”研究”とは何かを知るために……

こんにちは! お茶大リケジョ部のかすみです。

いよいよ春がやってきましたね。みなさん、進級・進学おめでとうございます。
私もいよいよ大学4年生です。つまり、学部生最後の1年ということになります……! 院試に卒業研究、頑張るぞ〜!

さて、今まで大学生活に関する記事をいくつか書いてきましたが、今回はちょっと方向性を変えてもう少し学年が上がってからの大学生活について書いてみたいと思います。

大学生と聞いて、皆さんはどんな姿を思い浮かべますか?

人によって色々なイメージがあるとは思いますが、研究室で研究をしている姿を想像する人も多いのではないかと思います(私はそう)。

しかし! ”研究”と聞いて思い浮かぶのは白衣を着て実験室でフラスコを振る姿ばかり……ではありませんか?

もっといろんな研究があるはずなのに、実際のリケジョたちはどういうことをしているのかわからない……そんな疑問を解消するために、私の周りにいるリケジョたちに「あなたの研究、教えて!」と質問をすることにしました。

題して『”研究”っていったいなんだ? 〜先輩リケジョに聞いてみた〜』!

第一弾は、やっぱり”研究”といえばこれでしょ! 白衣を着て実験室で実験をする先輩リケジョに聞いてきました編! はじまるよ〜!

 

今回話を聞かせてくれたのは、こちら!

理学部生物学科 学部3年生(取材時時点)のYちゃん! 将来の夢は研究者、バリバリのリケジョです!

実験系研究室で日々頑張る研究者の卵の彼女に以下の5つの質問をしてみました。

①研究ってどういうことをしてるの?

②何について学びたいと思って大学に入って、今はどんなことに興味がある?

③”ゼミ”とはなんぞ? どういうことをするの?

④研究室に配属される前と後とでの生活の違いは?

⑤研究室に配属されるまでの間に頑張っておけばよかったこと、頑張っておいてよかったことは?

さて、気になる質問項目はあったかな?

 

”研究”のための”実験”ってどんなもの?

①研究ってどういうことをしてるの?

かすみ:インタビュー引き受けてくれてありがとう!

今日はYちゃんがどんな研究をしてるのかについて、ざっくり教えて欲しいと思っています。研究内容というより、どういう流れで研究を進めてるかについて知りたいな〜。

Yちゃん:なるほど、了解。

かすみ:では、とりあえず研究の流れをお願いします!

Yちゃん:私は、いわゆる”実験”をすることで研究を進めてるんだけど……。

かすみ:中高の化学の授業とかでやる実験みたいな感じってことでOK?

Yちゃん:まあ、大体そうかな! ざっくり流れを説明するね。とりあえず、まずは仮説を立てる。例えば、この卵にはこういうタンパク質が存在する、みたいな。そうしたら、それを証明できるような実験を組み立てる。

かすみ:自分で?

Yちゃん:自分で考えることもあるし、先輩や先生とディスカッションすることもあるよ。

かすみ:へえ〜!

Yちゃん:そうしたら、実験をする。

実験をしたら結果が得られるでしょ。その結果をもとに考察しつつ、その結果を先生のところにもっと行ってまたディスカッション。

ディスカッションしているうちに先生にこの実験してみたら?と提案されることもあって、それで次の方針が決まる。そして、またはじめに戻る。

かすみ:また仮説から繰り返すんだね。

Yちゃん:そういうこと。

かすみ:それっていつまで繰り返すの?

Yちゃん:もちろん欲しい結果が出るまで、もしくはタイムリミットまで。

かすみ:タイムリミットって……卒論の締め切りとか?

Yちゃん:それもあるし、学会で発表するなら学会まで、とか。

それから、これが結構大事なんだけど、再現性のために3回同じことを繰り返すとかもあるよ。これを再実験っていうんだ。

かすみ:再現性……? 再実験……?

Yちゃん:たまたま欲しい結果が出ちゃったってこともあるかもしれないでしょ? それを防ぐため!

かすみ:なるほど、それは大事だね〜!


