料理を科学してみよう

 
2月3日(土)節分の日、東京・市ヶ谷にある江上料理学院で、第7回科学の甲子園全国大会 開催直前特別イベント『料理を科学してみよう!』が開催されました。中高生リケジョ13名が、食材の色素反応を利用して“カラフル焼きそば&焼きうどん”作りにチャレンジしました。
 

◎『科学の甲子園』って何?
 
年に1度開催される科学の力を競う全国大会。甲子園の名前の通り47都道府県の大会で選ばれた代表校の6~8名がチームで、筆記、実験、工作などの競技に挑みます。優勝チームは、5月にアメリカで開催される『サイエンス・オリンピアド』へ派遣されます。今年は3月16日~19日の4日間、埼玉県で開催!
 
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主催:国立研究開発法人 科学技術振興機構 理数学習推進部
協力:講談社Rikejo
 

イントロダクション

 

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皆さん、この黄色いキャラクターを知っていますか?
 
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「このキャラクターは『アッピン』と言います」と、『科学の甲子園』を開催する科学技術振興機構の落合圭さん。「あ、ピンと来た!」から名付けられたマスコットだそうで、言われてみればアッピンくんの頭にはひらめきの電気が点いています。
 
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この日の料理実験を手伝ってくれるのは、女子栄養大学の4人の先輩リケジョたち。心強い味方です!
 
 

【第1部】料理研究家・平松サリーさんのミニ講座

 

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講師は、京都大学大学院農学研究科出身、科学する料理研究家の平松サリー先生。『おもしろい!料理の科学』の著者でもあります。
 
大学院でタンパク質の研究をしていた平松さんが、まずは、世界中で食べられている〈麺と小麦粉〉の関係を解説。小麦粉に含まれるタンパク質(グルテン)の性質から、うどん、ラーメン、そうめんなど身近な麺を科学の視点で見ていきます。
 
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続いては〈食べものの色〉について、科学します。
 
「お弁当にブロッコリーが入っていてマヨネーズがついたところが茶色くなっていたことないですか?」と平松先生。
 
ナスやブドウの紫は「アントシアニン」、トマトやえびの赤は「カロテノイド」、ほうれん草やブロッコリーなどの緑は「クロロフィル」。食材によって含まれる色素が違うため色が異なります。
 
でも、これらの食材も、お酢などの“酸”に触れたり、“熱”が加わったりすると色が変化します。ブロッコリーの変色もマヨネーズの“酸”が原因だったとは。身近な食べ物に潜む“科学”に驚きです!
 
 
チームに分かれてミニ実験
 
続いては「食べものの色が“酸”や“アルカリ”などによって変化するという、今の話を今度は実際に目で確かめてみましょう!」と、3~4人ずつのチームに分かれてミニ実験。
 
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「アントシアニン」の実験では、紫キャベツ・紫タマネギ・ミョウガに、酸性の「お酢」をかけて置いておくと…
 
ピンク色のような鮮やかな色に変化!
 
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次に「アントシアニン」が溶け出した紫キャベツを煮出した青い液体を3つ用意して、①そのまま、②酸性の「レモン汁」を、③アルカリ性の「重曹水」を入れてみると…
 
②はピンクに、③は緑になりました!
 
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このほか、そうめんを「普通のお湯」と「重曹入り(アルカリ性)のお湯」で茹でると、色・食感・風味がどう変化するかなど、次々と実験。
 
これらのミニ実験の結果をヒントに、いよいよ“カラフル焼きそば&焼きうどん”作りに挑戦です!!
 
 

【第2部】ワークショップ「色を変化させるクッキング」

 
「各チームにそれぞれ異なる料理を目指してもらいます! 何を目指すかは抽選で決めましょう」と、抽選会からスタート。
 

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「麺の種類」と「色」の2つの抽選ボックスから、1個ずつボールを引き当てます。
 
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このチームの組み合わせは「焼きそば」×「ピンク色」。ピンク色の焼きそばを目指します。各チームの料理が決まったら、さっそく調理開始!
 
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目指す色を出すために食材を選ぶところから始めなければいけない頭脳派クッキング。これはなかなか難しい!!
 
