医学科の”研究”ってどんな感じなんだろう……

こんにちは!お茶大リケジョ部のかすみです。

”研究”とは何かを探るために、いろんなリケジョにインタビューしようとしているこのシリーズ。

第一弾の白衣を着て実験室で実験をする先輩リケジョに聞いてきました編から随分と時間が経ってしまいましたが、ついに第二弾を投稿することになりました!

今回インタビューに協力してくれたのは小学校から高校までずっと同じ学校に通っていた同級生のリケジョ・Sちゃん。

彼女は医学部医学科の学部3年生(取材時時点)です。

医学部と他の学部(理学部や工学部など)では大学生活が全然違うイメージですが、そんな医学部医学科で頑張るSちゃんにちょこっとだけ医学科での生活を聞いてみました。

”医学科での研究”と聞くと白衣を着てラットを使った実験室で実験している様子を思い浮かべがちですが、実際のところはどうなのでしょうか?

 

”研究”っていったいなんだ?〜先輩リケジョに聞いてみた〜

第二弾は、医学部ってどんな研究をするの⁉︎ 医学科女子に話を聞いてきた編! はじまるよ〜!

 

医学部医学科3年生として勉強に勤しむSちゃんに以下の2つの質問をしてみました。

①医学部生活、ぶっちゃけどうなの?

②そもそも研究ってするの?

シンプルな質問ではありますが、全くどんな生活を送っているのかも見当のつかない医学部生活。

個人的に意外な結果を得ることができました。

医学部を目指している人も、医学部なんて考えたこともなかったわ!という人も、ちょっと覗いてみてはいかが?

 

医学部生活は楽しいけど、テストが辛い

①医学部生活、ぶっちゃけどうなの?

かすみ:Sちゃん、久しぶり〜! インタビュー引き受けてくれてありがとう! 今日は医学部生活についてと研究について教えて欲しいんだけど、いいかな。

Sちゃん:いいよ〜! なんでも聞いて(笑)。

かすみ:それは助かる! じゃあ早速、医学部生活ってぶっちゃけどうなのか聞かせて欲しい!

Sちゃん:OK! 毎日結構楽しいんだけど、とりあえず言いたいのは、テストが本当に辛い

かすみ:暗記量やばそうだよね……。

Sちゃん:それもあるんだけど、とにかく難しいのに再試を落とすと即留年なのが辛い!

高校まではそこそこ勉強出来てたけど(Sちゃんは中高ともに常に成績学年上位だった)、医学部に入ってくるのはみんな私より勉強できる人たちだったから、後ろから数えた方が早いんだよ(笑)!

かすみ:えっ、そうなの⁉︎ Sちゃんでも後ろから数えたほうが早いなんて……上には上がいるんだね。

Sちゃん:そうなんだよね。成績上位の人たちと私じゃ違う生き物なんじゃないかって思うこともあるよ。すごい人は、本当にすごい。

シナリオをもとにグループで話し合って病気を診断する授業があるんだけど、すごい人はもう今の時点で診断できちゃうからね。病気の特徴とかが頭にちゃんと入ってるってことなんだけど……本当にすごい。

私はまだまだわかんなくて、いつも盛り上げ役になっちゃう(笑)。

かすみ:『ドクターG』(総合診療医ドクターG:NHKの医学・医療情報クイズバラエティ番組)みたいな授業もあるんだね〜!

でも、留年率がめちゃくちゃ高いって言われてるところで留年せずに毎年ちゃんと進級してるのすごいじゃん!

Sちゃん:まあね。毎年同期の何人かは進級できなくて後輩になるし、先輩の何人かも進級できなくて同期になるからね……。

しかも私の学年の子達はみんな優秀みたいであんまり留年しないから、毎年同期の人数増えてるの(笑)。

かすみ:不思議な世界すぎる……。

偶数学年はテストがきつい!

Sちゃん:でも今年はテスト的にはましな年だったんだ。

かすみ:どういうこと?

Sちゃん:よく言われるんだけど、医学部は偶数学年がきつい! テストとか進級的な意味でね。

2年生はとにかくテストが多くて内容も難しくて、4年生はStudent Doctorっていうのになるための試験があって、6年生は卒業試験からの国家試験!

Student Doctorの試験に受からないと5年生の時に行くはずの病院実習にいけないってことで、それに落ちると5年生になれないの。

それから、卒業試験は4つ再試になると強制留年! 卒業試験に合格できないってことは国家試験にもまず受かることはないからね。

かすみ:なるほど。めちゃくちゃ大変そうだねえ……。そんなにテストがあって忙しいと、バイトとかサークルとか、他のことする時間あんまりなくない?

Sちゃん:それが、今のところはそうでもないの。バイトは家庭教師やってるし、私の大学の医学部はサークルがあんまりなくて部活が多いんだけど、部活にも入ってたし、学祭の運営もやってる!

かすみ:うそ、思ったより活動的! もしかすると、テスト期間以外の生活はちょっと私と似てるかも。

Sちゃん:そうかもしれない!

かすみ:でも、聞くまでもなくテスト期間の大変さは比べものにならないんだろうな……。

Sちゃん:たぶん、そうだと思う。大学受験なんて比べものにならないくらい大変! テストが1か月ごとにあることもあるし……。

かすみ:1か月ごと⁉︎ どういうこと?

Sちゃん:この月は内科のテストで、次の月は外科のテスト……みたいな感じってこと。

かすみ:なるほど。医者って言ってもいろいろ専門があるもんね。

Sちゃん:そうなの! 全部やらなきゃいけないんだけど、本当に大変。

あと、教科書1冊丸々暗記する勢いじゃないと厳しいこともよくあるよ。覚えなきゃいけないのはわかってるんだけど辛い〜。

かすみ:あれ……? 私の場合、教科書1冊やりきることなんて滅多になかったような……?

