*より命に近い現場で働きたいと看護師に
中学時代から続けていたバスケットボールでケガをしてリハビリを経験しました。そのとき医療現場に触れ、より命に近い現場で働きたいと看護師になりました。
今は早産や命の危機にさらされている新生児集中治療室(NICU)と退院を控えた赤ちゃんのための後方病床(GCU)で働いています。
*赤ちゃんのわずかな身体の変化も見逃せません
学生時代、NICUの見学実習で保育器に入った小さな赤ちゃんががんばって生きようとしている姿に衝撃を受けて、NICUでの勤務を志望しました。
基本的に1人の赤ちゃんには1人の看護師が入院から退院までを担当し、ケアをしていきます。
3時間おきのミルクの準備、オシッコの量や採血のデータなど、わずかな身体の変化も見逃せません。
大人と違って、赤ちゃんは3時間おきに授乳するので昼と夜に仕事の差がありません。夜勤だからといって落ち着けることはなく、常に気持ちが張りつめています。
*NICUにいるからこそかけがえのない命の重さを実感しています
働き始めて3年経ちますが、4ヵ月間も担当していた、ある赤ちゃんは印象的でした。新生児の平均体重は3000g前後ですが、その子は720gで生まれました。最初は人工呼吸器が装着されているので泣いても声を出して訴えることができず、体中にチューブが入っていました。そのような状態からチューブや呼吸器が外れて、少しずつ大きくなっていき、3000g近くなったところで退院しました。
学生時代は新生児に特化した授業は少ないので現場で覚えなければいけないことばかり。今でも日々勉強です。ご両親のメンタル面のケアも求められます。
この病棟にいるからこそ、赤ちゃんが元気に生まれることは当たり前のことではないと、かけがえのない命であることを実感しています。今後は退院後の赤ちゃんの生活にもかかわれるような仕事ができればいいなと思っています。
( =十倉和美 =米澤耕)