私たちの生活の中には、「科学」で説明できることが多くあります。
見慣れている身の回りの自然を改めて科学的な視点で眺めてみると新しい発見や感動を知ることができます。毎日少しずつ変わる四季の変化から、いろんなサイエンスを親子で楽しんでみませんか。
今回は「染色の化学」です。
「あおばな」を知っていますか?
Yumi(著者、プロフィールはこちら)が琵琶湖のほとり滋賀県草津市を訪ねたとき、草津市の市花である「あおばな」が咲いているのを見つけました。
あおばなは大帽子花(オオボウシバナ)とも言い、ツユクサの仲間です。6~8月にかけて咲くコバルトブルーの花から得られる青い色素は京都の友禅染などの染め物の染料として使われてきました。
あおばなのような植物色素は、日本各地に見られます。
山形県の特産物である「べにばな」は作業工程によって黄色い染料としても赤い染料としても使うことができます。
日本を代表する染料のひとつ「藍(アイ)」は徳島県吉野川流域や渋沢栄一のふるさと血洗島でも栽培されています。藍が発酵する状況により様々な色合いの青色に染め分けることができる奥深い染料です。
このように、私たちの身近には植物色素の色を利用しておしゃれを楽しむ文化が見られます。
昔から染料として使用されてきた「あおばな」や「べにばな」や「藍」などだけでなく、身近に手に入る植物色素で布を染める「草木染め」を楽しむ人が増えてきました。
身近な植物色素を使って布を染めてみましょう。
植物の種類、色素抽出の方法、染める布の素材、染める時に使う材料によって七色に染め分けることができます。
自分の好きな色を探してみるのも楽しいですね。
植物染料いろいろ
繊維や木材、プラスティックなどのいろんな素材に色をつけるものを「染料(せんりょう)」と言います。
染料には「天然染料」と「合成染料」の2種類あります。
天然染料は「植物染料」「動物染料」「鉱物染料」の3種類に分かれますが、そのほとんどは植物染料が占めています。
一般的に植物染料で染めたものは「草木染め」と呼ばれています。
植物はいろんな色素を持っています。葉っぱが緑色に見えるのはクロロフィルという色素があるからです。
赤色や黄色や青色の花があるのは、フラボノイドなどの色素によるものです。ニンジンやトマトなどが赤いのはカロチノイドという色素によるものです。
植物の持つ色素の中には、布を染めるのに利用できる色素があります※1。
植物の色素は金属によって色が変わる【媒染(ばいせん)の楽しみ】
「布が染まる」というのは一体どういう状態のことなのでしょう?
ここで、リケラボの記事ペーパークロマトグラフィー(第4話)のお話が参考になります。
サインペンの色は、展開溶媒と共にろ紙にしみ込んで、いろんな色に分離していくのでした。色によっては展開溶媒と共に早く動いて、ろ紙の先の方まで移動するものもあれば、あまり動かずに原点付近に留まる色もありました。
色素は、溶媒とろ紙という繊維のそれぞれにどれくらい引き寄せられているかによってろ紙の上をどれくらい動くかが決まるという説明でした。
化学的には電気陰性度=でんきいんせいど、といい、ろ紙や色素化合物が弱いけれどもプラスまたはマイナスの電気を帯びていて、お互いどの程度引き付けあっているかということが関係してきます。
お互い電気的に引き付けあうと、布の繊維に色素が強く結合してしっかりと染まります。
また、染料は、布や木材、紙など染めたいものによって染まる色が違ってきます。
布でも綿やシルクなど布の種類によっても色合いが変化します。
これらは繊維を作っている物質も構造も異なり、帯びている電気の状態も異なるので、色素の吸着しやすさ(染まり具合)も異なってくるのです。
色をしっかりと濃く染める方法として、金属イオンを利用することがあります。
よく用いられるのはアルミニウムや鉄などですが、これらの金属イオンは布や紙と色素の仲を取り持ち、色素をしっかりと繊維に結び付ける役割を果たしています。
染色に用いる金属イオンが解けた溶液を「媒染液(ばいせんえき)」と言い、媒染液を利用して布を染める操作を媒染(ばいせん)と言います※2。
どんな媒染液を使用するかによって、染まる色が異なってくるのも草木染の楽しさの一つです。
布(繊維)いろいろとその特徴
私たちは身の回りの様々なものから糸(繊維=せんい)を作り出し、これを織って布を作っています。
一般的に、植物色素で染色されるのは天然繊維であり、合成繊維の多くは染めるのが難しいと言われています。
それは、繊維を作っている化学物質と色素との相性に関係があります。
