みなさんには、悔いのない就活をしていただきたい……!
この記事では、就活を成功に導く企業研究のやり方を徹底解説します!
就職活動における「企業研究」とは?
① 自分に合う会社かどうかを見極めるため
② 採用担当者に響く(刺さる)志望動機と自己PRをまとめるため
企業への就職を検討する場合、事業内容や将来性、経営状態、給与・福利厚生や社風、休暇の取りやすさ、残業など、色々と気になりますよね。そのため、企業研究というと「自分が働く上でどうか?」という視点で調べることは誰もが自然と行っています。上に挙げた目的の①ですね。
ところが、②の目的を明確に意識している方は、あまり多くないように見受けられます。ほとんどの方が、実際にいくつかの企業に応募書類を出し、面接を受けてみて初めて、②の重要性を実感し始めます。初めから②の目的をもって企業研究を進めることができていれば、書類選考通過の確率は飛躍的に高まるのに、もったいない!
①の目的にしても、自分の興味の赴くままに情報収集するだけでは、自分にとって本当に合う会社を見落としてしまう可能性があります。誰もが知る大手企業だけでなく、ある分野でトップシェアの会社や最先端の技術を持つ企業など、優良企業は世の中に数えきれないほどあります。そういう企業の存在を知るためには、日ごろからの情報収集がモノをいいますが、やみくもに個々の会社を調べるのでは、時間がいくらあっても足りません。
自分に合う会社かどうかは、世間的なモノサシ(知名度、給与、福利厚生)ではなく、前段で行った自己分析の結果と照らし合わせて検討するようにします。そうやって見つけた会社こそが、本当の意味で自分に合う会社です。
自分なりの根拠をもって見つけた会社であれば、説得力のある志望動機をまとめることができ、必ず企業が採用で重視している「自社に対する熱意」が伝わるようになります!
それでは、本当に自分が納得できる企業を見つけるための企業研究の手順を確認していきましょう!
「企業研究」の具体的なステップ──個別企業を調べる前に押えておきたい業界の知識
STEP1:まずは世の中にどんな業界があるのか、ざっくり把握しよう!
産業は大まかに、モノを作る「メーカー」、それを運んで売る「流通」、モノを介さない「サービス業」に分けられます(下記表参照)。分類は統一のものはなく、就活ナビサイトや、産業分類などで様々です。
世の中に存在する業界を広く浅く概観するには、「業界地図」といったタイトルの本がおすすめです。業界のトピックスや業界内における個別企業のポジションや関係性がコンパクトにまとめられています。その中から、自分の志向性に合いそうな業界をピックアップしていきます。
・メーカー(製造業)は理系就職の王道。BtoB企業にも目を向けよう。
・サービス業などメーカー以外にも理系の素養を必要とする業界はたくさんある。狭い枠内で決めつけずに可能性を追求してみよう。
理系の技術がストレートに生かせる業種と言えば、いわゆる「ものづくり」、製造業が王道です。特に理系学生に人気の業界は、昔から食品・飲料、医薬品、化粧品メーカーが定番ですね。食品のほか、車や住宅など、完成した製品が見える業界もイメージが湧きやすく、応募者が多いです。
ものづくりでいうと、最終完成品を作るメーカー以外にも、部品を作るメーカー、素材メーカー、原材料を扱うメーカーがあります。これらの企業は、一般の消費者ではなく法人向けに事業を展開しているため、消費者向けメーカーほど宣伝に熱心ではありません。また、店頭で商品そのものを見ることが出来ないため、社名は知っていても具体的に何をやっているのか正しく答えられない会社が多いのではないでしょうか?
