理系女子が好きなもの・わくするものについて紹介する企画、今回は「イソギンチャク」について理系女子大生コミュニティ凛のちひろがご紹介します!
イソギンチャクを知っていますか?
イソギンチャクというのは海にいる動物で、実はサンゴやクラゲと同じ刺胞(しほう)動物という仲間なんです。
海岸の岩場でひらひらと花のようなものがいたら、それはイソギンチャクかもしれません!
私が思うイソギンチャクのかわいいところは、ご飯を食べているところです。
ひらひらと開いていた触手でごはんをキャッチすると、真ん中にあるまるい口まで運んで閉じる様子が、なんともかわいい!と思っています。
研究室のイソギンチャク
実は、私は最近までイソギンチャクやサンゴの研究をしている研究室にお世話になっていました。
研究室のイソギンチャクたちは、週に一度水替えをして、ときどきエビのすり身などのご飯をあげます。
いろんな種類のイソギンチャクがいるのですが、研究室のみんなはまとめて「イソギンちゃん」「イソギン」たちと呼んでいます(笑)。
ここで、私が特に気に入っている「ニンジンイソギンチャク」を紹介しましょう!
名前の通りニンジンのような鮮やかなオレンジ色をしています。
去年の6月、千葉の浅い砂場で引き潮のときに採りました!
1か月がせいぜいだろうと言われていたのに、1年以上元気に研究室の水槽で生きています!
四方八方刺胞動物!
ところで、先日、池袋のサンシャイン水族館に行ったのですが、その中の一つの水槽を見たときに思わず 「四方八方刺胞動物だね~!」 と言ってしまいました(苦笑)。
イソギンチャクやサンゴは刺胞動物という仲間ですが、実はこの水槽のオレンジ色のもの等はほとんど刺胞動物なんです!
だじゃれを言うつもりはなかったのですが……思わず言ってしまいましたね(笑)。
イソギンチャクやサンゴは、写真のように同じ種類のものが集まっているのをよく見ますよね。
これは、イソギンチャクなどは体の横から小さな新しい個体を出して増えていく出芽という増え方をするためです。
近くに固まっているのは、遺伝的に同じ、いわゆるクローンの個体です。
ちなみに、写真のオレンジ色の子はジュウジキサンゴというそうですよ~!
今度水族館に行くことがあれば、ぜひ魚だけでなくイソギンチャクやサンゴにも注目してみてください!
サンゴの産卵
先日、研究室の沖縄でのサンゴの採集・調査に同行し、なんと、ちょうどサンゴの産卵の様子を見ることができました!!
このサンゴは年に一度だけ月の周期に合わせて産卵をします。
写真のオレンジ色のつぶつぶが、卵と精子が塊になったバンドルと言われるもので、この状態で海水面に上がってきて、その後、波にもまれてばらばらになります。
これがサンゴの産卵の様子です! 神秘的ですよね!
有名な話ですが、サンゴが体のなかに共生させている褐虫藻は、植物のように光合成を行い、二酸化炭素を取り込んで酸素を放出しています。
そのため、地球温暖化が進んでいる今、重要な生き物とされています。
また、サンゴは海中の様々な生き物のすみかとなっているため、そういった意味でも重要視されていて、保全活動が活発なんですね~。
ちなみにですが、イソギンチャクもサンゴと同じように褐虫藻と共生してるものもいるんですよ~!
細胞内に別の生き物を共生させるなんて、どうなってるんだろう?という感じですよね!
生き物の境目ってなに?と考えさせられます!!
私的にはここもイソギンチャク・サンゴのおもしろポイントの一つです!!
鮮やかなだけじゃないんです
加えてイソギンチャクのもう一つの魅力は、見た目の鮮やかさです。
種類によってさまざまな色があり、個体によっても違うので、磯で探すのがとても楽しい生き物です!
この見た目の鮮やかさは、普通の色素もあるのですが、蛍光色素という光を吸収して別の波長の光を蛍光として出すものです。
これは、紫外線のダメージから体を守るものだと言われています。
ノーベル賞を受賞された下村修先生のオワンクラゲからとられたGFPタンパク質という蛍光タンパク質は有名ですが、イソギンチャクからとられた蛍光タンパク質もRFP(赤い発光)などとして同じように実験で用いられています。
イソギンチャクやサンゴの鮮やかさは人間にとっても役立っているんですね~!!
あ! 最後に、こんなに魅力的なイソギンチャクやサンゴですが、刺胞動物という名前の通り、針のような細胞が触手にあって、これで獲物を刺して捕えます。
日本にはあまりいませんが、人間に対して毒をもつものもいるので、ちゃんと調べてから触るようにしてくださいね!
イソギンチャクの写真以外にも、先輩リケジョの好きなものや大学生活の写真が見られるかも!?