結論から申し上げますと、まず1点、国立大学の出身なら研究職に就くうえでは有利であること。
そしてもう1点、「純粋に調剤や医薬品の販売に関わる薬剤師は一時的に余るかもしれないけれども、長期的に見れば自然減と医療の高度化・医療関係者の専門化により、逆に活躍の場が広がるかもしれない」ということです。

まず前者の「国立大学なら研究職に有利」ということですが、薬学部が4年制だった時代から、国立大学の学生は「現場の」薬剤師になるよりも大学院に進学して研究職に就く志向が高く、国家試験はあまり重視しない傾向があると聞いています。
この傾向は、男女関係ないそうです。
（私は私立出身ですが、実際、「研究職に就くなら国立の大学院を目指さないとダメ」というようなことを言われました）
その背景には、パイプといいますか、大学―研究室―企業の繋がりが私立に比べて圧倒的に太いということが言えるのではないかと思います。

また後者についてですが、一見、経営難などで街の調剤薬局が淘汰されたり、処方せんを扱わないドラッグストアでも「登録販売者」という制度が導入されたことにより、副作用の比較的少ない一般用医薬品ならその「登録販売者」が販売できることになったので薬剤師が余るのではないか、というふうに見えます。
しかし、これから10年で定年退職等による「実際に働いている薬剤師」の減少は進むと考えられます。そして、病院では高度な専門知識（例えば腫瘍や感染症など）を持った薬剤師のニーズは高まるでしょうし、調剤薬局においては薬学的知識だけでなくコミュニケーション能力を持ち合わせた薬剤師が必要になるでしょう。また、私が属しているドラッグストア業界でも、まだまだ薬剤師でないと販売できない医薬品（第1類医薬品と呼ばれるものです）がありますし、また「登録販売者」をサポートするのも薬剤師の仕事であると思っています。
ですので、よほど知識が欠けているとか、コミュニケーションが取れないといった問題がない限り、「薬剤師が余る」という話は気にしなくて良いと私は思います。

陰陽師の弟子さん、

大体のことはアンダーザミントさんが書かれていたのですが（そしてワタシも大いに賛成するところなのですが）、そうですね、そもそも「何故私大の方が合格率が高いか」ご存知ですか？

全ての私大がそうとはいいませんが、かなり多数の私大薬学部（特に私立の薬大）は卒業要件として必要数の単位取得だけではなく「卒業試験」と称するものを課しています。この「卒業試験」はいわゆる国家試験とほぼ同等あるいはそれ以上の内容を、国家試験と同じ形式で受けさせる形をとることが多いようです（ようです、というのは当てはまらない大学もあるからです）。学生たちはこの「卒業試験」に合格しない限り卒業させては貰えず、もちろん国家試験を受けることも出来ません。

もう解りますね？つまり、（全ての、とはいいませんがかなりの数の）私大では「確実に国家試験を通る人間にのみ国家試験受験資格を与えている」のです。当然落ちるわけありませんよね、だって「国家試験に受かるため」にトレーニングされた学生ばかりなのですから。一方で国立大はそういった対策をほとんどしていません（しているところもあるようですが）。ですから合格率も下がって当然なのです。ところが入試の難易度（＝学生のレベル）・授業のレベルは国立大の方が得てして高いので（例外はあります）就職の際には非常に有利に働くことになります。

要するに「国家試験の受験勉強は自分でやって確実に受かるようにすればいい」だけの話なのです。一部の私大を除き、基本的に潰しが利くのは国立大の方です（ちなみにワタシは国立大から私立薬大の博士課程に進み、……「何で国立からわざわざ来たの！？」といわれました・笑）。大丈夫、自信を持って下さい。