そのため新卒の就活では、日頃から商品になじみがあり、イメージしやすい企業に応募者が殺到し、競争率が非常に高くなります。超売り手市場と言われる昨今ですが、大手のBtoC企業(Business to Customer=一般消費者向け企業)ばかり受けて内定が取れない学生は実は結構多いです。
一方で、BtoB企業(Business to Business、企業間の取引)は全産業の生産高ベースで全体の7割を占める活動を担っていると言われており、学生に知られていないだけで、圧倒的に売上高も利益も大きいのです。BtoB企業には独自の技術を持った優良企業が沢山あります。一般的な知名度は低くても、その業界では知らない人はいないトップシェアを誇る会社、その会社の技術が無くては大企業の生産活動が成り立たない会社等、興味深い会社は本当にたくさんあります。早い段階から目を向けておきましょう。
また、サービス業や流通、金融・情報通信業でも、理系の技術や素養を求めている企業が多数あります。この場合は、学生時代に何を専攻していたかよりも、理系の学生が身につけている基礎的な能力が期待されていることが多いです。仮説を立て、最適な手法を検討し、実験して検証する、事実を積み上げて論理的に答えを導き出す、といった科学的思考力や客観性は、文系の学生に比べると格段に鍛えられています。
数字に対して苦手意識がないことも理系学生の強みです。ビジネスの世界では、定量的な根拠や事実に基づいて論理的に課題を解決していくことが強く求められるため、理系学生は大変期待されている存在なのです! 今話題のビッグデータを問題解決に活かすデータサイエンティストや、論理的思考力を活かして顧客の問題解決にあたるコンサルタント、数理モデルを用いて金融商品の設計や資産運用を行うアクチュアリーといった職種は特に理系出身者に有利な仕事です。
STEP2:自分の志向と照らし合わせながら複数の業界をピックアップ
自己分析の時に考えた「自分の好きなことや得意なこと、大切にしている価値観」と照らし合わせながら気になる業界をピックアップしてみましょう。
・扱うモノやサービスではなく、その業界が提供している「価値」に注目する。
・職種と業界どちらを重視するかで、広げ方が変わる。
■本命業界を中心に複数業界に広げていく
例えば「子供たちに喜んでもらえるお菓子を作りたい」と考えているとします。
ストレートにお菓子メーカーへ応募してもいいのですが、人気業界ゆえに競争はとても激しいです。可能性を広げるため「お菓子の開発」をコアに、もう少し幅を広げて考えてみましょう。最終製品としてお菓子を販売するメーカー以外にどんな会社が菓子作りに関わっているでしょうか。お菓子の原材料メーカー(小麦粉や砂糖、香料、添加物、油……)もありますし、大手のメーカーのお菓子をOEM生産(他社ブランドの製品を生産すること)している会社もあります。口に入るお菓子そのもの以外にも、パッケージの開発もあります。どんなお菓子が流行るのかを調査するマーケティング会社もあります。このように、本命のお菓子メーカーを取り巻く関連業界もたくさんあるので、欠かさずチェックしましょう。
また、その仕事を希望する本質的な「価値」から選択肢を広げていくのも良い方法です。「子供」向けということがあなたにとって重要であれば、お菓子にこだわらずに「食品で子供向けの商品を作ること」と再定義してみます。飲料や惣菜、製パンといった異なるジャンルのほか、サービス業である外食産業なども視野に入ってくるでしょう。
■業界と職種、両方の視点で考える
志望業界にこだわるか、仕事内容にこだわるかも、十分に検討してみます。
食品業界であれば、職種は柔軟に考えられるのか、よく考えてみましょう。極端な話、食品メーカーに就職できれば、営業や経理業務、IT部門の仕事でも頑張れるのか、ということです。そこまで極端でなくても、例えば、開発職に配属されなくても製造部門の技術開発など、別の仕事にも十分にやりがいを感じられると思えるかどうか、よく検討しましょう。配属先がどこになるか分からない大企業より、あまり知名度はなくてもほぼ確実に開発部門へ配属してもらえる会社に入社したほうが幸せなこともあります。何を重要視するのか、自分の中で優先順位を決めておきましょう。就活で自己分析が大事、と言われるのはそのためです。職種(仕事内容)についても、自分なりに具体的なイメージが持てるまで調べたり人に聞いたりすることが大切です。(職種については後日、改めて解説します)
■学生時代の研究にこだわらずに探してみる
大学時代に取り組んだ分野と直結する仕事に就きたいと考える方は多いですが、理学系など特に基礎系の専攻の方は、自分の専門そのものを事業にしている会社があまりなく、自分にどのようなアピールポイントがあるのか、なかなか自信を持てないまま就活を始める方が多いですね。ですが、安心してください。先ほどお伝えしたとおり、専門分野を問わず、理系の基礎力に期待している企業は本当に多いのです。専門性が求められる研究職や開発職ですら、その会社の研究内容に直結している人しか採用していないケースは稀です。化学なり生物なりの基礎的知識と、研究者としての能力が高ければ、専門はどうあれ入社後の教育で十分育成可能と考えているからです。
大学のキャリアセンターにも相談してみましょう。過去の先輩方の就職事例がたくさん蓄積されています。自分の専門分野からは思いもよらない業界への就職実績があることを知って、新たな視界が開けることもあります。就活エージェントを利用するのも一つの方法です。エージェントには企業の採用担当者とそこで実際に働いている人、両方の立場から生の情報が日々入ってきているので、実情を踏まえた現実的なアドバイスが得られるはずです。リケラボでも多くの理系出身の社会人の方に取材に応じていただいています。学生時代の勉強とはかなり離れた分野で活躍されている方も多くいらっしゃいますので是非参考にしてみてください。 →第5回はこちらからどうぞ!
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