半導体のグローバル企業として世界17ヵ国に拠点を持ち、スマートフォンやパソコンなどの電子機器はもちろん、人工知能や5Gといった最先端分野に不可欠な半導体メモリを開発・製造しているMicron(マイクロン)。日本では広島県に最先端の生産拠点を置いていますが、ここ数年、女性の従業員が増え、女性のエンジニアがさまざまな部署で生き生きと働いています。

世界約60ヵ国以上で働きがいに関する調査を実施している『Great Place to Work』が発表した“2022年度版 日本における「働きがいのある会社」ランキング ベスト100”の大規模部門でもマイクロンジャパンが前年(第20位)からランクを上げ、第14位に選ばれました。

マイクロンで女性が活躍できる理由はどこにあるのか? 今回はサイエンスエンタテイナーとしてさまざまなメディアで活動する五十嵐美樹さんに、マイクロンで働くふたりの先輩リケジョにインタビューしていただきました。
 

五十嵐美樹(いがらし・みき)
サイエンスエンタテイナー・科学のお姉さん。
1992年東京都生まれ。上智大学理工学部機能創造理工学科卒業後、国内の大企業でエンジニア職を経て、東京大学大学院修士課程及び東京大学大学院科学技術インタープリター養成プログラム修了。現在は子どもから大人まで幅広い層に向けた実験教室やサイエンスショーを全国各地で主催、講師を務める。特技のヒップホップダンスで魅せる「踊るサイエンスショー」は好評を博している。
 
則末優衣(のりすえ・ゆい)
ファシリティ・エンジニア(生産施設エンジニア)
入社:2019年4月入社
出身校:横浜市立大学大学院生命医科学研究科生命医科学専攻
 
浅井優希(あさい・ゆき)
イクイップメント・エンジニア(装置エンジニア)
入社:2020年10月入社
出身校:香港城市大学工学部機械工学科

 

画面左が則末さん、右が浅井さん。撮影のため一時的にマスクを外しています

五十嵐:今日はお忙しい中、ありがとうございます。私は工学系出身なのですが、おふたりは大学時代にどんな研究をされていたのですか?

則末:私は神奈川県の出身で、大学も地元の神奈川。大学時代は工学系ではなく、理学部で脳神経の研究をしていました。分野で言うと、生命医科学です。マウスを使って記憶に関わる海馬や神経の構造を調べていました。

五十嵐:そうなんですか。お仕事から考えててっきり工学系の出身だと想像していたのですが、生物系だったのですね。浅井さんはどんな研究をされていたのですか?

浅井:私は東京都出身で、小学校の5年生から海外で暮らしていました。最初はマレーシアに住み、中学時代からは香港に移り、そのまま香港の大学に進学しました。大学では機械工学を学んでいました。私の通っていた大学は専攻や研究室がなかったので、機械工学のカリキュラムを広く浅く学びました。

五十嵐:そこからおふたりは就職活動をされたわけですが、マイクロンを目指した理由を教えてください。

則末:私は最初、食品系や製薬系ばかりを見ていたのですが、「せっかく就活しているんだったら違う分野も見てみよう」と思い、就職説明会に出かけていきました。そこで今、私が所属しているファシリティ(生産施設)の部署のマネージャーとお会いし、面接に誘われ、「じゃあ、受けてみようかな」と軽い気持ちで出かけていったんです。そうしたら、そのマネージャーが面接官としていらっしゃって、面接のはずなのに、気がついたら私のほうがずっと話を聞く側になっていました(笑)。とても積極的で、しかも真摯に私の質問にも対応してくれて、きっと面白くてやりがいのある会社なんだろうなと思いました。それに半導体は最先端の技術ですし、マイクロンはグローバル企業です。私自身、もともと世界を相手に働きたいという気持ちが強かったので、別に業界にこだわらなくてもいいのかなと思い、マイクロンで働くことを決めました。

五十嵐:実際に入社した後も、やっぱり面白い方がたくさんいますか?

