こんにちは。
お返事が遅くなって申し訳ありません。

さて，無理にでも医師になっておいたほうがよい，というか，やっぱり私たち科学者の業界でも「医師免許」というものは安定したもの，とでも言いましょうか，そんな感じで認識しています。免許があって，なお「医師」ですから，日本中どこへ行ったってやろうと思えばその免許を使って仕事ができるんです。その点，私のような大学教員の仕事はそうそう転がっていないと思います。（私はほんとう，ラッキー，とよく感じます）
実際，工学部とか理学部とか農学部とかを卒業してしばらくポスドク（博士号を取得した人が得る任期付の仕事）をやっていて，やっぱりなーとおもって，医学部に入り直して，医師免許を取る人は少なくありません。ただ，年月とお金がべらぼうにかかることは言うまでもありません。だって，普通に考えて，博士卒だと４＋２＋３年費やした後にさらに医師になるために６年間大学に通わないといけないですから。そこまでしても，医師免許はやっぱり魅力的，という風に聞きます。

で，研究者であることのやりがいはやっぱり，研究に打ち込むことができるというところでしょう。医師で研究者もやる方はたくさんいます。というか，医師も研究しないといけない場合は多々あります。そうすると，昼間は病院に勤めていなければならないので，研究は大体夜中とか，とにかく時間を見つけてやる，という先生方をよく見ます。そうすると何が起きるかというと，なかなか結果が出ないんです。一方，私のように研究メインで仕事をすると，まぁ，事務雑用は避けて通れませんが，臨床医＋研究者をやっている方々よりは研究できます。しかも，臨床医と同等の研究もできて，同じ立場に立つことだってできます。（私はまだまだですが・・・。）

そこで，研究メインにするか，それとも医学部に行くか，の境目ですが，わたしがたくさんの先生方を見てきて言えることは，医師は人間が好きな人がやる仕事。とくに，私の先輩に医師で大学院に入学して研究もやっている方がいましたが，その方は博士号を取るのを断念されました。なぜかというと「自分はやっぱり，外来でおじーちゃんたちと話をしているほうが楽しいから，研究はやめる」ということでした。なるほどな～とおもいました。研究者が人間嫌いが多いかというと決してそうではありませんので，心配しないでください。

ただ，人間と話す・触れ合うのが好きか，それとも，その病気「そのもの」を解明したいのか。後者であれば研究者のほうがいいかもしれません。

工学部などでも、医療に関する研究をしている研究室は多くあります。
おそらく、そのような領域に関心があるものと思います。
しかし、工学的な技術を人間に応用するフェーズに入った時に、医師免許を持っていない人間にはできない実験というのも多く、もどかしい思いをするケースを見てきました。

人間に直接係るような研究に関心があるのであれば、医師免許があると役に立ちます。