リケジョの採用に関心のある企業約200社(現在)への調査を元に、特定の業界や企業が新たに採用するリケジョに求めるスキルを整理。サービスを利用する学生は、大学での履修科目や専攻分野などを入力することで、スキルマッチングの度合いを把握でき、就活に役立てることができるというシステムです。
【アンケート方法】
理系女子学生、理系女子大学院生(修士・博士)、若手社会人理系女性(~35歳まで)の全137名に、『Rikejoプロジェクト』のメールフォームを使ってアンケート調査をした結果から、今回は一部を抜粋して紹介します。
【希望業界TOP10】 | ||
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1位 | 生活用品(医療品・化粧品等) | 35.8% |
2位 | 大学・研究機関 | 25.5% |
3位 | 食品 | 24.1% |
4位 | IT・情報・通信 | 21.2% |
5位 | 素材 | 17.5% |
6位 | 自動車・輸送機器 | 12.4% |
6位 | 教員 | 12.4% |
6位 | マスコミ・広告 | 12.4% |
9位 | 機械 | 10.9% |
10位 | 電機・精密機器 | 10.2% |
10位 | サービス・レジャー | 10.2% |
【希望職種TOP5】 | ||
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1位 | 応用研究・技術開発 | 56.2% |
2位 | 基礎研究 | 39.4% |
3位 | 技術企画 | 18.8% |
4位 | 検査・評価・品質管理 | 17.5% |
4位 | ITエンジニア | 17.5% |
人の暮らしに役立つような、身近な生活に欠かせないものをつくり出したり、新たな価値を生み出す業界が人気。職種も、それらに直接かかわる応用研究・技術開発職を希望する人が多いようです。一方で、明るい未来を見据えた基礎研究職を志望する人も少なくありません。メーカーへの就職だけでなく、大学など研究機関で研究職を続けたいというリケジョも意外に多く、やはり、自分の興味や専門を活かして働きたいという意向が強いようです。
※選択した3項目について、第1位=3ポイント、第2位=2ポイント、第3位=1ポイントとして集計
【企業・仕事選びで重視することTOP10】 | ||
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1位 | やりがいがある(自分の出番・居場所がある) | 157pt |
2位 | 自分の好きなことができる | 147pt |
3位 | 長く勤められる(産休・育休制度などが充実) | 89pt |
4位 | 社会に貢献できる(技術や研究、仕事内容で世の中の役に立つ) | 88pt |
5位 | 社風や働いている人が自分と合いそう | 83pt |
6位 | 大学で学んだことが活かせる | 72pt |
7位 | 給料がよい | 47pt |
8位 | 安定している | 40pt |
9位 | 勤務地 | 38pt |
9位 | 休日が取れる、残業が少ない | 38pt |
勤務地や給与といった条件も気になるものの、1~2位は仕事の充実度にかかわる項目が並びました。まずは、「自分が活躍できそうな場所を探す」のがリケジョの特徴のようです。それがあってこその「長く勤められるかどうか」であり、「社会貢献」にも、予想以上に関心が高いようです。
「ややそう思う」を含めれば、全体の約8割に及ぶリケジョが、自分の専門知識やスキルを仕事に活かしたいと考えています。せっかく手に入れた専門性、より多くの人が職場で活かせるようになるといいのですが……。
【就職前に知りたい情報ランキング】 | ||
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1位 | ワークライフバランスを支援する制度の充実度 | 56.9% |
2位 | 採用情報(職種や採用人数などの詳細) | 51.1% |
2位 | 企業で働く人の雰囲気 | 51.1% |
4位 | 女性の活躍に関するデータ(復職率、育休取得率、女性役職者割合 等) | 50.4% |
5位 | 就業者データ(離職率、平均勤続年数、平均給与 等) | 35.0% |
5位 | 社員の仕事の仕方、時間の使い方 | 35.0% |
7位 | 企業の求める人材 | 34.3% |
8位 | 企業の求める専門性 | 29.9% |
9位 | 経営状況、中長期計画 | 18.2% |
10位 | インターン情報 | 16.8% |
11位 | 女性ロールモデル | 13.1% |
12位 | 経営者の思い、経営理念 | 10.9% |
13位 | くるみん、えるぼし、なでしこ銘柄、ダイバーシティ経営企業等の国の認定 | 1.5% |
就活サイトなどで企業側が発信する情報だけでなく、より詳細な情報を求めているという結果に。企業が求めている人材像や具体的な専門性についても、それぞれ約3割が情報を欲しています。自分の専門性を活かしたいと考えるリケジョならではです。
自力での情報収集は難しいと思う一方で、就活サイトなどの「情報量の多さ」に対しては、「何らかの形で自分に合った情報を絞って届けてほしい」という回答が、「そう思う」「ややそう思う」を合わせて全体の73%にも及びました。情報のセグメントは今後の課題となりそうです。
就職前に知りたい・知りたかったと思うことを具体的に教えてください。
●人材として必要なスキル、最低限知っておくべき知識と教養
●産休・育休制度があっても実際にどの程度利用しているのか。四季報などではわかりづらい本当のところ
●一日のだいたいのスケジュール
●自分の目指す仕事には何が必要か、早い段階で知りたかった
●業務内容をもっと詳しく教えてほしかった
●どの企業にも、思いがけない業務内容や職種が存在するということ
●男性主導の業界の中で、女性が活躍するフィールドはあるのか?
●残業がどの程度あるのか
●求める人材について、人柄、特徴、専門性など 異なる面からの情報がほしい
●自分の専門分野の部署に配属させてもらえるかどうか
リケジョは、企業が求めている人材やスキルについて、予想以上に詳しい情報を求めています。企業の業務内容にしても、例えば「化粧品メーカーでも、生産部門で機械系の研究員のニーズがある」など、意外な職種が存在することを就活前に知ることができれば、志望の幅はぐんと広がりそうですね。
就活は、情報収集がひとつのカギ。でも、本当に「自分に最適な職場」を見つけるのは難しいもの。自分のスキルが職場でどのように活かせるのか、具体的かつ客観的な情報をリケジョは何より欲していて、彼女たちの背中を押すようなツールは、やはり必要だと感じました。『リケジョナビ』がその力になってくれたらいいなと期待します。
https://tc-navi.jp/rkj/
大学での履修科目や成績から、現在の自分のスキルがわかります。
志望分野にどんなスキルが必要かを見定めるためにも、今後ぜひ活用してみてください。
協力/一般社団法人 研究産業・産業技術振興協会(JRIA)
*Rikejoマガジンvol.48(2017年11月刊行)にて掲載