名刺交換も、ビジネスシーンで行う際は、学会などで研究者同士で交わす時とは少し異なる型があります。
そこで、今回の理系のためのビジネスマナー講座は、初対面の人に良い印象を残す「自己紹介」と「名刺交換」のマナーをテーマにお届けします!
自己紹介は自分を覚えてもらい、相手と仲良くなるためのもの
社内で、訪問先で、研修会で、宴席で……など、自己紹介が必要になる場面はさまざまです。
自己紹介は、コミュニケーションの第一歩。顔と名前をきちんと覚えてもらえれば、その後の会話や関係性に大きなプラスの影響をもたらしてくれます。
よい関係を築いて、お互いに気持ちよく仕事ができたら、想像以上にいい成果が出ること間違いなしです!
それでは、具体的にどのような点を心がけると上手に自己紹介ができるのでしょうか。ポイントをお伝えしていきます。
好印象な自己紹介のコツ
・丁寧な動作と笑顔
・相手に聞き取りやすい声とスピード
(語尾まできちんと発声する)
・ちょっとした人柄が伝わる一言を添える
ウケを狙いすぎた凝ったエピソードや、長々と個性をアピールしすぎるのは逆効果。オーディションではないので、あまり難しく考える必要はありません。
それよりも、非言語コミュニケーションである、表情・態度・姿勢やアイコンタクト、声のトーンに気を付けるほうがずっと好印象です。
自己紹介のパターン
次に実際の自己紹介シーン別に解説していきますね。
【自己紹介で伝えること】
・氏名、所属(配属先・勤務先)、担当する仕事、勤務開始日など基本情報
・仕事をする上での抱負
・趣味など人柄を表す一言
・挨拶
【パターン1:基本情報のみ】
社外の人が相手の場合や、社内で机をまわって自己紹介する際は、所属や状況など、最低限の基本情報を簡潔に伝える方法が主流です。
例)
「初めまして。◯◯株式会社の☆☆☆☆(フルネーム)と申します。よろしくお願いいたします」
「初めまして。本日から勤務いたします☆☆☆☆と申します。よろしくお願いいたします」
ひとりひとりの机を回る自己紹介は、簡潔に、相手の目を見て笑顔で挨拶できればOKです。相手が忙しそうにしている場合は「あらためます」と言って後にするか短く切り上げます。
逆に、相手から話してくださっり質問された場合は、にこやかに応対しましょう。
(緊張して固まったり、どうやって答えていいか分からずに、アタフタしてしまいがちです。とにかく笑顔を忘れずに!)
【パターン2:基本情報+伝えるちょっとした一言】
大人数を前に自己紹介をするときなどは、趣味でも出身地でもOKです、あなたの人柄が垣間見える情報を添えると、あとで話しかけてもらいやすくなり、お互いにコミュニケーションが取りやすくなります。
例)
「初めまして。(株式会社◯◯の)☆☆☆☆と申します。人の顔を覚えるのが得意なので、早くみなさんのお顔とお名前を覚えたいと思います。よろしくお願いいたします」
「初めまして。(株式会社◯◯の)☆☆☆☆と申します。趣味は野球で、高校時代は甲子園に出場しました。野球部時代に培った忍耐強さを活かして、△△にも根気強く取り組んでいきたいと思います。よろしくお願いいたします」
添えるひとことは、その場にふさわしい内容をチョイスする必要があります。
出身地について、自分の性格について、特技について、趣味についてなど選択肢はさまざまありますが、どのような人が相手なのか、何を目的に集まった場なのか、といったことを考慮したうえで話す内容を決めましょう。
新規立ち上げのプロジェクトの開始時でしたら、プロジェクトに対する意気込みや、どんな形で貢献できそうか、得意なこと話すのもいいかもしれません。
迷ったときは「自分自身が、その場にいる人について何を知りたいのか」考えてみるとイメージしやすくなると思います。
自己紹介に適した話題
出身地・名前の由来・専攻(学生時代の研究内容)・これまでの職歴・
趣味・特技・マイブームなど相手との共通項が提供できる話題
NG例
長い・自慢・個性が強すぎる・マニアックすぎる話題・自虐ネタ
姿勢・表情・話し方が第一印象を左右する!
