自由研究におすすめの科学実験をRikejoと連携しているリケラボ編集部のライターが実践! 彩り鮮やかなオリジナルキャンディーを作ったり、ドライヤーで揚力を発生させたりと、とくに小学生・中学生が楽しめる5種類の科学実験を選定し、挑戦しました。自宅にあるモノで手軽にできるものを選んだつもりが、なかには失敗してしまったものも…。失敗も踏まえて再検証を行った後日談も参考に、皆さんもぜひチャレンジしてみてください!
実験①:【低学年向け】ドライヤーで「揚力(ようりょく)」について学ぼう(所要時間の目安:15分)
<必要なもの>
・ドライヤー
・紙風船、ピンポン球などの丸いモノ
<手順>
- ドライヤーの冷風で風を出す。
- 風が出ているところに丸いモノをそっとのせる。
- ドライヤーを斜めにして浮き続けるか検証する。
※ドライヤーを温風にするとやけどをする恐れがあるため、必ず冷風で実験してください。
<解説>
空気の流れの性質を使って「揚力(ようりょく)」を発生させる実験です。ドライヤーで浮かせている丸いモノの空気は、下側よりも上側を流れる風の方が速く流れています。風の流れが速い上側の気圧が低くなることで、上にモノを持ち上げる「揚力」が生まれます。そのため、軽くて丸いモノであれば、ドライヤーの風の力で浮かすことができます。
▼挑戦!
道具を準備。
今回選んだ丸いモノは、①風船、②紙風船、③ピンポン球、④プラスチックのどんぶり、⑤クッションボール、⑥パン。
①→⑥の軽いモノから順番に検証します。
実験前は④プラスチックのどんぶりまでは浮かせられるかな?と予測を立てていました。
(ドライヤーは強風・弱風の2段階調整できるモノを使用)
まずは、風船から。ドライヤーの風量を弱風にして検証。
見事、浮かせることができました。
揚力の実験なので、ここからドライヤーを斜めに傾けても浮くのか?を検証します。
斜めにしても問題なく浮きました。
続いて、紙風船の検証に。
反時計周りに回転しながら浮きました。
上の風の方が速く流れているため、回転が生じていると考えられます。
続いて、ピンポン球。
予測に反して、落ちてしまいました。風量を強風に変更しても同じ結果。
……、え、終了??と一旦なったのですが、実験内容としてイマイチだし、このままでは終われない!ということで、風の勢いが増すように一工夫。
ドライヤーの通風口を紙で覆い、先端を絞りました。
風の範囲を狭めることで、風の勢いが増すのでは?と考えたのです。
このアレンジしたドライヤーを使ってみると…。
見事、浮かせることができました!
続いて、プラスチックのどんぶりへ。
あえなく、失敗…。
しかし、まだ諦めきれないので、どんぶりの縁の部分を切って検証してみることに。
平らになっている縁の部分を切り落とし、どんぶりの形状がより丸くなるよう調整して再検証します。
成功しました!
予想していた④プラスチックのどんぶりまでは浮かすことができましたが、⑤クッションボール、⑥パンはさすがに浮きませんでした。
今回は家庭用のドライヤーを使用しましたが、風量の強い送風機などを使えば、もっと重いモノを浮かすことができます。
▼応用編
この実験を応用して、こんなこともできます。
丸いモノを両面テープなどでつないで輪にすれば、くるくる回転しながら浮き続けます。
◆リケラボ編集部レポート
わくわく度:★★★★☆ お手軽度:★★★★☆ 学びの深さ:★★★☆☆ 丸いモノに風を当てるポイントを掴むまで少し時間がかかるかもしれませんが、コツを掴めば誰でも簡単に実験できます。浮くか・浮かないかの結果だけでなく、今回のレポートのように浮かせるための工夫を考えながら実験すれば、より学びが深くなりそうです。①風量の調整、②モノを丸くする、この2点を踏まえてチャレンジしてみてください。 |
実験②:【低学年向け】水は細い隙間をのぼる!?絵の具のお引越し実験!(所要時間の目安:ガーゼ1日、紙類15分)
<必要なもの>
・コップ3個
・絵の具
・ガーゼなどの布類、もしくはティッシュやトイレットペーパーなどの紙類
<手順>
- コップを並べ、水を入れる。
- 絵の具を使って、青色の水と黄色の水を作る。
- 手順2の水が入ったコップを左右に置き、中央にカラのコップを置く、
- 紐状になるようにガーゼをねじり、コップどうしをつなぐ。
<解説>
液体には、「毛細管現象(もうさいかんげんしょう)」と呼ばれるせまい隙間をのぼる性質があるため、ガーゼの編み目をのぼり隣のコップへ移動します。この液体の性質を使って青色の水と黄色の水を混ぜることで、緑色の水をつくることができます。
▼挑戦!