則末:私が入社した時、ファシリティの部署では2番目の女性エンジニアでした。周りは男性ばかりで、お父さんの年齢に近い方が多かったのですが、皆さん、すごく親切に教えてくれました。

五十嵐:もともと脳神経の研究をされていて、半導体というまた少し違った分野の会社に就職を決めたわけですが、周りにも同じような方はいらっしゃるのですか?

則末:私の同期はそういうケースが多くて、女性は生物系の研究をしている人が半分ぐらいいました。

五十嵐:就活の時に大学の研究から分野を変えるか、変えないかと悩む人もいます。でも則末さんが今、活躍されているのを見ると、悩んでいる方の希望にもなると思いますね。浅井さんはいかがですか?

浅井:私は機械工学を学んでいたので、モノづくりには関わりたいと思っていました。最初は建築業界に興味を持っていたのですが、偶然、マイクロンの就職説明会でお話を聞く機会がありました。そこで特に魅かれたのは社風でした。自由で快適な雰囲気で、女性社員の採用や男女平等に力を入れていて、働きやすそうだなと感じました。

左が則末さん、右が浅井さん

五十嵐:今、浅井さんがお話されているのを聞きながら、則末さんがメチャメチャうなずいていましたね。

則末:年齢や性別に関係なく、プロジェクトを任せてもらえるんです。就職説明会の時に「どんどん任せるから」と話していたのですが、まさかそこまでとは思っていなかったのです(笑)

浅井:そうですね。いきなり戦場に放り込まれるような感じですけど(笑)

五十嵐:最初から仕事を任せてくれるなんて、すごくいいですね。おふたりは今、どのような仕事をされているのですか?

則末:私はファシリティの部署に所属し、水に関わる設備を管理しています。半導体チップの生産には、不純物が一切入っていない超純水が求められます。また生産で使用した後に排水を川に流しますので、環境に影響を与えないように無害化の処理をしたり、水質維持管理を主な業務としています。水質維持のための設備をメンテナンスするのは現場のオペレータの方がやってくれます。私たちファシリティ・エンジニアは新しく装置を入れ替えたりする情報を生産エンジニアから得て、水の使用量や排水の水質変動にどうすれば対応できるのかと考え、必要に応じて設備の改造・増築を行います。

ヘルメットと作業着で「純水製造設備」の管理をする則末さん(写真提供:マイクロンメモリ ジャパン)

五十嵐:工学系に進む女性の割合はOECD諸国の中でも日本はワースト1と言われていますが、則末さんの設備管理を行う部署では他にも女性のエンジニアが活躍されているのですか?

則末:昨年、一気に増えまして、7名の女性エンジニアが入りました。全部で10名くらいの女性がいます。私と同じ生物系の方もいますし、工学系の出身者もいます。いろんな分野から来ています。

五十嵐:それはいいですね。それでは浅井さんの仕事内容を教えて下さい。

浅井:私はMFG ME WETという部署で、イクイップメント(装置)のエンジニアとして働いています。半導体を作る際の洗浄の工程に使用される装置の管理、改善が主な業務です。私は実際にメンテナンスで機械を触ることはないのですが、長期トラブルがあった時にトラブルを解析して、解決するという仕事をしています。装置が正常に動くためにはメンテナンスが大事なのですが、その土台を作ったり、手順書を作成したりしています。パソコンでの作業が7割ぐらいですが、イクイップメント・エンジニアは実際に現場に行って、装置を見ることができます。稼働していない装置があれば、ベンダーさんや現場にいるエンジニアやテクニシャンと実際に装置を触ってみたり、開けてみたりして、どこが悪いのかを見るんです。私はその作業が好きなので、今の仕事は自分に合っているなと思います。

クリーンルーム用ウェアで作業する浅井さん(写真提供:マイクロンメモリ ジャパン)

五十嵐:浅井さんの部署でも女性メンバーは多いのですか?