 
調理タイム
 
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料理計画を相談しながら…
 
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ターメリックで色づけしてみたり…
 
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紫キャベツを煮出して青い液を作ったり…
 
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試行錯誤しながら、料理を仕上げていきます。
 
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「各チーム1回だけ質問を受け付けまーす」と平松先生。
 
「食材は2皿分あるので、一度失敗しても、よく考えて2皿目で頑張ってください」
 
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どのチームも先生に頼らずメンバーで知恵を出し合い、先輩リケジョと一緒に自力で料理を完成させました!
 
 
お披露目&発表
 
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4チームの渾身の“カラフル焼きそば&焼うどん”。色とりどりの料理が揃いました!
 

チーム1の料理は〈緑色のうどん〉

 

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「紫キャベツと重曹(アルカリ)で1皿目から緑色のうどんができました。2皿目では紫キャベツを煮詰めてから使うよう改良したら、さらに色がしっかり出ました!」
 
 

チーム2の料理は〈オレンジ色のうどん〉

 

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「ピンク色の液を作ってからターメリックを足してオレンジにしようと考えました。1皿目でレモン汁を入れ忘れちゃって(笑)。2皿目ではちゃんとできました! はじめは簡単かと思っていたけれど結構難しかったです」
 
 

チーム3の料理は〈オレンジ色の焼きそば〉

 

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「食材に並んでいたターメリックがカレー粉だとわかって使ってみました。重曹水にカレー粉を溶かして使うか、直接カレー粉を使ってから重曹水を入れるかみんなで相談。考えるのは難しかったけれど、目指していたオレンジ色になり、おいしいナポリタン風カレー味焼きそばができました!」
 
なんとこのチームは、2皿目で課題以外の青色にも挑戦していました。
 
 

チーム4の料理は〈ピンク色の焼きそば〉

 

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「最初は紫キャベツと野菜を炒めてから酢(酸)を入れたら失敗。そこで、2皿目では紫キャベツだけ先に炒めて酢を加えてピンクの液を作ってから炒めました! 味は…酸っぱいけれど意外とおいしい♪」
 
どのチームも、見事目指す色に近づけることができました! お味のほうは「酸っぱい…。でもおいしい♪」とみんな笑顔で完食。
 
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平松先生の模範レシピ紹介では「レシピに正解はありません!」と先生。「研究も同じです。中学や高校の授業では最初から答えがあることが多いですが、大学での研究や研究者の仕事は今日の調理のように、計画から考えなければいけないですしトライ&エラーの連続です。1皿目で失敗しても2皿目で工夫してやっていたのがとても良かったと思います」
 
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そして、最後は科学技術振興機構のラオちぐささんから一言。「チームみんなで相談しながら試行錯誤して取り組む姿はまさに『科学の甲子園』と同じ。科学の楽しさ、科学が生活につながっていることを感じられる素敵な時間でした!」
 
考えて楽しい、見て可愛い、食べておいしい“カラフル焼きそば&焼うどん”。ぜひ家でも挑戦してみてくださいね。ごちそうさまでした♪
 
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【参加者の声】
「みんなで協力して考えて成功に近づけるのが楽しかった」
「料理がここまで楽しい“科学”になると思わなかったので新しい発見でした」
「授業で習う科学は大変だけど、料理と組み合わせてやると楽しくて、おもしろくできた」
「難しかったけれど、迷ったらとりあえずやってみる!!と思いきったらできた」
「化学の授業で学んだ言葉が、実際に色となって具現化されていくのが非常に楽しかった」
「事前の実験を踏まえて料理に活かせたのがおもしろかったです。家でもやってみたいと思いました」

 
 
「第7回 科学の甲子園全国大会」は3月16日(金)から19日(月)、埼玉県のソニックシティ及びサイデン化学アリーナで開催。
今年も女子校チームが全国大会に登場するほか、たくさんのリケジョの活躍が見られそう! 応援に! 来年出場のための下見に!? みんなで行ってみよう♪
 
 

提供/国立研究開発法人 科学技術振興機構 科学の甲子園
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(文=峯田亜季 写真=神谷美寛)