道具を準備。
コップに水と絵の具を入れて、黄色の水と青色の水を作ります。
コップの間に紐状にしたガーゼを置きます。
この状態でしばらく放置します。
2時間後…。
黄色と青色の水が、少しずつ移動してきました。
このまま1日放って置くと、中央に緑色の水ができます。
それにしても、時間がかかり過ぎのような…。
▼後日談(再検証)
後日、改めてティッシュを使って実験してみました。
こちらが5分後の様子。
ガーゼに比べると、水の移動がとても速い。
2時間程度で完全に移動しました。
水の移動速度は、布類か紙類で大きく変化するようです。
◆リケラボ編集部レポート
わくわく度:★★☆☆☆ お手軽度:★★★★★ 学びの深さ:★★☆☆☆ 「毛細管現象」について、すごく簡単に学べるシンプルな実験です。ガーゼ、ティッシュ以外にも、キッチンペーパーやタオルなども使って、それぞれの移動速度についてレポートすればより学びの内容が深くなりそうです。 |
実験③:【高学年向け】密度の違う液体を使ってカラフルタワーをつくろう(所要時間の目安:15分)
<必要なもの>
・縦長のコップ
・さまざまな液体
(例)ハチミツ/牛乳/食器用洗剤/食品着色料/オリーブオイル
・重さの違う物体
(例)ピンポン球/ミニトマト/クリップ
<手順>
- コップの中に、ハチミツ、牛乳、食器用洗剤、食品着色料で色をつけた水、オリーブオイルの順番にゆっくり入れる。
- 手順1で出来上がった液体タワーの中に、クリップ、ミニトマト、ピンポン玉を入れる。
<解説>
ハチミツ、牛乳、食器用洗剤、水、オリーブオイル(植物油)はそれぞれ密度が違う液体です。そのため、密度の違うものをひとつのコップに入れると密度の高い液体はコップの下に、密度の低い液体はコップの上にきます。液体の中に固体を入れても同じ現象が起きるため、密度が低いピンポン玉は沈みません。
▼挑戦!
