理系の高校生たちが科学の知識・技術・チーム力を競い合う年に一度の祭典『科学の甲子園全国大会』が、3月16日(金)から4日間、埼玉県さいたま市で開催されました。
日本一の理系高校生の称号を目指して参加した学校は、過去最高の698校。全国大会には、初出場の15校を含む47校・361名の高校生が出場し、50名のリケジョが活躍しました!
全国の高校生が1校6~8人のチームを組んで、筆記&複数の実技競技(今回は3つ)に挑む、学校対抗の科学の競技会です。優勝チームはアメリカで開催される「サイエンス・オリンピアド」へ派遣されます。
「科学の甲子園」ウェブサイト:http://koushien.jst.go.jp/koushien/
知識や特技を持ち寄ってチームで挑む4つの競技!
筆記競技
初日に行われるのが「筆記競技」。30点×12問の360点満点を目指し6名で競技に臨みます。生物、地学、数学など出題範囲は幅広く、教科の枠を越えた融合的な難題も。
実技競技①②③
大会2日目は3つの実技競技です。
「実技競技①」は生物分野から、「実技競技②」は物理分野から出題され、それぞれ3名が挑戦します。
「実技競技①」第1位は東京都代表筑波大学附属駒場高等学校、「実技競技②」第1位は岩手県立盛岡第一高等学校でした!
最終競技は「実技競技③:はばたけ!コバトン」。
これは唯一内容が事前に公開される競技で、大会までに各チームが作戦を練って臨みます。当日は競技選手4名がチームを代表して戦いの舞台へ!
モーターで動く「はばたき機」とワイヤレス給電を行う「受電コイル」を60分間で製作します。
完成した「はばたき機」をレーンに吊るしてレースがスタート! 30m(決勝は40m)先のゴールまでの時間を競います。
白熱したこのタイムレースを制したのは、福井県立藤島高等学校でした!
これで全ての競技が終了。選手のみなさんお疲れ様でした!!
人工知能(AI)がテーマの特別シンポジウム!
大会3日目。「“人工知能の時代”を生きるサバイバル術」をテーマに、4名のAI(人工知能)専門家が登場する特別シンポジウムが開催されました。
「将来AIに関わる仕事がしたい人は手を挙げてください」という問いかけに、約半数の学生が挙手! 関心の高さがわかります。
●山口高平さん(慶應義塾大学理工学部管理工学科教授)
元・人工知能学会会長でもある山口さん。「今後AIの支配が広がるのは確実。面白いAI世界を作るのは君たちです!まずは実際にAIに触れて、使ってみてください」
●野村有加さん(日本アイ・ビー・エムWatson開発 主任ソフトウェアエンジニア)
野村さんは、AIを手軽にカスタマイズするためのUI(ユーザインターフェイス)を開発中。「チームで問題解決する力は大人になっても役立ちますよ!」
●古澤明さん(東京大学大学院工学系研究科教授)
世界初の量子コンピューター実現へ研究開発を先導する古澤さん。「今、受験勉強をしっかりやっておけば、どんな分野でも世界の舞台で活躍できます。まんべんなく学んでください」
●吉田直紀さん(東京大学大学院理学系研究科教授)
吉田さんは、AIを使って宇宙のダークマターを研究中。「これからは検索や計算などはAIにまかせる時代。人はその分、楽しいことを考えたりぼんやりしたりする時間を充実させましょう」
質疑応答コーナー
「AIと軍事の関係は?」「量子コンピューターの実用化はいつ頃?」「今後ずっと増え続ける大量のデータって管理していけるの?」など、たくさんの質問が壇上の先生たちに投げかけられました。
ドキドキの表彰式!いよいよ成績発表です
表彰式では、4つの競技別1位と2位の計8チーム、テーマごとに表彰される企業特別表彰の6チーム、総合成績上位10チームが発表されます。
筆記競技第1位に贈られる「講談社賞」を受賞したのは…
女子生徒3名以上を含むチームのうち最優秀チームに贈られる企業特別賞「帝人賞」は…
そして、今年の「総合優勝」。文部科学大臣賞・CIEE/TOEFL賞に輝いたのは…
「手を動かすのが苦手なチームだったので筆記でいい成績を取ろうと。狙い通りでした。みんなで楽しみながら取り組めたことが勝因だと思います!」とキャプテンの千吉良くん(2年)。
おめでとうございました!!
今年もたくさんのリケジョたちが活躍!
「帝人賞」の三重県立伊勢高等学校
「全国大会に向けてみんなで夜遅くまで頑張りました」と西村さん(2年)。島さん(1年)・前川さん(1年)は「来年も出て優勝したい!」と頼もしい宣言も飛び出しました。
「総合成績第4位」の茨城県立並木中等教育学校
リケジョを含むチームの最高順位となったのが総合成績「第4位」の茨城県立並木中等教育学校。「全国大会は体力がいります。疲れました(笑)」と酒井さん(2年)。「とっても充実した数日でした。楽しかったです!」と呉さん(2年)。
宮城県代表仙台高等専門学校
惜しくも入賞は逃したものの、女子5人男子2人というチーム編成で挑んだ仙台高等専門学校は、県内初の2年連続代表校。キャプテンでリケジョの山田さん(2年)も2年連続出場です。「去年は初の全国大会で興奮しっぱなしでした(笑)。今年は記録を残したかったのでちょっと悔しいですが、来年以降、後輩たちに頑張ってほしいです!」
大盛況の実験ブース&和やかな交流会も!
表彰式のあとは、科学技術を多彩に楽しむ「実験ショー・ブース展示」、全国の仲間たちとの絆を深める「生徒交流会」などが開催されました。
活版印刷技術を体験できるミニキットコーナーも登場。
電子顕微鏡を使ったクイズブースは大盛況!
最後は「フェアウェル(お別れ)パーティー」。たくさんの笑顔とともに全国大会が幕を閉じました。
会場には埼玉県のマスコット「コバトン」の姿も。来年もお会いしましょう♪
★「広げよう科学の輪 活かそう科学の英知」が合言葉の『科学の甲子園』。同世代の精鋭たちと出会い、競い合える全国大会はとっても刺激的です。来年の『第8回 全国大会』出場を目指して、ぜひ皆さんもチャレンジしてくださいね!