浅井:私が所属するチームには8人のメンバーがいますが、そのうち3人が女性です。メンバーの半分が工学系で、残り半分が化学系ですね。

五十嵐:則末さんの部署と一緒で、いろんな学部から来ているんですね。今度は現在の仕事のやりがいを教えてください。

則末:やりがいでもあり大変なところでもあるのですが、私が担当する水の設備は工場全体に関わってきます。もし何かトラブルが発生し、生産に影響が出る作業をしなければならない時はすごく大変になります。どういう作業を、どんなスケジュールでやるのかを決めて、生産側にも了承を得なければなりません。さらにグローバルにも報告を上げて、手順の確認などをする必要があります。すごくシビアな面もありますが、達成した時にはやりがいがあります。

浅井:私は生産の現場なので、トラブルがあったとしてもすぐに装置を立ち上げ、生産を通常の状態に戻さないといけません。時間とプレッシャーとの勝負になります。でも達成した時はやりがいを感じます。例えばたまに装置の大きな改造をすることがあります。その際は他の部署と協力しながら作業を進めていくのですが、プロジェクトのとりまとめ役をやらせてもらったことがありました。それを無事に終わらせた時はうれしかったですね。

五十嵐:まだ入社されて1年とちょっとで、それだけの仕事を任せられるんですね。でも困ったこともあるのではないですか。例えば、周りが全然言うことをきいてくれない、ということはありましたか?

浅井:そんなことはありませんし、怒られたことも一度もないですよ(笑)。新人はわからないことが多いですが、周りは素晴らしいエンジニアの方ばかりで、その方たちにいろいろと質問をし、助けてもらいながら少しずつ進めていきました。若い人が質問しやすい環境を作ってくれる先輩がたくさんいます。

則末:私もそう思います。ミーティングの時でも、せっかく会議に参加しているんだったら、「何か発言しないの?」という感じです。若い人でも積極的に発言しようよ、というスタンスでミーティングが行われています。

五十嵐:正直、マイクロンの自由な雰囲気でコミュニケーションをする企業文化にすごく驚いています。他にもマイクロンの職場環境の良さがあれば、ぜひ教えてください。

則末:マイクロンは従業員リソースグループ(ERG)という活動に力を入れています。いわば有志による社内組織なのですが、その草分け的なグループが『マイクロン女性リーダーシップネットワーク(MWLN)』です。私はMWLNの委員会に入り、女性がより働きやすく活躍できる職場を実現するための活動をしていますが、他のERGグループと共同でイベントや地域貢献活動を企画したりもしています。

五十嵐:それはいいですね。浅井さんも実際にERGに携わっているんですか?

浅井:私は他のERGで活動していますが、MWLNにも在籍しています。MWLNは理系の女子の教育にも力を入れているので、その相乗効果で社内の女性の働き方が全体的に改善しているように感じます。ERGには、女性を応援するMWLN以外にもさまざまなグループがあります。『Mosaic(モザイク)』という異文化の理解を深めるというグループや、若いエンジニア育てる『マイクロン・ヤング・プロフェッショナル(MYP)』などがあります。

則末:障害者の方でも働きやすい環境を作ろうという『Capable(ケイパブル)』、LGBTQのチームメンバーへの理解と支援を目的とした『PRIDE+Allies(プライド プラス アライズ)』、経験豊富なベテラン社員を中心に構成された『TE@M(チーム)』というグループも活動しており、各グループがさまざなま勉強会やイベント、地域貢献活動を行っています。

MWLNで活動する則末さん(写真提供:マイクロンメモリ ジャパン)

多国籍のメンバーによって構成されているMosaic(写真提供:マイクロンメモリ ジャパン)

各ERGは様々なイベントや地域貢献活動を行っています(写真提供:マイクロンメモリ ジャパン)

五十嵐:ERGにはいろんなグループがあり、相互理解や多様性を育み、その結果として年齢や性別、国籍などに関係なく受け入れて、誰もが自分らしく働くことができる環境が整っているのですね。

則末:そうですね。やりたいと手を挙げる人にどんどん仕事を任せていくという社風があります。そこがいいですね。

五十嵐:マイクロンはダイバーシティ(多様性)、イコーリティ(公平性)&インクルージョン(包摂性)(以下DEI)を尊重する企業文化の醸成に力を入れていますね。実際に働いていてDEIの企業文化を感じるエピソードはありますか?