道具を準備。
最初に、一番密度の高いハチミツをコップに入れます。
ハチミツの後は、牛乳を加えていきます。ゆっくり注ぐことがポイントです。
今回は、ストローを活用して注ぎました。
牛乳の層ができた後、食器用洗剤を加えていきます。
牛乳と同じようにゆっくりと注ぎます。
このまま洗剤を入れ続けたのですが…、
食器用洗剤と牛乳が混ざってしまいました。
書籍やインターネットの下調べ情報によると、もっときれいな層ができるハズだったのですが…。今回使用した、食器用洗剤の密度が高かったのかもしれません。
一旦このまま、赤色の食品着色料を加えた水とオリーブオイルを追加しました。
思っていたイメージと違うのですが…。
最後にミニトマト、クリップ、ピンポン玉などの物体を加えましたが、牛乳・食器用洗剤・水の層がぐちゃぐちゃしてよく分からない状態に。
実験失敗という悲しい結果に。
▼後日談(再検証)
牛乳と食器用洗剤が混ざってしまった前回の失敗を踏まえて、改めてトライしてみることに。
牛乳の密度を高くするため、ハチミツを加えた牛乳で試してみたところ…
きれいに層が分かれたカラフルタワーが完成しました。
(上から4層目は、牛乳3:ハチミツ2の割合で混ぜたアレンジ牛乳です。)
このカラフルタワーに、今度は物体を入れていきます。
今回はクリップ、ミニトマト、氷、ピンポン球を使用しました。
下から、液体と物体が密度の高い順に並んでいます。
◆リケラボ編集部レポート
わくわく度:★★★★☆ お手軽度:★★☆☆☆ 学びの深さ:★★★★★ 事前にリサーチした参考資料のようなカラフルタワーを完成させるため、いろいろ一人で考えている時間が学びの深さになりました。失敗の過程を踏まえて、成功法を導き出すのが実験の醍醐味だと改めて痛感しました。 |
実験④:【高学年〜中学生向け】ゼラチンを使ってプルプル石鹸をつくろう(所要時間の目安:30分+冷蔵2時間)
<必要なもの>
・シリコン型の容器
・ゼラチン
・ハンドソープ(液体)
・食品着色料
<手順>
- お湯でゼラチンを溶かす。
- 手順1にハンドソープを入れて混ぜる。
- 手順2に食品着色料を混ぜる。
- 手順3をシリコン型の容器に流し込む。
- 冷蔵庫で冷やす。
- 冷蔵庫から取り出す。
<解説>
ゼリーやムースを作るときに使われるゼラチンには、冷やすと固まる性質があります。ハンドソープの水分がゼラチンのタンパク質の中に閉じ込められるため、プルプルと肌触りの良い石鹸ができあがります。自由研究のときは、ゼラチンの量をいろいろ試しながら固さの違う石鹸をつくってみましょう。
▼挑戦!
道具を準備。
今回は、5g、10g、15gとゼラチンの量をそれぞれ変えて実験するため、別のコップに分けます。
各100mlのお湯でゼラチンを溶かしていきます。
お湯の温度は40℃前後。ダマになりやすいので素早くかき混ぜるのがポイントです。
それぞれのゼラチン液に、ハンドソープ30mlと食品着色料を入れて混ぜます。
違いが分かるよう、5gは赤色、15gは緑色、30gは黄色にしました。
それぞれをシリコン容器に流し込み、冷蔵庫で冷やします。
そこから冷蔵庫で冷やすこと約2時間。
固まったハンドソープをシリコン容器から取り出していきます。
黄色(ゼラチン30g)はしっかり固まっていました。
一方、赤色(ゼラチン5g)は…
容器から取り出す際にちぎれてしまいました。
完成したハンドソープがこちら。
実際に手を洗ってみることに。
泡立ちはどれも同じでしたが、固さのある黄色(ゼラチン30g)の石鹸が、一番使い勝手が良さそうです。
◆リケラボ編集部レポート
わくわく度:★★★★★ お手軽度:★★☆☆☆ 学びの深さ:★★☆☆☆ 楽しくオリジナルのハンドソープを作れる実験でした。DIY気分で取り組めます! |
実験⑤:【中学生向け】砂糖の結晶を育てて、鮮やかなロックキャンディをつくろう(所要時間の目安:30分+結晶を育てるのに1週間)
<必要なもの>
・グラニュー糖
・食品着色料
・木串
・割り箸
・ヘラ
・片手鍋
<手順>
- 片手鍋に水とグラニュー糖を入れて、強火にかけながらヘラでかき混ぜる。
- 手順1を冷ました後、食品着色料を加える。
- 木串の半分を濡らし、グラニュー糖にくぐらせる。
- 手順2をグラスに入れる。
- 手順4の砂糖水に手順3の木串を入れて割り箸で固定する。
- 手順5を数日間置いて、砂糖の結晶を育てる。
- 結晶が大きくなったらグラスから木串を取り出して乾燥させる。
<解説>
砂糖粒はたくさんの糖分子が規則的なパターンで結合した小さな結晶です。木串についた砂糖粒をグラスに入った砂糖水につけて置くことで、糖分子がくっつき大きな結晶(キャンディー)へと育っていきます。
▼挑戦!
