを決めました。
これまでずっとお茶の開発に携わってきましたが、他の飲み物にも挑戦したいです。サントリーはグローバル企業で、いろんな国で商品を販売しています。いつかは私が高校生のときに伊右衛門を飲んで「おいしい!」と思ったような感動を世界のどこかの国の人にも味わってほしい。それが今の夢です!
【リケジョブ・オフショット】
趣味は大学時代から始めたチアリーディングです。クラブチームに入って、大会にも出場しています。練習は会社帰りに週に2回ほどです。いい息抜きになっているし、とても楽しいです。
(『Rikejo』2017年9月号より。一部情報は取材時のものです)