The Science Behind PIXAR

こんにちは! お茶大リケジョ部のかすみです。

突然ですが、みなさんはPixar Animation Studio(ピクサー・アニメーション・スタジオ)をご存知でしょうか?

名前を聞いてピンとこなくても、このロゴを見ればピンとくるのではないでしょうか。

そう、『トイ・ストーリー』『モンスターズ・インク』『カーズ』などの多くの人気作品を生み出してきた、アメリカの映画制作会社です!

そのPIXARの作品づくりのひみつを解き明かすアジア初の体験型の展覧会が4月13日より六本木ヒルズで開催されています(9月16日まで)。

CGであるはずなのにまるで本物のような作品を生みだすPIXARの作品づくりのひみつを、人気作品のカギとなる8つの制作工程を実際に体験しながら紐解いていくこの展示会。

ただ単に制作工程の説明がされているだけではなく、実際にその技術を体験しながらひみつを紐解くことができる展示会でした。

今回の記事では、そんな『PIXARのひみつ展〜いのちを生みだすサイエンス〜』のレポートをしたいと思います!

 

東京のまちなみを眺めながらの展覧会

展覧会が行われているのは、六本木ヒルズ展望台 東京シティービュー。

なんとこの展望台、六本木ヒルズ52階にあり、東京のまちを見下ろしながら展覧会を楽しめるという一石二鳥の展覧会となっています。

窓から見える景色はこんな感じ。

この日は曇っていたこともあり全体的に青い写真になっていますが、東京を眺めながらの展覧会というのはなかなかいい気分でした(笑)。

余談ですが東京タワーが見える側から展覧会が始まり、東京スカイツリーが見える側が展覧会の終わりになっています。

それでは、いよいよ本題に入っていきましょう!

会場に入ると、まずはじめに映画の制作工程の大きな流れがわかるようなブースが設けられていました。

その流れというのは写真のような感じ。

ライターがストーリーを書き、アーティストがコンセプトアートを制作することから始まり、

①3Dモデルでキャラクターの形をつくる:モデリング

②キャラクターを動かす筋肉や関節をつくる:リギング

③髪や服などの外見を決める:サーフェイス

④物語の世界を撮影する:セット&カメラ

⑤キャラクターを動かしてみる:アニメーション

⑥キャラクターの髪や服を動かす:シミュレーション

⑦昼や夜などの明かりを調節する:ライティング

⑧映画館などで楽しめる状態にする:レンダリング

という8つの工程を経て完成に至るということでした。

今回は、①モデリングと⑧レンダリングの展示について簡単にレポートしたいと思います!

 

平面図形を回転させて立体をつくる”モデリング”

まずは、モデリングの工程からです!

モデリングと聞くと、3Dモデルでキャラクターの形をつくるという、写真のような工程を想像する方が多いのではないでしょうか。

やっぱりキャラクターは重要ですもんね。

キャラクターをモデリングしないことには、CGアニメーションは始まらないと言っても過言ではないのではないでしょうか。

しかし、キャラクターのモデリングばかりしていても一向に映画制作は進みません。

ストーリーを成立させるためにはキャラクターの他に建物や小物などが必要なわけですが、モデラーが3Dの立体物を作る際に中高生のみなさんもよく知っているような数学的手法を使うことがあるそうです。

それが、2D形状をある軸を中心にして回転させて3Dの立体物をつくるという手法です。

展覧会では、実際に手を動かすことで2D形状から3Dの立体物が生まれ、それが映画のあるシーンに登場するまでを体験することができました。

まさか、中学校で習ったような数学の内容がモデリングに生かされているとは!

キャラクターの3Dモデルを見ると難しそうだと感じるモデリングも、簡単なものであれば自分でもできそうでちょっとワクワクしませんか?

 

3Dから2Dヘの”レンダリング”

先ほどちょっとだけ紹介したモデリングから始まり、いろんな工程を経て(気になる人は是非展覧会に足を運んでみよう!)⑦ライティングの工程でバーチャル上のシーンは完成します。

残すは最終的な映像へと仕上げる”レンダリング”と呼ばれる工程のみ。

ここで気になるのは”レンダリング”という言葉ではないでしょうか。

PIXARの映画制作にとってレンダリングは非常に重要な工程ですが、日常生活でこの言葉を聞くことなんてめったにないのでは……?

パネルによると『レンダリングは、150万個のピクセルの色を1フレームごとに決定していく作業です』。

パネルの”レンダリング”という言葉の下に『バーチャルな3Dシーンを2Dイメージ画像に変換する』ってあるけど、どういうこと……?

なんだか納得できなかったので、ちょっと”レンダリング”について調べてみました。

イメージとしては、現実世界でのカメラ撮影だそうです。

3次元空間の物体を2次元画像にすること……なんとなくイメージできましたか?(私はふわっとイメージできました。)

ただカメラの撮影と違うのは、レンダリングには非常に時間がかかるということです。

シーンによってレンダリングにかかる時間は長かったり短かったりしますが、平均24時間(パネルの『インサイド・ヘッド』では平均29時間!)かかるそう。

このレンダリングのコーナーでは、ボタンを長押しすることで3Dシーンが2Dイメージ画像にだんだん変換されていく様子を観察することができました。

長く押せば長く押すほどレンダリング時間が長くなり、だんだんとなめらかで美しい画像になっていく様子がわかります。

しかし、視力が良くないせいか(コンタクトは装着していたのに……)、途中から画像の変化を感じられなくなってしまった私……。

むやみやたらと画質を良くすればいいというわけでもなく、コスパを考えなければならないということか?と一人で考えていました。

ちなみに、1秒24フレームらしいので、映画を完成させるためには途方も無い時間がかかってしまう……!

もちろん1台のパソコンでレンダリングするわけではありませんが、それでも全てのレンダリングにはかなりの時間を要するようです。

 

”レンダリング”も数学的に

先ほど『レンダリングは、150万個のピクセルの色を1フレームごとに決定していく作業』と書きましたが、このピクセルの色を決定するのにも数学的な方法が用いられています。

例えば『カールじいさんの空飛ぶ家』のこのシーン。

いろいろな色の風船がありますが、そのうちの一つである赤い風船を拡大してみると……あれ、赤だけじゃない⁉︎

確かに、現実世界でもこういう風に見えそうな気もするけど、どうやってこの色に決定したのでしょうか。

そこで使われるのが物理で出てくる光を波として考える考え方(物理の授業で習ったのにほとんど忘れてしまった……)とレンダリング方程式だそうです。

あるピクセルが光によってどのような色に見えるか(波長がどうなるか)についての式をたて、それをひたすら計算することで風船を構成するピクセルの色を決めることで、パネルのように必ずしも赤とは限らないけれど全体でみると赤い風船が完成します。

 

PIXARのひみつ展〜いのちを生みだすサイエンス〜』レポート、いかがでしたでしょうか?

今回ご紹介したのはほんの一部でしかなく、実際にPIXARで働く方たちによる映像があったり、動かしたり触ったりすることで実際に体験できたりシミュレーションできたりと、それぞれの工程についてより詳しく楽しく知ることができます。

キャラクターたちと写真を撮れるコーナーもたくさんあったので、インスタ映えすること間違いなし!

六本木ヒルズ4階には『『トイ・ストーリー』ヒストリーウォール』もあって、そちらもインスタ映えしそうなスポットでした!

もうすぐ夏休みだと思いますが、関東在住・東京旅行の予定がある方は、六本木ヒルズに立ち寄ってみてはいかが?