天然繊維には綿や麻などの植物由来の「植物繊維」、羊やカイコなど動物由来の「動物繊維」、そして木材パルプなどから作られる「その他の天然繊維」に分けることができます※3。
植物繊維を染める時は前処理をしよう
植物繊維は主にセルロースという炭水化物(多糖類=たとうるい)で出来ているのに対し、動物繊維はたんぱく質が主成分となっています。
繊維の化学構造が異なるので、動物繊維の布と植物繊維の布では、染まりやすさに違いが見られます。
一般的にタンパク質主体の動物繊維は天然色素に染まりやすく、植物繊維はやや染まりにくいと言われています。
布(繊維)をしっかり染めるには、繊維の化学構造と色素を強く結びつけなければなりません。
植物色素に染まりにくい植物繊維は、前処理(まえしょり)と言われる作業を行うことによって染めやすくできることがあります。
前処理には豆汁(ごじる)と呼ばれる、大豆をすりつぶしてろ過した汁に浸しておく方法がよく用いられます※4。これは豆乳や牛乳でも代用することができます。
すべての布(繊維)は、ゴミや汚れを取り除いてきれいに洗っておく方がきれいに染まります。
洗濯する場合は柔軟剤は使用しないようにします。
柔軟剤の成分が繊維と結合し、染色液の色素を取り込みにくくするためです。
染色用布の販売店では、すぐに染色作業に使用できる状態の「染色用布」が売られていることがあります。
綿や麻布の場合は、豆汁処理済のものも準備されています。
染色液いろいろ
草木染めの仕上がりの色は、大きく7つの要素によって決まってきます。
それらは
- 使用する植物(生産地、収穫時期、生か乾燥かなど)
- 色素を抽出する条件(濃度、pHなど)
- 媒染剤の選択と使用方法
- 染色条件(温度、濃度、時間)
- 媒染条件(温度、濃度、時間、タイミング)
- 染布の種類
- 前処理の方法
です。
そのため、同じような条件で草木染めを繰り返しても、その時によってすべて異なる色合いに染まり、ひとつとして同じものができないことが魅力のひとつとなっています。
是非、自分自身のお気に入りの色に染めて、おしゃれを楽しんでみてはいかがでしょうか。
枇杷(ビワ)の葉を使ってシルクのストールを染めてみよう【酸性抽出法=さんせいちゅうしゅつほう】
シルクや羊毛などは動物繊維なので染めやすく、いろんな好みの色にかんたんに染めることができます。
染め用の布として、スカーフ、ストール、バンダナなどいろんなサイズのものを買うことができます。
シルクは比較的軽い布なので、使用する葉っぱも少なく、少量の染色液で染めることができます。
今回は、身近にある枇杷の葉っぱを使ってシルクのストールを染めてみましょう。
【用意するもの】
枇杷の葉(染めたいシルク布のおおよそ2倍の重さ)
染め用のシルク布(染め用布専門店から入手)
大きめのガラス容器(はちみつ、ジャムなどの空きビン)=フタをして密閉できるもの
木酢液(または食酢)
水
【前準備】
- ビワの葉の色素を抽出する。
ビワの葉を1㎝幅くらいにはさみで細かく切ってガラス容器の中にいれる。ビワの葉は細かければ細かいほど(断面が多ければ多いほど)色素がよく抽出できる。しかし粉のように細かくしてしまうと、あとで取り除くのに大変です。
ガラス容器に、ビワの葉がすべて浸るくらい木酢液(あるいは食酢)を入れる。
緩くフタをして室温で数日~1週間置いておく。1日に1回程度、軽くかきまぜる。
色素が抽出されて濃い色に着色したら、ビワの葉をすべて取り出す。水を加えておおよそ2倍にうすめる。
【木酢液による酸性抽出法(さんせいちゅうしゅつほう)※5】
- 染め用シルク布を水に浸して30分以上置いておく。
- シルク布を水から取り出して強く絞る。
- ビワの葉の色素が抽出された木酢液の中にシルク布を浸す。染色液が布全体にいきわたるように割りばしなどでほぐしながら布の端から少しずつ浸してゆく。
- 布全体が染色液に浸らない場合は、水を足してよくかき混ぜる。かき混ぜ不十分だと染ムラができます。
- 1日に1回程度軽くかき混ぜて数日~1週間程度置いておく。
- 染色液からシルク布を取り出して、水道水でよく水洗いする。
絞ったときに濃い色が出なくなるまで、そして木酢液のにおいがしなくなるまでよく洗う。
風通しの良い日陰でよく乾かす。
ビワの緑色の葉からは想像ができないくらい美しいサーモンピンク色に染まります。使っているうちに優しいオレンジベージュ色に変化してきます。
一年中使えるシルクのストールは、こんな色合いだといつも心がウキウキしそうです。
