久しぶりにシャーレを覗いてみた!

こんにちは! お茶大リケジョ部のかすみです。

東大の五月祭で行われたイベント『〜農2の美味しい講義〜 食産業の最前線』の講演をレポートしているこのシリーズも、今回で3回目になります。

第1回は”味わって体験する編”として明治の講演『Bean to Bar チョコレートの体験』を、第2回は”実験して体験する編”として大塚製薬工場の講演『経口補水液ってなに?』をレポートしました。

そして第3回の今回は”シャーレを覗いて体験する編”としてヤクルト本社の講演『どうなってまんねん!? 腸内さいきん』をレポートしたいと思います!

 

五月祭2日目朝、前日のように運営の方に連れられて講演参加者みんなで教室に移動すると、机の上になんとなく違和感が……。

前日は参加者それぞれの机の上に講演する会社の製品が置かれていたのに、その日はなんと……

謎のシャーレが置かれていたのです!

写真にあるように、『問題:4種類の菌のどれがL.カゼイ・シロタ株でしょうか。』とプリントされた白い紙の上にA、B、C、Dとラベルの貼られた4つのシャーレが置かれていました。

Aは黄色くて、BとDは全体的に黄色いけどちょっと紫のところもある、Cは全体的に紫色という感じになっていました。

これだけで問題の答えがわかる人がいたらすごい!(わかる人にはわかるみたいですが……。)

さっぱりわかりません!という人がたくさんいることを信じて、講演内容をレポートしていきたいと思います(笑)!

 

そもそも、L.カゼイ・シロタ株というのは乳酸菌の一種で、ヤクルトの創始者である代田稔が発見した菌らしい。

耐酸性が非常に高いようで、口から摂取しても胃酸に負けることなく生きたまま腸内にまで到達するとのことでした。

ヤクルト400にはそのL.カゼイ・シロタ株が400億個も入っているそうで、ものすごくびっくり!

(400億個ってどれくらいなんだろう……?)

若干話が逸れてしまいましたが、その”L.カゼイ・シロタ株は乳酸菌である”というのが1つ目のヒントです。

これがどういうことが、リケジョのみなさんならもうお分かりかもしれません。

……そう、”酸を出す”ということです!

これがわかったところで、さらにもう一つヒントが!

このシャーレの培地はもともと紫色なのですが、お酢を垂らすと黄色くなるのです。

これでもう答えがわかった人も多いかもしれませんね。

……が、せっかくなのでアップで見てみる&ちょっと匂いを嗅いでみたいと思います!

 

シャーレをよく見てみる&匂いを嗅いでみると……

Aのシャーレはなんだか全体的に黄色いですね。

それから、うまく写真が撮れなかったのですが、全体的に小さな丸い点々が広がっています。

匂いはちょっと酸っぱい匂い。牛乳を放置したらこうなりそうだなあって感じでした……。

お次はBのシャーレです。Aに比べてみると紫色の培地が残っているのがわかります。

それから、Aと同じように小さな丸い点々が広がっていました。

匂いはちょっと酸っぱい匂いですが、Aに比べるとマイルドな感じ(伝われ)。

そしてCのシャーレ。紫のままですね。

Cと書かれたラベルの上の方にAやBに比べると大きな丸い点があるのが見えました。

匂いはなんとも言えない匂い。酸っぱい匂いではなかったのですが……あの匂いを表現するには表現力が足りません……。

そして最後はDのシャーレ。やや紫色が残っていますね。

AやBと同じように、小さな丸い点が広がっていました。

匂いはマッキーのような匂い……ということはアルコールの匂いかな?

 

さて、何かヒントになりそうなものはありましたでしょうか?

もう答えがわかってしまった人も多いと思うので、結果発表です!

『問題:4種類の菌のどれがL.カゼイ・シロタ株でしょうか。』の答えは『Aのシャーレ』でした!

2つ目のヒント:”シャーレの培地にお酢を垂らすと紫色から黄色に変化する”というのは、お酢が酸性であることを考えると”シャーレの培地は酸と反応し紫色から黄色に変化する”ということであることがわかりますね。

そのことと、L.カゼイ・シロタ株は酸を出すということを考えると、Aのシャーレが怪しいな……となってきます。

確信を持つにはもう少し情報が必要だと思われますが、この2つのヒントだけでもなんとなくは答えにたどり着くことができました!

ちなみにB、C、Dのシャーレに入っていたのは以下の通りです。

B:チーズ由来のプロピオン酸菌

C:納豆菌

D:ビール酵母

Dがマッキーのような匂いがしたのは、ビール酵母がアルコールを出していたからなんですね!

 

腸内フローラがすごい!

ここまでとても頑張ってL.カゼイ・シロタ株を含んだシャーレを探してきましたが、ヤクルトの講演がその紹介だけで終わってしまうはずがない!

ヤクルトのホームページでは、ヤクルト400について『生きたまま腸内に到達する乳酸菌 シロタ株(L.カゼイYIT 9029)の働きで、良い菌を増やし悪い菌を減らして、腸内の環境を改善し、おなかの調子を整えます。』としています。

ここでのキーワードは”腸内の環境”。

みんなでシャーレを観察した後、講演は腸内環境の話題へと移っていきました。

みなさんは、腸内にはどれくらいの数の腸内細菌が存在しているかご存知ですか?

1万……じゃちょっと少なすぎるし、1億個くらい? 100億個? 1兆個もいるのかな?

いやいや、そんなもんじゃありません。

答えは、なんと! 100兆個

100兆ってどれくらいの数だ……?

そんな驚きの数の腸内細菌が存在する腸ですが、最近ちょっと面白いことがわかってきているそうです。

どうやら、腸内環境と気分や脳機能の制御の間には相関関係があるというのです。

その他にもいろいろなものに腸内環境は影響を与えているようですが、気分や脳機能にまで影響があるとは……腸も侮れません。

講演後にお土産として配られたヤクルト400を一気飲みすることで400億個のL.カゼイ・シロタ株を摂取してみると、ちょっと元気になったような気がしました(笑)。

腸内細菌を大切に!と講演をしてくださった方が強調されていましたが、最近ちょっとお腹に負荷をかけすぎているような気がするので気にかけてみたいと思います!