道具を準備。
(この撮影が2度目の挑戦。以前、1度失敗しています。一度目は水200mlに対し、グラニュー糖ではなく上白糖800gで検証しました。今実験に関して、情報源によって使用する砂糖の種類や量が違います)
200mlの水を入れた片手鍋をコンロに置き、グラニュー糖600gを加えて強火にかけます。この実験でつくるキャンディは濃度の高い砂糖水を使う必要があるため、たくさん砂糖を入れましょう。
火にかけながらヘラを使って静かにかき混ぜます。砂糖はすぐに溶けますが、しばらくかき混ぜ続けることがポイントです。沸騰したら火力を弱め、約3分間火にかけます。透明のシロップ状の液体になったら火を止めます。
火を止めたら、砂糖水が冷めるまで待ちます。
冷めた後はコップに砂糖水を入れ、食品着色料を加えます。
この時に、香り付けとしてレモンの絞り汁などを加えるのもおすすめです。
食品着色料を加えた後、砂糖の結晶をつくるための木串を用意します。
木串の先端を切ってから、使用しましょう。
コップに入れた砂糖水に一度木串を浸け、濡れた木串をグラニュー糖にくぐらせます。
木串に砂糖粒をしっかりくっつけることで、大きなロックキャンディをつくりやすくなります。
砂糖粒のついた木串を乾燥させた後、砂糖水の中に入れます。
コップの底に木串がつかないよう、割り箸に挟んで固定します。
あとは、コップを数日間、放置するだけ。
サランラップやキッチンペーパーなどでフタをすると、ホコリや虫が入らず安心です。
毎日チェックして、どれくらい結晶が育っているか確認しながら完成を待ちましょう。
・・・
2日後。砂糖と水が分離してしまいました…。
下に砂糖が固まって、結晶が育たない状態に。
今回も失敗です…。
▼後日談(再検証)
3度目の正直!ということで再度チャレンジ。
今度はグラニュー糖の量を減らして砂糖水を作りました。
(グラニュー糖2:水1の割合に変更。前回はグラニュー糖3:水1の割合でした)
1日後。
しっかり結晶が育っています。
1週間後。
ようやくロックキャンディが完成しました!
◆リケラボ編集部レポート わくわく度:★★★★★ お手軽度:★☆☆☆☆ 学びの深さ:★★★★☆ 3度目にしてようやく成功。カラフルタワーと同じように失敗を繰り返したことで、より学びの内容が充実した気がします。砂糖の結晶が育ってロックキャンディが出来上がるまで時間はかかりますが、毎日の経過を見るのも楽しい実験でした。 |
【5種類の実験に挑戦してみての感想】
いくつか失敗もしましたが、失敗から学びを得ることこそ科学実験の醍醐味のひとつ。
「失敗ではない。うまくいかない方法を発見したのだ」とのエジソンの言葉があるように、失敗した実験の方がより深い学びにつながったことも実感できました。
どの実験をテーマにするにしても【予測】→【検証】→【振り返り】→【再検証】のプロセスを意識して、ぜひ失敗も楽しみながら、自由研究に取り組んでいただければと思います!
<参考書籍>
『でんじろう先生のおもしろ科学実験室 2』 米村でんじろう・著/新日本出版社(実験No.1)
『理系アタマがぐんぐん育つ科学の実験大図鑑』 ロバート・ウィンストン・著/新星出版社(実験No.3、5)
『なぜ?の図鑑 科学マジック』藤嶋昭・著/学研プラス(実験No.2)
(本記事は「リケラボ」掲載分を編集し転載したものです。オリジナル記事はこちら)
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リケラボ編集部より
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