タマネギを使ってシルクのストールを染めてみよう【中媒染法=なかばいせんほう】※6
タマネギはお料理によく使う野菜です。お料理にはタマネギの中の白い部分を使い、一番外側のオレンジ色のうすい皮は捨ててしまいます。
このうすい皮の色素は布を染めることができます。
発色がよく、初めてでも簡単に上手く染まる色素として知られています。
媒染剤にミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム)を使い、シルクのストールを染めてみましょう。
【用意するもの】
タマネギの皮
水切りネット(台所の三角コーナーなどに使うストッキングタイプ)
シルクの染め用布(ストールタイプ)
焼きミョウバン(粉末タイプが便利)
大きめの鍋
大きめの容器(洗面器、ボウルなど)
水
【前準備】
- 染めたいシルク布の重さを測っておく。
- 染め用シルク布を水に浸しておく。
- 5%ミョウバン水溶液を作る。
焼きミョウバン25gを約500mLの水に溶かします。500mLペットボトルに焼ミョウバンを入れ、半分くらいまでぬるま湯を入れてフタを閉めてシャカシャカとよく振ると早く溶けます。溶けたらさらに水を加えてペットボトルをいっぱいにします。
4.タマネギ抽出(ちゅうしゅつ)液を作る。
タマネギの皮を布の重さの1~2倍量用意し、水切りネットに入れます。
大きな鍋に7~8割の水を入れ、水切りネットごとタマネギの皮を浸します。
弱火で15~20分間煮て色素を抽出したあと、タマネギの皮を取り出します。
【タマネギとミョウバンによる中性抽出・中媒染(なかばいせん)法】
中性抽出とは、お湯で煮ることによりタマネギの皮のフラボノイド系色素を取り出しす方法です。
中媒染法とは、2回の染色作業の間にミョウバン媒染液で色素を布に定着させる操作を行って染める方法です。
- 水に浸しておいたシルク布を固く絞って水を切ります。
- タマネギ抽出液の入った鍋の中にシルクを入れ、弱火で10~15分煮る。布にまんべんなく液が浸るように割りばしなどでほぐしながら時々かき混ぜます。
- 布を取り出して固く絞ります。抽出液は捨てずにできるだけ鍋の中へ戻します。熱いので注意!取り出した布は軽く水で洗います。
- 絞ったシルク布を5%ミョウバン水溶液に15~20分浸します。色ムラができないように時々割りばしでほぐしてかき混ぜます。(「中媒染」と呼ばれる工程)
- 5%ミョウバン水溶液からシルク布をとりだし、しっかりと絞ったあと、再びタマネギ抽出(ちゅうしゅつ)液に浸してよくほぐしながら弱火で15~20分煮ます。
- なべからシルク布を取り出して水洗いし、風通しの良い日陰でよく乾燥させます。ドライヤーや扇風機を使用すると早く乾きます。
タマネギの色素は鮮やかな山吹色に染まります。
ステキな色に染まったでしょうか。
ミョウバンではなく木酢鉄(鉄媒染法)で行うと、渋いカーキ色になります。
一般に、ミョウバン媒染は黄色~赤系統の色に、鉄媒染は深い緑~深い青系統の色に染まることが多いようです。
上手く工夫すれば、これら2色のぼかし染めや染め分け模様を作ることもできます。
草木染めの条件を変えて、好きな色を見つけてみよう
草木染めの楽しさは、選んだ植物と布の種類、そしてその色素の取り出し方と染める方法によって、出来上がりの色が異なることにあります。
同じ染色条件でも、用いる植物や染める時の濃度や温度が微妙に異なるので、染め上がった色は微妙に違った趣があります。
身近な色素を使って、いろんな染め方をしてみましょう。
染色用の布によっては、ほつれたり破れたりするのを防ぐために「力布(ちからぬの)」と言う、布端を補強する布が付いていることがあります。
染色して乾燥した後は力布は取り外してしまうので、これを「色見本」に使って草木染の条件の記録に利用すると、自分が染めたい色を見つけやすくなります。
これは、Yumiが草木染するたびにまとめてきた色見本の一部です。
先の話にも登場した紫蘭(シラン)など、お庭の植物から得られた色素を利用しています。
染めた色は湿気や温度によって色が変わることがあるので、布切れはラップに包んでから貼り付け、涼しく暗い所に保存していますが、それでも古くなったものは少し色が薄くなっているようです。
「色」というのは私たちの身の回りに多く存在しています。
食べ物も、花も、石や岩も、ありとあらゆるものに色素は存在しています。
植物だけでなく、私たちのすぐ近くから得られるものを使って「草木染め」を楽しむことができます。
草木染めの材料はどこから手に入れる?
