Q:現在のお仕事の内容を教えて下さい。
私は入社して8年目になりますが、これまでずっと携帯電話やスマートフォンにかかわる仕事をしてきました。現在はソフトウェアの開発に携わっています。普段の仕事は、仕様を技術面で決めていくことから始まって、設計をして、プログラミングして、試験をして、不具合があったら直すという作業を繰り返しています。
スマホやタブレットの開発で大変なのは、とにかくスピードが速いことです。スマホはだいたい年に2回、新製品をリリースしますので、すごく短いサイクルで製品をつくっています。
ユーザーのみなさんの手元に製品が届いているころには、次とか、さらにその次の機種の開発に取り掛かっています。
Q:大学ではどんな研究をしていましたか?
私の大学は入学してから細かく専攻を選べたのですが、そのころはロボットに興味があったので、「機械工学と情報系のどちらに行くのか」と迷いました。でも最終的には情報系のほうが汎用性があると思い、情報系を選択。研究に関しては、ロボット寄りのテーマに取り組みました。
学生時代は好きなことを突き詰めたほうがいいと思います。大学では、知識を集積することは大事ですが、実験や研究のやり方を学んだり、つらい研究を最後までやりぬいて論文を書き上げ、「やり遂げた!」という達成感を得たりすることのほうがもっと大事だと思います。
そういう経験を通して精神面がすごく鍛えられますし、「あのキツイ研究をやり遂げられたのだから、これもできるはず!」という自信につながっていきます。
Q:スマホ開発の仕事をするためには、英語やプログラムのスキルは必要ですか?
富士通のスマートフォンはアメリカのGoogle社の基本ソフト『Android(アンドロイド)』 を搭載していますので、開発者のためのサイトのテキストは英語なので、英語を読む機会は思っていたよりもたくさんありますね。またプログラムでも英語をよく使いますし、海外メーカーの方とやりとりすることがありますので、英語は必要だと思います。学生時代に英語の勉強はやっておいたほうがいいと思います。
プログラムに関しては、本格的に学んだのは大学に入ってからです。大学の授業でプログラムに関する授業がいくつかあって、研究室に入ってから実際に自分でプログラムをするようになりました。当時は、「大学の授業で学んだことは社会に出るとあまり役に立たないだろう」と思っていたのですが、社会人になってからも役に立つんですよね(笑)。
プログラムだけでなく、特許の授業も助けになりました。社会人になってから、特に開発者にとって特許はすごく身近になるので、大学時代にある程度の知識を得られたのは本当によかったです。
志望の大学に入ったことで満足してしまう人もいますが、それではもったいないです。大学で勉強したことは、社会に出たあとでもしっかり役立ちますよ!
(取材・文=川原田剛 写真=井上孝明)