則末:一番感じるのは採用の時に、人種や出身国はもちろんですが、大学時代に学んできた学部や分野に関係なく、受け入れているところです。あとは性別や専攻分野、経験やバックグラウンドにかかわらず、まずは現場で仕事をさせてくれます。経験がないからといって差別をしない。逆にできるためにはどうすればいいか、と考えている会社だと思います。それがダイバーシティなのかなと感じますね。

浅井:私は、半年ぐらい前に仕事でつまずいたことがあった時のことです。経験のある方とのコミュニケーションがうまくいかなったことが原因だったのですが、そのことを私の上司に相談しました。その時、「マイクロンでは国籍や性別、年齢、経験の有無にかかわらず、すべてのチームメンバーを公平に受け入れるDEIという文化を大切にしているんだよ。つまずいているのは君のせいじゃない。経験が少ない若い人が活躍できる環境をつくることがマイクロンのマネージャーの仕事だから」と言われて、ビックリしました。仕事をうまくできなかったのは、私が経験不足だったからかなと思っていたのですが、そうではないことを教えてもらいました。それからは、すごく気持ちが軽くなって、仕事にも楽しく臨めています。

五十嵐:国籍や性別などの多様性だけではなく、経験のあるなしに関しても配慮がされているんですね。感動しました。最後に将来のエンジニアとしての夢を教えて下さい。

則末:私はエンジニアとしてどんどんスキルを上げるというよりも、リーダー職を目指しています。ファシリティでマネージャー職についている女性は増えつつありますが、まだ多くはないのが現状です。リーダー職につく女性が増えてくれば、職場環境がもっと変わってくるだろうし、女性の視点でもっと発言できると思います。将来は人を育て、マネージメントできるようになりたいですね。

五十嵐:ファシリティにさらに女性の視点が入れば、環境も大きく変わると思いますので、それは同じ女性として頑張っていただきたいです。浅井さんは?

浅井:私はエンジニアとしてさらにスキルアップを目指したいです。ただ決められた作業するだけではエンジニアと呼べないと思います。例えば改善策をたくさん出して、将来的にはこの装置には私のアイデアが入っているんだよ、と言えるようになりたいです。

五十嵐:今日、マイクロンの女性エンジニアとお話しさせていただき、ふたりとも責任感とリーダーシップを持って仕事に取り組んでいるので、目が生き生きしていると感じます。また自分の担当する部署の仕事のことだけでなく、組織のこと、将来のキャリア、社会とのつながりのことも考えながら日々の業務を行い、グローバルな視点でDEIを意識しながらコミュニケーションを取られています。本当に素晴らしいですね。最後にリケジョの後輩にひとこといただけますか?

浅井:とにかくマイクロンは自由で、自分のアイデアを持っている人にはすごく働きやすい会社だと思います。

則末:私自身がそうだったのですが、就活の時に分野をこだわりすぎて、業界を狭めてしまっていました。それはもったいないので、広い視点で将来を決めていったほうがいいと思います。もし世界を相手に大きなことをしてみたい、自由にやってみたいという方にはマイクロンはオススメだと思います!

五十嵐:ふたりの話を聞いていたら、私もマイクロンで働きたくなってきましたね(笑)。今日はありがとうございました!

提供/マイクロンメモリ ジャパン株式会社
https://jp.micron.com/
 
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(構成・文/川原田剛 写真/井上孝明)