これまで、サイエンストイ「ハピエンス」やワークショップを通して、子供が理系分野に触れるきっかけを提案してきたRikejo STEM Lab.。活動の締めくくりとなる今回は、大人がどんな環境を与えれば子供たちが日常の中で楽しく、サイエンスに興味を持てるか、そのヒントとなる具体的なアクションを考えてみました!
〜提案1〜
布施谷百合香さん 大堀智博さん
科学館は学びと遊びの宝庫! 「ハピエンス」で興味を持った現象も深掘りできる
今回、私たちがリポートするのは、北の丸公園内にある科学技術館。
4つのフロアに約20種類のテーマの展示室があり、生活に密着した科学技術やものづくり、エネルギーなどの産業技術が幅広く紹介されています。
宇宙をはじめとした科学の謎を紐解くのが4階のシンラドーム。こちらのシアターでは直径10mのドーム型スクリーンで、大迫力の3Dムービーが楽しめます!
宇宙の今をリアルタイムで可視化するコンピュータシミュレーション技術を駆使した「コズミック・ディスカバリー」という作品には、最先端の研究や最新の観測データを反映。まるで宇宙船から見ているような感覚で、太陽系の惑星、星座の世界、天の川銀河などが目の前に迫ってきます。
火星の表面すれすれを通過したり、土星の輪をくぐったりとユニークな視点の映像も!
リアルな3D映像で旅する宇宙の圧倒的なスケールに感動!
立体映像なので、惑星のサイズ感や星座が実際はどのような位置関係になっているかもよくわかります。例えばオリオン座を形作る外側の4つの星は地球からの距離もバラバラ。そのうち2つの恒星の間は350光年も離れているそう!
また、プラネタリウムでよく見る天の川銀河は1千億~1兆個の恒星の集まり。太陽はその一つにすぎません。しかもこのような銀河が宇宙には多数あり、さらに近年発見されたという天の川銀河の5000倍もの質量を持つ超銀河団の存在など、宇宙の巨大な構造が見て取れます。
そんな宇宙の壮大なスケール感を子供もリアルに感じられると思うので、夜空の星を眺めるのとはまたひと味違う体験に!
「ハピエンス」にも太陽系の惑星を色で塗って完成させるおもちゃがあり、太陽系の外にも様々な星が広がっていて宇宙はものすごく大きいことが紹介されているのですが、そのサイズ感や色を映像で見せてあげれば、遊びの楽しさももっと広がると思います!
展示物に触れられるのも魅力! 遊び方を探りながら創造する場に
科学技術館には他にも楽しい展示がたくさん! 5階のワークスはまるで工作実験室のよう。展示物にはあえて説明が書かれていないので、手探りで仕掛けを動かしたりして、私たちもつい夢中に。
こんなふうに大人がポジティブな気持ちで楽しむ姿を見せることが、子供が科学を好きになる何よりのきっかけになるのでは? と実感した取材でした!
〜提案2〜
五十嵐美樹さん
私が科学の道に進むきっかけになった虹の実験。家でも簡単にできます!
「ハピエンス」には光の3原色を学べる楽しいおもちゃがありますが、家の中で虹を作って遊んでみるのも手!
皆さんもご存知のように、雨上がりによく見られる虹は、空気中に漂う水滴の中で太陽の光が屈折や反射をし、水滴から出て行くときに見える現象です。
太陽の光は様々な光の色が混ざり合っていますが、水滴に当たることで赤、橙、黄、緑、青、藍、紫のように波長の違いによってわかれます。
懐中電灯の白色灯も同様で、ペットボトルの水に光を当てることで、雨の水滴と同じような光の屈折や反射が起こり、虹を作ることができます。
私が子供に見せるときは、なぜ白い光が色々な色にわかれるのか自分なりの仮説を持ってもらい、「わかれた光の色を混ぜるとまた白色になるのかな?」「どの色が一番曲がるかな?」などと問いかけながら実験を繰り返します。
ぜひお家でやってみてください!
