スマホのアプリは毎日、いつでも使っているけど、それを「作る」ことって考えたことありますか? この連続リポートでは、前回につづき、女の子がプログラミングを学ぶことを応援している、TECH GIRLSの田中沙弥果さんが、女子とITの未来を語り合ったイベントの模様を特別リポートしてくれます。
後編では、4ヵ月で「女子高生の睡眠時間を確保するアプリ」を作り上げた女子高生二人組をまじえて、女子がプログラミングの楽しさを知り、活躍するにはどうしたらいいかを、彼女たちへの質問を通じて一緒に考えていきます。
それでは、田中さん、引き続きレポートをよろしくお願いします!
【この記事は、10月4日(木)19時〜21時、東京・表参道で開かれたTECH GIRLS主催「女子にプログラミングを広めるために」のイベントレポートです。前編はこちら】
パソコンは保護者が子どもに1台与えるべき!
どうやって高校生の間にパソコン買ってもらったの?
Remiちゃん:私は3ヵ月かけて(親に)交渉して、Macbook proを買ってもらったんです。受験が終わって、私立にいくわけではないので、「お金その分余ってるでしょ」っていって(笑)。
Yunaちゃん:私は「Technovation参加するので買って」っていって買ってもらいました。でも学校でパソコン触るときって、周りの人を見ていると、ほんとにエクセルのファイルの保存の仕方とか、そもそもパソコンの起動の仕方が分からない子もいるんですよね。
神谷さん:(注・神谷さんはご自身も母親)でも、親としては、「何でいきなりMacbookやねん」って思うかもね(笑)。なので、小学生の段階で廉価版のPCを1台与えて、自分が自由に使える状態を作ることが大事だと思うんです。
というのも、PCが1台あるだけで、調べ物したりできるし、それに今の時代の子供たちはYouTube動画をみて情報収集しているから、そのためのツールとして使うこともできます。実際、無料プログラミング教材のScratchの使い方などがYouTubeにあがっていて、それを見て自分で自由に学ぶこともできるんです。
プログラミング始めるのは2歳から!? 早く始めたほうがいい理由
「もし自分のお子さんができた場合、プログラミングっていつから始めたほうがいいと思う?」
Remiちゃん:(自分自身が)小学生や中学生のときからアプリ開発をしたり、ICT環境にあったという同級生には、どうしても追いつけないような、圧倒的な差を感じるときがあるので、自分の子供には2歳くらいからやらせたいです(笑)。
神谷さん:実際、始めるのは、早ければ早いほどいいと思います。例えば、私が実際に話した子の例で言えば、小学校6年生の女の子に、小6からプログラミングを「やってみたら?」と勧めても、もう自我が芽生えているというか(笑)、大人に言われたからといって学んでみようとはしなかったりします。
受験を意識して、小3から塾に通わせる親も多いので、それより早くにプログラミングの原体験をすませてあげるのがいいと思いますね。
ただ、早く始めたからといって、子供たちが必ずプログラミングに積極的になるかと言われたら、それは分かりません。いろいろな小学校に取材しにいきますけれど、確かに、小学校段階でプログラミングに対する意識に性差は感じられないんです。でも、その子がプログラミングに「ハマるか、ハマらないか」とはまた別なんですよね。
プログラミング女子を増やすには、SNS・Disney・新しい職業提案?
「どうやったらプログラミングする女の子が増えると思いますか?」
Yunaちゃん:現状、私のように、(東京などではなく)神奈川県の山間部に住んでいる公立学校の高校生には、まず情報が届いていないのが問題だと思います。でも、もし情報が発信されてきたとしても、それにリーチできるのは、アンテナをはってるタイプの子じゃないと、難しいかもしれないけど。
Remi:情報はたしかに一部の人にしか届いていないよね。だけどInstragarmとかLINEはめっちゃ見る時間が長いんですよ。だから、たとえばInstagram動画で「1分でおさまるJavascript」とか配信したらどうでしょう(笑)。
Yunaちゃん:たしかに、1分のお料理動画とか、なんでもないのにじっと見ちゃうんだよね。
Remi:1分で具材が料理になるまでの過程とか、やっぱ過程をみるのが面白いから見ちゃうので、(アプリなども)作っている過程から完成までがパッと見られるといいかも。
西村さん:私たちLife is Tech!は、IT・プログラミングを学べるキャンプやスクールを全国で実施していますが、さらに裾野を広げることが大事だと思っています。今年4月にはウォルト・ディズニー・ジャパンさんと組んで、「テクノロジア魔法学校」というオンラインで学べるプログラミング学習教材をリリースしました。ディズニーだと女の子も親近感が湧いたり、知っているキャラクター、ストーリーで学べることでITへのハードルが下がってより多くの女子高生が「やってみたい!」って思ってもらえるのではと思います。
神谷さん:私は、実はドローンがプログラミング教育の教材として、とてもいいと思ってるんです。ドローンって安価になってきているし、学校だと校庭や体育館で飛ばせますよね。そして、ハードの実物が動いて空を飛ぶってめちゃくちゃインパクトあるし、生徒たちでチームを組んで、課題を解決するような授業を組み立てるのにちょうどよいと感じています。
しかも、取材をしてみると、実際にドローンの操縦士って、女性が多いんですよ。新しく登場した職業で、女性にも適正があって、社会から求められているということを子供たちに伝えると、興味を持ってくれる子が増えると思うんです。
プログラミングを学んで日々の問題に対する視点が変わった
「プログラミングを通して何を学びました?」
Yunaちゃん:プログラミングを学ぶことって、そもそも目的じゃないですよね。問題解決のための手段であると思うんです。Technovationに参加して、アプリを開発し始めてから、いつも問題を解決するにはどうしたらいいか、という視点が持てるようになった気がします。たとえば、今までは何か世の中の課題に気がついても、「まあしょうがないか」って思っていたけど、今は「こういう問題って、どうやったら解決できるかな?」という考え方をするようになりました。この間は、塾の自習席が空いてなくて、(せっかく教室に行ったのに)無駄足になってしまったので、「空席が分かるアプリ」を作れないかなと考え始めたところです。
「将来どんなことをしたいですか?」
Remiちゃん:(プログラミングについて知るための)情報環境が整っていない子にも、どうやったら広められるかを考えていきたいかなと思っています。
イベントを通じて、YunaちゃんとRemiちゃんも、プログラミングのおもしろさを伝えていく活動にも興味を持ったようです。二人の作ったアプリが、みなさんのスマホに届く日も近いかも? これからもますます活躍してほしいですね。
田中さん、リポートありがとうございました!
参加者の声
「パネラーの皆さんのおはなしが本当にリアルで勉強になった」
「本音が炸裂して楽しかったです!」
「現役の学生さんの意見が参考になり、またトピックが多かった」
「短い時間でしたが、非常に参考になりました。」
「それぞれの立場の本音が聞けたのと、女子校の教諭として何か仕掛けたいなと思うエネルギーもらえました。12月のコンピューターサイエンスウィークでの企画を復活できたら、と思います。」
主催者について
TECH GIRLSは、「テクノロジーを武器に、起業家精神あふれる女性を増やす」をミッションに立ち上がりました。Technovation Challengeの運営やテクノロジー業界を女性を増やす取り組みを行っています。
組織名:TECH GIRLS
代表:田中 沙弥果
発足:2017年9月
Web:https://technovationchallenge.org/
京都女子大学の学生で、プログラミング教育を小中高校生に教える活動をしている2名も登壇!
お申し込みは下記から>>
https://peatix.com/event/448307/