作:Yちゃん

再現性』について:違うサンプル、実験者が実験しても同じ結果が得られるということ
再実験』について:2回目、3回目の実験のこと

 

かすみ:流れは大体わかったので、実験の楽しいところ・大変なところ・向いてそうな人を教えて欲しい!

Yちゃん:じゃあ、楽しいところからいこうかな。

これは理解してもらえるか分からないけど、ニッチな研究だと世界で自分しか知らない事実を知れるのが楽しいかな。そもそも研究されてない分野だと、発見したことすべてが世界初だからね。

あとは、私は実験もディスカッションも好きだから、それが楽しい!

逆に、体力的にきついのが大変なところかな。

かすみ:体力? そんなに激しく動くイメージはないけど……。

Yちゃん:体力というより、持久力かな……? ずっと座ってるからそこが大変。

あと、先生と相性が悪いとディスカッションが辛いかも。

かすみ:なるほど。先生との相性は研究室を決める上でのポイントだってよく聞くよね。

Yちゃん:そういうわけで、向いてそうな人は細かい作業が好きな人とかかな……誰が向いてるかなんてわからないから、あえて言うならって感じだけど。

そういえば、一般的には1個の疑問を探求する人が向いてるって言われるよ。

基礎研究は追求だからね。色々組み合わせて考えるのとは違って、今あるはずのものを見つけるっていうことをひたすら続けていくの。

かすみ:へえ〜! 知らなかった!

興味は移り変わるもの。研究室だって変えられる!

②何について学びたいと思って大学に入って、今はどんなことに興味がある?

かすみ:では次に、何について学びたいと思って大学に入って、今はどんなことに興味があるかを聞きたいと思います!

Yちゃん:了解。

大学に入る前からずっと生物が好きだって、それで大学でも生物をやろうと思ったの。

今、発生生物学の研究室にいるんだけど、その発生生物学に興味を持ったのは高校生の時だったよ。

かすみ:高校の時からバリバリ生物の勉強やってたんだね……。

Yちゃん:違う違う(笑)。

生物の教科書のコラムみたいなところに発生生物学について書いてあって、それに惹かれたくらいの程度だよ。

かすみ:そうなんだ!

Yちゃん:でも、大学でいろんな講義を受けてるうちにだんだん進化生物学に興味を持つようになったんだ。

高校の授業よりもずっと専門的で、興味が移っちゃった!

かすみ:なんと!

発生生物学の研究室に配属されちゃってるけど、それじゃもう進化生物学の研究はできないんじゃ……?

Yちゃん:そんなことないよ。

とりあえず学部生の間は今の研究を続けて、大学院は進化生物学の研究室にしようかなって思ってる。

興味は移り変わるものだし、研究室も変えられるんだよ。変わってOKってみんなに伝えたいな。

かすみ:わかった。バッチリ書いておくね!

研究室についても聞いてみた。

③”ゼミ”とはなんぞ? どういうことをするの?

かすみ:ところでYちゃん、ゼミってなんやねんって思ったことない?

漫画とかでよく”ゼミ”って言葉は聞くし、私の研究室でもゼミはあるけどイマイチ自分でもなんなのかよくわかってないんだ……。

Yちゃん:それ、私も思ってた〜。

研究室によってやり方は色々みたいだよね。

かすみ:Yちゃんの研究室のゼミでどんなことやってるかって教えてもらえないかな?

Yちゃん:もちろん! いいよ。

私の研究室のゼミではまずはじめに論文ゼミをやって、その後進捗報告ゼミをすることになってるの。論文ゼミが1時間半から2時間くらいで、進捗報告ゼミが30分から1時間くらいかな。

進捗報告ゼミは自分の研究の進捗を報告する会で、みんなの前で今自分がどんなことをやっているのかを発表するよ。先輩や先生からアドバイスがもらえるんだ〜。

かすみ:私の研究室のゼミでも進捗報告ゼミはやってる! というか、それしかやってないや!