実験の手順
- アルミホイルを懐中電灯の直径より大きめに四角くカットし、カッターで中央に5cmほど切れ目を入れます。
- 懐中電灯の真ん中にスリットが来るようにアルミホイルをかぶせ、輪ゴムで留めます。
- 部屋を暗くし、水を入れたペットボトルの端の方に懐中電灯を当てます。白い紙の位置をずらしながら、虹の映る場所を探します。虹が見えにくい場合は、スリットの幅を変えて光量を調整しましょう。
〜提案3〜
CANVAS 安部由里子さん
親はどうすべき? 子供の興味を引き出すワンポイントアドバイス
ワークショップで多くの子供たちと接しますが、大人の関わり方が子供の興味ややる気を大きく左右すると思います。私なりに大切にしているポイントをご紹介します。
Point1 “結果を見るだけでなく過程に寄り添う“
子供は、それぞれ得意なことや興味を持つ対象が違いますし、ものごとに対する受け取り方、理解の仕方も一人一人違います。
そばにいる大人はつい他の子と比べがちですが、「できたか、できないか」という結果より、取り組んでいる過程に注目してあげることが大切だと感じます。
表出することが苦手な子供、結果を出すのに時間がかかる子も、その過程では必ず何かが動いています。関わる大人がそれを大事に見てあげることで、子供の可能性が広がるんです。
Point2 “子供に問いかける時間をつくる“
子供に質問された時に、正解を教えなくちゃと思う親御さんも多いようです。私もワークショップ中子供に質問されることが多いのですが、答えがわかっていたとしてもそれを教えるのではなく、「どうかなぁ?」「なんでかなぁ?」と子供に聞いてみます。
すると、子供の方から「あ! きっとこうだよ!」と教えてくれるんです。子供のひらめきは本当に豊かで、正解よりも面白い!
Point3 “子供のひらめきややる気を見逃さない“
それぞれの子供には「きっとこうだよ!」「こうしてみたい!」というキラキラした瞬間が必ずあります。大人はそれを大切に「やってみよう」と促してみる。そうすることで、子供の「やりたい」が自然に循環し始めるんです。
「ハピエンス」のプログラミングトイも、自分でルールを追加することができます。子供がイキイキする瞬間を、家族や大人が一緒になって楽しむことが大切です。
プログラミングや電子工作、ダンス、音楽などのワークショップを、オンラインで開催しました! 「ハピエンス マジカル・ピアノ」のワークショップもあるので、ぜひご覧ください!
https://canvas.ws/project/wsc-online
〜提案4〜
ピープル 上原麻里衣さん
1回遊んで終わりじゃない! 遊び方広がる「ハピエンス」のアレンジを動画で公開!
おもちゃ開発の立場から、「ハピエンス」を使った“プチ実験遊び”をご紹介します。
- 光デコシートを自作してカラフルな影絵を楽しむ遊び方。
- 電気回路の仕組みを学べる「マジカル・ピアノ」は、家にある電気を通すものを探しながら試していく楽しさがあって、オリジナル楽器を作ることも可能。同シリーズの光る惑星のおもちゃをつなげて、叩くと音が鳴るようにアレンジ。
- 一人だけではなく対戦形式で遊べるプログラミングゲームを紹介。ロジコを使って自分でもオリジナルゲームを考えてみる楽しさも。
これらのアレンジは動画で公開しています。あくまで楽しみ方の一例ではありますが、さまざまな発想を導いたり、新しい楽しみ方を見つけたり、「ハピエンス」にはお子さんのクリエイティビティを発揮できる一面があると思います。動画は大人も楽しめると思うので、STEM玩具ってどんなもの?と思っている方もぜひ見ていただきたいです。
アニメライト編
https://youtu.be/jL084qZlzEA
マジカル・ピアノ編
https://youtu.be/zCC7w4V33Z4
あっちこっち!ロジコ編
https://youtu.be/oFNA1TNKs3s
太陽系の惑星、光学、電気回路、プログラミングの4つが学べる「ハピエンス」を元にさまざまな遊びや学びのアイディアが広がりました。子供たちにとって、これらの体験が日常の中で理系に触れるきっかけとなり、未来のリケジョを育てることにもつながれば嬉しいです。ぜひご家族で、お家で試してみてください。
「ハピエンスシリーズ」のご紹介
ぬりぬりコスモ
【太陽系×アート】
アニメライト
【光学×アニメーション】
マジカル・ピアノ
【電気回路×音楽】
あっちこっち!ロジコ
【プログラミング×ファッション、料理等】
構成・文=矢沢美香 撮影=十万正人(取材)、荒井拓雄(五十嵐さん)、恩田亮一(商品) ヘア&メイク=sai(五十嵐さん)