理系に興味がある女の子にモノづくりを通じて、自身のミライを描いてもらうことを目的として開催されてきた『ミライリケジョ~モノづくりカフェ~』。
 
今年で4回目を迎えた同イベントでは、第1部のトークセッションに東京大学工学部で学びながら2018年のミス・インターナショナル日本代表として活躍した杉本雛乃(すぎもと・ひなの)さんと、荏原製作所で浄水場などで使われる巨大なポンプの事業に携わる八鍬奏日亜(やくわ・そひあ)さんが登壇!「チャレンジすることのステキさ」をテーマに、熱くリケジョとしての想いを語り合いました。さらにロボットを使ったワークショップを実施したり、カフェ形式の交流会をしたり……。今年も大いに盛り上がったイベントの様子をレポートします!
 

主催:講談社Rikejo/共催:株式会社荏原製作所/後援:内閣府男女共同参画局

 

荏原製作所とは…

荏原製作所はポンプやコンプレッサなどの風水力事業を中心とする世界トップクラスの産業機械メーカーです。荏原は、モノづくりの未来を担うエンジニアや研究者を目指す女性たちを応援しています。

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【第1部】キーノートスピーチ&トークセッション

 
第1部は、東京大学工学部物理工学科で学びながら、2018年のミス・インターナショナル日本代表をつとめた杉本雛乃さんの講演。実は、ミス・インターナショナルで出会った世界の代表たちには理系が多い!?ことから、杉本流の勉強術まで、盛りだくさんのお話でした。トークセッションでは荏原製作所の八鍬奏日亜さんが加わり、リケジョとして「チャレンジすることのステキさ」について熱く語り合いました!
 

杉本雛乃さん登場!

 


杉本さんはまず、理系の学部に進んだ大学生の例として自分の時間割を大公開!
「中高生のみなさんは、大学生活のイメージがまだつかめないかもしれないけど、理系といっても実験室にこもっているばかりじゃなくて、自由な時間は意外と多いんです。その時間を、もちろん大好きな研究のために研究室にこもって過ごしてもいいけど、私の場合は、ミス・インターナショナルにチャレンジする時間として使いました」

そう話した杉本さん。実は、彼女がリケジョであることと、ミス・インターナショナルでの活躍には、深い関係があったことも明かしてくれました。
「私の通っていた女子校では、大学で理系学部に進学する人がとても多くて、自分が理系を選択したのも自然な流れでした。でも実は、高3の夏に、とてもショックな出来事が起きたんです……」
 

「とても仲がよくて、一緒に勉強を頑張ってきた友達が、『私、文転するわ』って(「文転」とは、文系に志望進路を変えること)。どうして?と聞いたら、『なんか暗いじゃん』と言われて、それが理由!?という二重のショックを受けたんですね」
 
「なんだか、そういう『理系って暗い』みたいなイメージだけで、それまで興味をもったり、憧れたりして頑張ってきたものを、あきらめてしまう女子がいるという状況が悔しくて。理系でも、明るく、華やかに活躍することができるんだ、ということを自分が発信できないかなと考えたことが、ミス・インターナショナルに挑戦することにつながっていったんです」
「ミス・インターナショナルに出場してみたら、私が期間中にルームメイトになったインドネシアの代表も理系でした。グランプリを受賞したベネズエラの代表も、地球物理学を専攻しています。女性が科学を学ぶことは、決してネガティブなイメージに結びつくようなものじゃないんだということが、あらためて実感できたし、もっとみなさんにもそのことを知ってもらいたいなと思いました」
 

 
スピーチの最後には杉本流のオススメ勉強法を語ってくれました!
 