Yちゃん:本当に!? じゃあ、論文ゼミについてはちょっと丁寧めに説明するね。

論文ゼミ……私の研究室ではこう呼んでるけど、ジャーナルセミナーとかジャーナルクラブの方がメジャーな呼び方なのかもしれない。

まあそれはいいとして、論文ゼミの大きな流れとしては好きな論文(後から聞いてみたところ、英語論文らしい!)を1本選んで、それを紹介するって感じだよ。

かすみ:なんか聞いた事ある気がする……!

論文の内容をスライドにまとめて発表する感じじゃない?

Yちゃん:研究室によってはそうするところもあるみたいだけど、私の研究室ではスライドは作らないよ。

論文のコピーを持ってきて、図を中心に説明していくんだ〜。

やってるうちに論文の読み方とか図の見方がわかってくるの!

かすみ:へえ〜!

論文を読む練習にもなるんだね。

Yちゃん:そうだね。

それから、私たち理学部生にとって最新の情報と知識を常に更新することはとても重要なんだけど、論文を読んでないとそれができないから、論文ゼミはマストなんだ〜。

④研究室に配属される前と後とでの生活の違いは?

かすみ:では次に研究室に配属される前後の生活の違いを聞きたいと思います!

Yちゃん:了解!……と言いたいところなんだけど、実は1年の前期から研究室でいろいろやってたからあんまり参考にならないと思う……。

かすみ:そういえば、確かに1年のときから研究してたね!

面白そうだからちょっと話聞きたい!

Yちゃん:じゃあ、ちょっとだけ話すね。

これはうちの学科だけの独自の制度だと思うんだけど、正式に研究室配属される前でも,意欲のある学生は研究をやらせてもらえるっていう制度があるんだ。

それを使って、1年のときから今の研究室に通って、当時D2(博士後期課程2年生)だった先輩に実験を教えてもらってたの。

かすみ:授業と並行してでしょ? 本当にすごい……!

Yちゃん:確かにそうかも!

配属前は講義が中心の生活だったなあ。授業・テスト・レポート・実習(実験や研究の練習)が生活の中心で、その隙間時間に研究室に行ってた!

かすみ:めちゃくちゃ忙しいやん……。

Yちゃん:他の人と比べたらそうかもしれないね(笑)。

でももう授業は基本的にないから、ずっとラボにいるよ!

マイデスクができたので、そこで勉強したり論文を読むなどしてる〜。

かすみ:(Yちゃんは勉強のために図書館にずっと通ってらしいけど)もう図書館通いしなくて済むんだね〜!!!

Yちゃん:そうなの!嬉しい!

⑤研究室に配属されるまでの間に頑張っておけばよかったこと,頑張っておいてよかったことは?

かすみ:では、最後に研究室に配属されるまでに頑張っておけばよかったこと・頑張っておいてよかったことを聞きたいと思います!

Yちゃん:1、2年の間でってことでいいんだよね?

かすみ:そうそう! 授業とか、大学生活においてで、何かあれば!

Yちゃん:やっぱり実験の手伝いをさせてもらえたのがかなりよかったなって思う。

大学とか学科にもよるだろうけど、そういう機会があるなら手伝っておくといいかもしれないね。

あと、授業(講義)は真面目に聞くのがやっぱりいいよね。

講義の内容なんていざ研究を始めると役に立たないよ〜!なんて言う人もいるけど、意外と(?)使うんだから! 机上の空論じゃないことを主張したい。

あとは、授業を頑張ってGPA(成績)を上げておくことをお勧めする。

成績が良ければ研究室配属に強い(行きたい研究室に行ける可能性が高い)からね!

かすみ:全てに激しく同意する〜! やっぱり真面目に頑張っていい成績をとるのは大事だね。

ではそろそろインタビューも終わりにしたいと思います。

今日はたくさん話してくれてありがとう!

 

いかがでしたでしょうか?

第二弾は、理系の頂点といえばやっぱり医学科?! 医学科女子に話を聞いてきた編を予定しています!

今回のようにガッツリ話を聞いてきたわけではありませんが、新しい世界をたくさん知ることができたので是非記事が出来た際には皆さんも読んでみてください!