症状を入れただけで世界中の論文から病名を探ることもできる!
IBMが開発した人工知能『Watson』に関わっています。『Watson』にはいろいろな機能があり、お客様の用途に合わせて独自のシステムとして育っていきます。『Watson』は人が日常的に使っている言語を認識し、1秒間に8億ページもの文書を読む能力を持っています。使い始める前に、お客様の業界に関する資料や文献を読み込むことで自ら学習するところが他の人工知能(AI)と違うところです。その結果、与えられた質問の文脈などから答えを類推できるようになります。医療、金融、セキュリティなど、さまざまな業界で導入されていますが、一番わかりやすいのは医療です。病名がわからないとき「こんな症状がある」と入れると、世界中の論文やカルテを読み込んだ『Watson』が、該当する病名を選んできます。
私が担当しているのは、お客様が関わる業界の専門知識を『Watson』に学習させるためのツールです。ウェブブラウザで使う設定なので、ユーザーインターフェースといわれる画面を使いやすくするためのプログラムを作成しています。お客様の要望に応じて修正していくわけですが、アメリカのデザインチームと連携しながら進めていきます。私はお客様が負担なく使えるように、技術的な面から改良点を提案します。
きちんとパソコンに触れるようになったのは大学から
情報系やコンピューターに興味を持ったのは、中学生のときに読んだパソコン通信を題材にしたマンガがきっかけでした。知らない人とネットワークを通じて会話できることがすごいなと思ったのです。当時はチャットが始まったぐらいの時代で、両親も詳しくなく、インターネットは危ないと言われていました。
きちんとパソコンに触れるようになったのは大学生になってからです。大学では画像処理について学びました。動画から特定の表情を検出して分析したり、検出した顔の部位を追い続けるというものでした。現在は監視カメラの顔認証システムなどが普及していますが、10年ほど前はまだ研究段階でした。その後、大学院では情報をどうやって人にわかりやすく見せるかという情報可視化の研究に携わりました。
今、AIが注目されています。興味があったり、将来仕事にしたいと思っている人は、ぜひ直接触れてみてください。今は誰でも気軽にAIに触れやすい環境になっており、弊社でも『Watson』を無料で使えるクラウドサービスがあります。難しそうだと思ったら、まずインターネットで検索してみてください。面白いアプリをつくっている人がたくさんいます。私も息抜きに人型ロボット『Pepper(ペッパー)』のアプリをつくり、アプリのコンテストに出ることもあります。無料でアプリ開発をさせてくれる場所もあるので行ってみるのもおすすめです。
【リケジョブ・オフショット】
運動不足を解消するため社会人になってからダンススクールに通い始めました。ヒップホップとジャズをミックスさせたようなダンスでイベントにも出演。リハーサルが長い場合は6時間と体力を使いますが、大人になってから何かに夢中になるのはいいです!
(『Rikejo』2018年1月号より。一部情報は取材時のものです)