「私は、自分でも集中力が長続きしないなと思っていたんです。そういう人、多いんじゃないかなと思うんですけど、それを逆手に取った勉強法をやっていました。
 
名付けて『キッチンタイマー勉強法』です(笑)。私自身は、割とテストでは点が取れたりするんですけど、長い時間勉強しているとなんだか効率が落ちてしまう感じがしていたんです。なので、『今日はここからここまでを、模試だと思ってやってみよう』と、キッチンタイマーで時間をはかって問題集などに取り組むようにしました。
 
そうやって、オンとオフのメリハリをつけるような勉強の仕方をすることで集中力が維持できたし、テストの本番でもリズムをつかんで取り組むことができた気がします」
 
 

八鍬奏日亜さんが加わってのトークセッション

 


 
 
八鍬 「私は巨大なポンプを作る工場で、製品をお届けする前の最終的な検査を行う仕事をしています。周りはほとんど男性ばかりの職場なんですが、『男性ばかりの職場で活躍する女性』になってみたいという野望があって、今はそれが現実のものになった感じですね(笑)」
 

 
杉本 「私は大学で、誰も作ったことのない、まったく新しい物質を作り出す研究をしましたが、実際にこれまでにひとつ、新しい物質を作ることができたんです。実験で、うまく新しい物質ができたときは本当にうれしかったですね。そういうとき、自分が大好きな科学にチャレンジできる幸せを感じます」
八鍬 「学生時代は、勉強で得意か不得意かとか、理系の研究室とか職場は男性ばっかりで暗いんじゃないかとか、そういうことを気にしがちですけど、結局は自分が何をやりたいか、ですよね。とにかく、やりたいことをやってみる。それでダメなら、また考える。本当にやりたいことに向き合ってチャレンジをし続けることが大事なんじゃないかと思います」
 

 

【第2部】ロボットで「水を活かした街」を巡るワークショップ!

 
第2部のワークショップで登場したのは、手のひらサイズの小さなロボット・Ozobot(オゾボット)。小さいけれども、すごいんです。Ozobotは、自分の足元に描かれている線をつたって動いたり、描かれた色のパターンを読み取って、右へ、左へと曲がったり、Uターンしたり、ダッシュしたり……。さまざまな動きをすることができます。
このワークショップでは、まずOzobotが動くヒミツを解説。そして後半では、参加者のみなさんにグループになってもらい、それぞれが自由な発想で思い描いた「水を活かした街」を一緒に考えてもらい、その街をOzobotに探検させるコースを作ってもらいました!
 



ワークショップ指導してくれたのは、NPO法人CANVAS(キャンバス)の小川さんと水澤さん。
 

小さなロボットが、足元に備えつけられたカラーセンサーと赤外線センサーで、自分の下に描かれた線や色をしっかり読み取ります。
 

Ozobotを思い通りに走らせるために、コースの途中にカラーシールで「命令」を作っていきます。人間の意図をロボットに伝える、これも立派な「プログラミング」ですね!
 

後半ではグループに分かれて、「水を活かしたまちづくり」を考えました。温泉がある街、海底水族館がある街、人工的な川で水を供給する街……。いろんなアイデアが出てきます。現役大学生の先輩リケジョがグループごとに制作をサポート。荏原製作所の八鍬さんも参加してくれました!
 


 

盛りだくさんの課題で、時間ギリギリまで粘ったグループも。みんなで科学の視点から、一緒にものづくりを考えるのって、楽しいですね!

 
 
 

【第3部】Rikejoカフェ交流会

 
一緒にイベントに参加した仲間や現役大学生の先輩リケジョを囲んでの交流会。参加者からは「ゲストの杉本さんと八鍬さんのお話を聞いて、『自分も、やりたいことを大事にして、理系に進んでいいんだ』と思うことができました」といった声も。最後に、ひとり一人が「明日から私は○○します!」と“ミライリケジョ宣言”を発表しました。
 


 

 

 
実は、中高生のみなさんが交流会をしている間、保護者の方が荏原製作所の社員の方に企業で働くリケジョの実態や採用について質問できるコーナーも。

 
最後に、参加者のみなさんがイベントを通じて感じた、「明日から〇〇すること」を教えてもらいましょう!


 
 

『ミライリケジョ〜モノづくりカフェ〜』は、理系分野における女性のいっそうの活躍を応援するものであり、国連が掲げる「持続可能な開発プロセス」(Sustainable Development Goals、SDGs)の17の目標のうちの「5 ジェンダー平等を実現しよう」の趣旨にそった活動です。

SDGsについてより詳しく知りたい方は、こちらの国際連合広報センターウェブサイトなどをご覧ください。

 

写真=神谷美寛
共催/株式会社荏原製作所
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