*次世代を担う、低コストで安全な二次電池を開発しています
日本ガイシは送電線などで使用するがいし製品で世界トップシェアを誇ります。また現在では、セラミック製品や電子部品、電池などの研究・開発も行っており、私が担当しているのも二次電池(充電して繰り返し使える電池)になります。
一般的に二次電池はリチウムイオン電池が主流なのですが、それに代わる次世代電池として注目されているのが亜鉛を使った二次電池。リチウムに比べて低コストで、可燃性の有機電解液を使わないため発火の恐れがないという利点もあります。ただ、弱点として耐久性に問題がありました。
その課題をクリアするために私たちが開発したのが、セラミックスを使ったセパレーターと呼ばれる部材。2年後には一般家庭などで利用できる二次電池として製品化されるように、日々、実験と研究に励んでいます。
*大学の研究では材料の性質を制御する面白さを知りました
亜鉛二次電池の開発プロジェクトには数年前の発足当時から携わっていますが、実はそれまで電池に関しては専門外でした。
子どものころから興味があったのは火山や地震といった自然科学や地学の分野で、大学では半導体の光物性に関する研究を通じて材料の性質を制御する面白みを知り、入社してからはセラミック部材の開発を担当していました。
そこで生まれた材料が亜鉛二次電池に応用できそうだということで、実用化に向けてプロジェクトが動き出したのです。
*学生のうちから視野を広げておくことをおすすめします
今はまだ学ぶことも多く、勉強の毎日です。ただ、これまではあまり表に出ることのない部材の開発を行ってきたこともあり、いつか一般家庭で使われるかもしれない製品に携われるというのは新鮮さや面白さがあり、楽しいですね。
それに、これまでの経験を活かしつつ新たな分野の研究ができるのも理系のいいところ。幅広い視野を持てば、興味を持つ対象も増え、どんな仕事も楽しくなりますので、みなさんも学生のうちから視野を広げておくことをおすすめしますよ。
( =倉田モトキ =神谷美寛)
本記事は、『Rikejoマガジン vol.34』に掲載されています。
デジタル版でも読むことができます。
詳しくは こちらから