草木染には、布や媒染液などいろんな材料が必要です。
その多くは普段使っている食料品や調味料を利用することができます。
いくつかの例を紹介しておきます。
・染色色素
布を染める色素は身の回りの植物に多く存在しています。
お庭の植物、植木屋さんで売っている植物の葉っぱ、いつも飲んでいるハーブティーや紅茶、食べている果物、野菜、いろんな色を利用してみましょう。
藍や紅花など染色用の材料は、ネットショップや手芸店などで買うこともできます。
・ミョウバン
薬局で「焼ミョウバン」が売られています。粉末タイプが便利です。
・鉄媒染用の鉄
DIYショップなどで売られている小さな鉄くぎを使うことができます。また、鉄で出来た針金も利用できます。
木酢鉄はホームセンターなどで園芸用として売られていることがあります。スーパーマーケットなどで安い食用米酢を買うことでも入手できます。
・染め用布
お店に売られている綿やシルクの白地のTシャツを染めたいときは、中性洗剤を用いてしっかりと汚れを落とし、柔軟剤を使用しないでしっかりと乾かします。
その後、綿は豆汁で前処理を行います。
インターネットでも、染色用の生地を買うことができます。
綿、麻、ウール、シルクなどの素材で、必要な生地には前処理も済んでいる品物もあります。
ハンカチやスカーフ、Tシャツ、エプロン、コースター、エコバッグなど、すでに使いたい形になっている品物もあります。
Yumiは倉敷にある染色・染物材料店のサイトから購入することが多いですが、京都市内をはじめ全国のお店の染め用生地をネットで買うことができます。
***もっと知りたい方へ***
※1)花、葉、根、樹皮など多くの植物が草木染めに利用することができます。
比較的はっきりとした色に染まり、素材が入手しやすいものには、ハーブティーに使われるハーブや、シナモン、アニスナツメグなどのスパイス、ストロベリーやブルーベリーなどの果実、コーヒーや紅茶などの飲料、シソやタマネギなどの食材などがあります。
※2) 一般的に、ミョウバンを用いると黄色~オレンジ~ピンク系統の暖色に、木酢鉄を使用すると深い緑~濃青色系統の色に染まることが多く見られます。葉に含まれる色素の発色を鮮明にするには銅媒染が向いているともいわれています。
媒染液を使用しないで染色する方法もありますが、媒染液を使用すると次のような利点があります。
- 媒染液によって繊維に色が強く定着するので、退色を遅らせ美しい色を長く楽しむことができる。
- 媒染液に使用される金属イオンとの反応によって、色素がそれぞれ特徴的な色に発色し、同じ色素から染められる色の種類とデザインの可能性が広がる。
発色は、使用する媒染液の種類や濃度、染色時間などによっても変化する。
一般によく用いられるのは、アルミニウムイオンや鉄イオンである。
銅イオンは緑色や青色系の色が美しく染まるが、濃い銅媒染液は少々扱いに注意が必要である(下記参照)ため、一般家庭で気軽に染色を楽しむには最初にアルミニウム媒染液か鉄媒染液を試してみるのがよいでしょう。
<銅イオンを含む溶液について>
水質汚濁防止法における排水基準・生活環境関係項目によると「銅含有量」は3 mg/L 以下であると定められている(JIS0102 52.4)。
これは特定事業場に適応される規則であり、一般家庭排水でもそのまま下水に流すことは推奨できません。銅イオンは水酸化カルシウム等で簡単に沈殿させることができるので、家庭排水として捨てる場合でも低濃度にする工夫をするとよいでしょう。
沈殿物は、少量なら水気を切ってビニール袋に入れて燃えるゴミに、上澄み液は下水に流して捨てます(各市町村のごみ出しルールに従ってください)。
銅イオンは少量だと人体には無害で、実際私たちの体の中にも常に少量の銅イオンがあります。強い殺菌作用があり、一日3 mg/L程度の銅イオンを接種することが推奨されています。不足すると、貧血、発育遅延、骨の異常などを引き起こすことがあります。
10円玉の表面に青緑色のサビが見えることがあります。これは緑青(ろくしょう)といい、昔は有害だと言われていましたが、昭和59年に東京大学により無害であることが証明されています。
1972年に起きた「足尾銅山鉱毒事件(栃木県、群馬県)」でも知られるように、銅イオンは魚や貝などの川や海に住む生き物に取り込まれ体内に蓄積されます。