Sちゃん:本当に(笑)?

かすみ:大学とか学部によるとは思うけど、私は割とゆるめな学科にいるから単位取るのもそんなに大変ではないし、ちゃんと単位とって卒論書けば卒業できる私の大学生活とは全然違う……!

Sちゃん:確かに。医学部の大学生活と他の学部の生活ってかなり違ってそうだし、あんまり想像できないかも。

私たちは卒論を書くってことはないから卒論書くのすごいなあって思う!

かすみ:そっか、卒論書かないのか!

 

女性が医師として仕事を続けるためには……

②そもそも研究ってするの?

かすみ:ということは、もしかして研究ってやらない⁉︎ 私の大学の場合は3年後期に研究室配属があってそれから研究が始まるんだけど、そもそも研究室っていうシステムってあるの?

Sちゃん:あることにはあるよ。私も今、研究室入ってるし。

かすみ:お! じゃあ私と一緒だね。

Sちゃん:うーん、一緒っていうか……私の大学の場合は2年生の冬くらいに研究室に配属されて、しばらくそこで研究をするんだ。

私は5月に学会発表があるからまだ研究室にいるけど、もう研究が終わってる人もいるみたい。

かすみ:ほー。研究って、やっぱり人体とか病気についてのテーマなの?

Sちゃん:もちろんそういう人もいるけど、私は全然違うテーマだったよ。

私は『女医が仕事を続けるために必要な環境』っていうテーマで研究したんだ〜。

かすみ:へえ! そういうテーマで研究することもあるんだね。面白そう! 内容って教えてもらってもいい?

Sちゃん:いいよ! そもそも前提として、女医の就業率の推移がM字カーブの曲線になるっていうのがあるんだけど……。

かすみ:そのグラフ、社会か何かの授業で見たことある気がする! 女性全体についてだったかもしれないけど……。

Sちゃん:そうそう、あのグラフ。女医にも同じことが言えるんだよね。

それで、そのM字を改善するためには何がいるんだろう?っていう疑問を解決するために、『女医が仕事を続けるために必要な環境』っていうテーマにしたんだ。

かすみ:そういうテーマ設定もあるんだね。研究方法はどういう方法にしたの? こういう内容だと実験するわけにもいかないし、アンケートになりそうな気がするんだけど……。

Sちゃん:正解! 35歳から45歳の、私の大学出身の女医さんを対象としてアンケートに答えてもらったの。240人にアンケートを送ってみたんだけど、なんと有効回答は125人だったの! その中で子育てしたことがあるのは86人だったんだ〜。

かすみ:アンケートの話聞いてると、医学科の人の話聞いてるというより、私の研究室(建築計画系)の先輩の話聞いてるみたいだ(笑)。

それはさておき、240人に送ったのに最終的に分析できるのが86人分のデータって、なかなか集まらないもんだねえ。

Sちゃん:そうだよね。本当は今休職・離職中の人に答えてもらいたかったんだけど、アンケートは送ってみたもののそういう人たちからはほとんど回答がなかったんだ。だから、勤務を中断した経験のある人たちとない人たちとで比べてみることにしたの。

かすみ:なるほど〜。

Sちゃん:結論としては、仕事を離れるかどうかには家族の協力が最も大事だってことがわかったよ。

それはそうって結論なんだけど……業務内容の変更をしても意外と勤務中断をする人が多くて、無理なものは無理!ってことみたい。

旦那さんや義理のお母さんの協力がないと子育てしながら働くのは大変っぽいね。

院内保育とか時短勤務も、勤務を中断したかどうかの結果には関係ないって言えたよ。

あと個人的に面白いと思ったのは、業務内容によって勤務中断した人の割合が違うことかな。

外科系だと100%中断してて、内科でも60%以上中断してたんだけど、麻酔科だけ勤務中断が少なかったの!

麻酔科ってそんなに人数必要なわけでもないからシフト制なことが多くて、それが結果に影響したのかもしれないんだ。

かすみ:へえ〜! 面白いね。

Sちゃん:こういうことから、どんなに近くに家族がいても、どんなに行政が頑張って育児サポートの整備しても、家族の協力がなければ仕事を中断せずに続けるのは難しいって言えるってなったんだ〜。

 

仕事・家庭・プライベートの重要度の違いは?

Sちゃん:あとは子供の有無で仕事・家庭・プライベートの重要度も比べてみたんだけど……結果はどうなったと思う?

かすみ:うーん。仕事に関してはあんまりわかんないけど、子供がいるとプライベートよりも家庭を優先してそうなイメージ。

Sちゃん:まさにそう!仕事に関しては、子供の有無では有意差は見られなくて、どちらのグループも重要視してることがわかったよ。

でも子供がいる人についてはかすみの言う通り、自分のことは後回しで家庭の方を重要視しているってことがわかったんだ。

かすみ:そうなんだ……! ところで、アンケートって人によって答えにばらつきがあると思うんだけど、そういう重要度の差とかってどうやって調べたの?

Sちゃん統計解析ソフトを使って検定をしたよ!

かすみ:やっぱりそうなんだ……! 医学部での研究って聞くとマウスを使った実験とかを思い浮かべてたけど、そうじゃなくて集めたデータを統計的に解析するような研究もあるんだね。ちょっとびっくり。

今日はたくさん話してくれてありがとう!

 

いかがでしたでしょうか?

次回もお楽しみに!