はじめまして(^^)
東京工業大学大学院 田坂真弓です。
 
10/7~14に今年のノーベル賞の受賞者が発表されましたね。
医学・生理学賞は、小胞輸送でした。
 
小胞輸送とは、細胞表面や細胞内小器官から、物質を包んだ膜が丸く出芽します。これが輸送小胞となり、他の細胞内小器官や細胞表面に運ばれることを言います。シナプス間の神経伝達や、薬などの受容体もこの小胞輸送で運ばれています。
 
その後~・・・!!語りだすと長くなりそうなので、この辺で終わりにします!
 
今年は、残念ながら日本人の受賞はなかったですね。
 
日本人受賞と言えば、
昨年、iPS細胞を開発した山中伸弥教授がノーベル賞を受賞し、世間に再生医療というものが広く知られました。
 
そんな中、先日のニュースで「唾液腺を再生 実験動物で成功」という報道がされました。
気になって論文を読んでみると、筆者の名前が並んでいる一番目に女性の名前を発見!!
ということは、この研究を中心となって行ったのは、なんと、リケジョでした!!
 
かっこいいですね~!
リケジョの活躍にどきどき、わくわくです!
 
 
気になる発表内容は

胎仔由来の唾液腺原基の幹細胞から再生唾液腺原基を作り出し、唾液腺を欠損させたマウスに移植することにより、神経刺激に応じて唾液を分泌する機能的な唾液腺が再生可能であることを実証したものです。

(http://www.tsuji-lab.com/topics/news/2013_10_02.html)

 
 
あれ?
 
iPS細胞?ES細胞?幹細胞?…
 
いっぱいあって分からなくなってしまいますよね。
 
 
 

iPS細胞、ES細胞、幹細胞の違いって?

 

幹細胞

複数の系統の細胞に分化でき、分化してもその能力は維持される細胞のこと。生体内の幹細胞は通常分化できる細胞の種類が限られている。

 

ES細胞

動物の胚盤胞期の胚の一部から作られる幹細胞細胞株のこと。生体外で、全ての組織に分化する能力持ち、ほぼ無限に増殖できる。ES細胞はすべての種類の細胞に分化できる。

 

iPS細胞

体細胞へ数種類の遺伝子を導入することで、ES細胞のように多くの細胞に分化できる能力を保ちながら、分裂増殖できる細胞のこと。

 
 
まとめると……
全ての種類の細胞に変わることのできる幹細胞があったらな~
初期の胚ならできるのではないか?・・・できた!ES細胞!
でも胚だから倫理的な問題が・・・
ES細胞を体細胞でできたらいいな、でも体細胞は決まった細胞にしか分化できないし・・・
そこで体細胞へ遺伝子導入することで、ES細胞のような能力を持ったものができた!
これがiPS細胞です。
 
まとめすぎてって突っ込まれそうですが・・・
 
 

唾液腺の再生はどのように行われたか?

 
image S3
(画像はプレスリリースより)
http://www.tsuji-lab.com/topics/pdf/pressrelease13_10_02-01.pdf
 
図のように、唾液腺原基の幹細胞を用いて、上皮性の幹細胞と間葉性の幹細胞を取り出し、接着させて培養することで唾液腺が再生できたのですね。
 
この唾液腺、天然のものと同じ機能することも示されています!
 
食べ物の誤嚥が高齢者に多く見られる原因の一つとして、唾液分泌の低下があげられます。この研究が、将来的にiPS細胞での再生できれば、ドライマウスの治療が可能になるのではないかと期待されます!
 
高齢化が進む社会で、期待される技術なのかもしれません。
 
 

リケジョになろうか迷っている中高生の方へ

 

どうしてこうなるのか?なぜ?を勉強できるのが理系の世界(^^)
不思議に思うことがあったら理系に進んでみてください。
リケジョの活躍に期待しています!

 
 
 
ライター プロフィール

profile

田坂 真弓(Mayumi Tasaka)
東京工業大学 大学院 修士1年生
 
現在は、脳神経科学分野で研究しています。
ショッピング、カフェめぐりがマイブーム。
理系女子のイメージを変えたいと思い、リケジョ製作所で活動中。