2月4日、東京都目黒区のNTTデータ駒場研修センターで、情報オリンピック日本委員会と科学技術振興機構の共同主催の「Scratchで体験する女子中高生のためのプログラミングワークショップ〜のぞいてみよう国際情報オリンピックの世界〜」が開催されました。
この日はプログラミングに興味を持つ17名の女子中高生が参加しました。講師はサイバー大学の阿部和広先生。ワークショップでは、プログラミング言語を自分で記述するのではなく、Scratchというソフトウエアを使い、命令などの書いてあるカラフルなブロックを積み上げ簡単にプログラミングを作成し、ゲームを作りました。
2人1組で使うScratchの入った計9台のパソコンは、KinectというWiiのように人間の身体の動きを察知するセンサーに繋がれています。Scratch上には人形があり、その人形はKinectの前に立った人間が動かすことができます。参加者の皆さんはまず、Kinectの前に立ってポーズを取り、実際にScratch上にある人形を動かしてみました。初めての体験に、「Kinectってすごい!」「Scratch上の人形が動いているよ!」と驚きや感動の声で会場がイッパイになりましたよ。
ScratchやKinectを体験した後には、阿部先生の指導のもとでいくつかの課題に取り組み、ゲーム制作のテクニックを身に付けました。その次は、いよいよ自由課題。ゲームの企画から考えるオリジナルゲームの制作をすることになりました。
イベントの最後は、班別対抗のオリジナルゲームのコンテスト。自分の班以外の作品を体験し、良いと思ったものに投票、得点を争いました。1位のチームの二人は「プログラミングを使ったゲーム制作は初めてでした。思っていたより簡単で、楽しかったです」と笑顔でした。
ところでみなさんは「国際情報オリンピック」(以下IOI)という大会をご存知でしょうか。1989年から毎年開催されているIOIでは、予選を勝ち抜いた17歳以下の学生が世界中から集まり、プログラミングの能力を競います。
このワークショップのもう一人の講師・東京大学大学院情報理工学系研究科の秋葉拓哉さんは、元IOIの日本代表。「プログラミングの本質に興味を持ち、高校二年生の時にIOIに出場しました。当時は学校のパソコン部に所属していたのですが、入部したばかりの頃は、プログラミングはまったく出来ませんでした。プログラミングを書いても途中で分からなくなり、何度も挫けそうに。しかし、周囲の仲間に支えられて、乗り越えて行けました」と高校時代を振り返ります。
IOIの広報を担当する科学技術振興機構のラオちぐささんは「理系の分野はスポーツと違って、仲間と知り合うきっかけが少ない現状があります。皆さんは、自分の周りにプログラミングに取り組む友達がいないために興味を持ちにくかったり、高い目標に向かって頑張りにくかったりするのではないでしょうか。そういった状況は改善されれば良いですね。IOIは、プログラミングをする人たちの交流の場。それほど難しく考えずに、友達を作るために参加してくださると嬉しいです。それが良い刺激となって、互いに高め合ってくれればと思います」と真剣な表情。
今回のワークショップの主催のひとつである国際情報オリンピックの事務局長を務める杉浦充さんは「現在までのIOIの参加者は男性がほとんど。しかし、きっと女性の皆さんも活躍できると考えています。ITはすでに企業や政府、大学だけではなく、家庭にも入り込んでいますし、女性には男性と違う発想・見方をする力があります。そのため、プログラミングの分野に女性が増えれば、社会は豊かになると考えられます。IOIにはぜひ、気軽にたくさんの女性に参加して欲しいです」と穏やかに話していました。
ワークショップに参加したRikejo会員の皆さんからも、またワークショップに参加しなかったRikejo会員の皆さんからも、IOIの参加者が生まれてきますように。
Scratch体験ワークショップの詳細が後日アップされますので、そちらもぜひチェックしてくださいね。