これらの水産物を人が食べると、人体に大量の銅イオンが取り込まれると、タンパク質の変性(すなわちガン)などの体の不調を引き起こし、死に至る場合もあります。
※3) 植物繊維は主にセルロースという炭水化物(多糖類=たとうるい)で出来ているのに対し、動物繊維はたんぱく質が主成分となっています。
「布(繊維)が色で染まる」というのは、繊維の化学構造と色素が強く結びつくという現象であると言えます。
繊維と色素によっていろんなメカニズムがあり、組み合わせによって染まりやすかったり染めにくかったりします。
一般的にタンパク質主体の動物繊維は天然色素に染まりやすく、植物繊維はやや染まりにくいと言われています。
※4) 豆汁(ごじる)の作り方と布の前処理の方法
- 乾燥大豆18gをたっぷりの水に浸けて一晩置く。
- ふやけた大豆をミキサーに入れ、水300mLを加えてよくつぶす。
- 布で濾して得られた液体が豆汁(ごじる)である。
- 染めたい植物繊維布(綿や麻)は、予め柔軟剤を使わないでよく洗っておく。
- 布を豆汁に5分以上浸して、まんべんなく豆汁をよくしみ込ませる。
- 固くしぼって、天日干しでしっかりと乾かす。
豆乳や牛乳でも代用できるが、豆汁ほど発色はよくないことが多いです。
牛乳は布に独特のにおいが残ることがあります。
※5) 酸性の溶液で色素を抽出する方法を「酸性抽出法」といい、木酢液や米酢などが使われることが多い。
アルカリ性の液で色素を抽出する方法は「アルカリ性抽出法」と呼ばれる。炭酸水素ナトリウム(重曹)がよく用いられるが、木灰なども使われることがある。
強いアルカリ水溶液は動物繊維を傷める可能性があるため、アルカリ性で抽出された色素では綿や麻などの植物繊維の布が染められることが多い。
※6) 媒染液を使用するタイミングによっても、染め色が変化することがあります。
中媒染法とは染色と染色の間に媒染液につける時間を設ける方法で、染色に用いる色素が熱に強く、濃い色をしっかりと長く色持ちよく染めたいときに選択します。
これとは別に「同浴媒染法」と呼ばれる方法もあります。染色液の中に媒染液を加えて染色と媒染を同時に行う方法で、この場合も熱に強い色素を用い、短時間で染めることができるので、より手軽な方法として利用されています。
媒染液を用いないで、染色液だけで染める方法もあり、「無媒染法」と呼ばれています。
(参考文献)
梅原亜也子著「ハーブ染めレッスン」(株式会社 誠文堂新光社)2010年9月29日発行
「ハーブで染める。」(伊良部島ハーブベラ畑)
http://www2.bweb-arena.com/herbvera/mysite1/dyeinghajime.html
染色のための化学、放送大学印刷教材 衣生活の科学 第3章「染色と染料」
https://www.mukogawa-u.ac.jp/~ushida/chem.htm
草木染めについて 「繊維の種類」(株式会社マイトデザインワークス公式ページ)
https://maitokomuro.com/md20150821-2/
はじめよう!草木染め~初心者さんの入門編~
https://www.rakuten.ne.jp/gold/gosyo/rakuten/some/some2007.htm#1
著者プロフィール:
Yumi
理学修士(ペプチド化学)。環境分析、バイオ細胞実験、マルチスケールの有機合成、HPLCでのキラル分離など幅広い業務を経験。2018年10月よりパーソルテンプスタッフ研究開発事業本部の社員。現在、高分子合成の研究職として勤務。
甲種危険物取扱者、有機溶剤作業主任者、毒物劇物取扱者などの専門資格の他、花火鑑賞士、温泉分析書マスター、京都検定、AEAJ認定アロマテラピーインストラクター、ハーブコーディネーターなどの民間資格を所持し、児童対象の科学実験教室ボランティアなどで活かしている。
趣味はバイオリン、旅行、写真、散策、アロマクラフトなど。
(本記事は「リケラボ」掲載分を編集し転載したものです。オリジナル記事はこちら)
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