Q:現在の仕事内容を教えて下さい。
小型の油圧ショベルの開発・設計を担当しています。現在は入社4年目ですが、入社以来ずっと油圧ショベルの開発に携わっています。私は中国の理工系の総合大学で機械工学を学んだあと、金沢大学大学院で医療機械を研究しました。
子どものころから機械好きでした。周りにはモノを分解する人はよくいましたが、私は機械の内部がどんな原理や機構で動いているのかを調べたりするのが好きでした。そういう意味では、いろいろ調べて発見して、問題があったら解決して、新しいモノや機能をつくっていくという、いまの開発の仕事は自分に合っていますね。
Q:仕事のやりがいは何ですか?
私が勤務する石川県の粟津工場からは、世界最先端の機能や商品が生み出されています。コンピュータで制御されているICT(情報通信技術)建機が代表的なものです。今、建設現場は人手不足に悩まされていますが、建機を扱うのはすごく難しく、匠の技が必要とされます。でもICT建機を使えば経験の浅い作業員でも、簡単にベテラン並みの作業ができます。こういう画期的な商品の開発に携われるのは一番のやりがいです。
Q:陳さんは中国の大学を卒業後、金沢大学大学院に進学しました。日本語はどのように勉強したのですか?
実は、大学院に来るまでに、日本語を勉強したことがなかったんです。工学部なので数式でコミュニケーションが取れましたが、別の学部だとちょっと難しかったかもしれませんね(笑)。日本に来てからはすぐにテレビを買って、朝起きたらすぐに電源を入れて、常に流しておくんです。無意識でも日本語が耳に入っていくという環境をつくりました。こうやって、耳で慣れるのが第一段階ですね。
そのあとはドラマなどを見ながら、会話を真似してみるんです。まず聞いて、ビデオをストップして、自分で喋ってみる。ドラマは大体1話40分ぐらいですが、それを1週間やるだけで、かなり上達します。私も元AKB48の大島優子さんが出演していた『私が恋愛できない理由』で勉強しました。
中国にいたときに英語を学んだときも、同じようにドラマを見ながら勉強しました。この方法だと楽しみながら語学をマスターできるので、オススメです。でも正しい文法や言葉を覚えたいのなら、ニュース番組がいいと思いますよ。
Q:高校時代はどんな受験勉強をしていましたか?
中国も日本も、受験勉強に関して大きな違いはないと思います。受験の時には暗記しなければならないものがたくさんあります。私がやっていた勉強法は、覚えなければならないことが書かれた本や参考書をとにかく集中して読むことです。食べることや喋ることはもちろん、周りの雑音も忘れるぐらい絶対的に集中して読むのです。ノートに書くのもダメです。手を動かすことで集中力が散漫になってしまいます。
でも苦手な科目だと、どうしても眠くなったり、退屈してしまったりしますよね。だから集中するために練習が必要です。例えば、最初は15分で、次は30分、1時間という感じで、集中する時間を徐々に増やしていきます。
高校生の時は記憶力がいいので、この方法は受験にはすごく効果的ですし、どんな科目にも応用できます。ただし、これはあくまでも受験用の勉強なので、受験が終わると全部忘れてしまいます(笑)。人生のために勉強するのなら、例えば歴史だったら、歴史に興味を持つことが一番だと思います。そうすれば自ら進んで歴史関連の本を読んで、覚えるようになります。
(取材・文=川原田剛 写真=井上孝明)