冒頭でもお伝えしましたが、自己紹介で大切なのは、話す内容だけではありません。姿勢や表情、話し方といった要素が、相手に与える印象を大きく左右します。誠実さや親しみやすさを感じてもらうためにも、以下を心がけましょう。
1. 姿勢
・足を揃える。
・背筋を伸ばす(頭から足の裏まで、まっすぐ一本の線が通っているイメージで)。
・肩の力を抜く。
2. 表情
・口角を上げ、にこやかな笑顔で。
・相手の目をしっかりと見る。
3. 話し方
・聞き取りやすい声とスピードで。
・語尾まではっきりと話しきる。
・明るくはきはきとした声で。
4. お辞儀
・“語先後礼”が正式なマナー。「よろしくお願いします」と言い切ってから、ゆっくりと30°ほど上体を倒す。
【笑顔の合言葉はウイスキー】
▲表情のポイントは、目元・口元
名刺交換はビジネスの出発点
ビジネスで初対面の人に挨拶する際は、まず名刺交換をします。
名刺はその人自身の情報が詰まった大切なものです。「名刺は相手そのもの」という意識で、落としたり乱雑にテーブルに置いたりせずに、ていねいに扱うようにしましょう。
名刺交換のルール
名刺交換には、順番などのルールがあります。まずは基本的なルールを知っておきましょう。
【順番】
・目下の人から先に差し出すよう心がける
基本的には訪問した側を目下、訪問された側を目上と捉えます。営業関係にある場合は、お金をもらう側(売る側)を目下、お金を払う側(買う側)が目上になります。
・役職の高い人から順番に
名刺交換は、役職の高い人から順番に行います。自分が上司と同行している場合は、上司が交換し終えるのを待ちましょう。上司同士が交換している間に部下同士で名刺交換を済ませるのはマナー違反です。
【マナー】
・原則として立って行う
名刺交換は、きちんと向かい合って立った状態で行います。
・机などを挟むのはNG
机がある場合などは、きちんと相手の正面にまわってから名刺交換します。あいだに机をはさんで交換するのは好ましくありません。
ただし、カフェなど狭い空間で名刺交換をする際は、座ったままテーブル越しに交換するケースもあります。そのときは、「座ったままで失礼します」「机越しに失礼します」など、ひとこと添えるようにしましょう。
※名刺を切らすことがないよう、名刺入れのなかには常に充分な枚数を入れておくようにしましょう!
名刺交換のやり方
それでは、実際に名刺交換をする際の手順を解説します。
1.名刺を取り出し、会社名と名前(フルネーム)を名乗る。
「はじめまして。私、××株式会社の●●●●と申します。よろしくお願いいたします。」
(目下の人が先に名乗る)
※通常、名刺交換は初対面時に行うため「はじめまして。」を使うことが多い。
2.自分の名刺を相手に向け、右手で相手の名刺入れの上に差し出す。
同時に、相手から差し出された名刺を、左手を使って自分の名刺入れの上で受け取る。このとき、自分が差し出した名刺が相手の名刺よりも高い位置にならないよう心がける。
3.右手を名刺に添えて、相手の目を見ながら「頂戴いたします」とひとこと。
4.相手の名刺を両手で持ち直し、胸の高さで持ったまま一読する。
聞き取れなかった箇所があったり、名前の読み方が難しい場合は、このタイミングで「何とお読みすればよろしいでしょうか」と確認しておく。
※そのまま打ち合わせなどが始まる場合は、名刺入れの上に乗せた状態で、机の上の左斜め前の位置に置く。
複数名から名刺を受け取った場合は、役職がいちばん上の人の名刺を名刺入れの上に乗せて並べるのが基本とされています。しかし、人数が多い場合は、全ての名刺を直接テーブルの上に並べて置いても良いとされています。
並べる順番は席順に並べておけば、相手の名前を覚えるのに役立ちます。
※目下の人が先にわたすのが正式な形ですが、実際のビジネスシーンではお互いが同時に名刺を差し出す“同時交換”が主流になっています。
よくある名刺交換での失敗
・名刺を切らしていた!
⇒予想外に大勢の人が相手方にいて、名刺が足りなくなるケースもよくあります。
・カバンの中で名刺入れが行方不明、探している間、相手方は立って待っていた。
⇒定位置を定めるか、相手先の建物に入る前に取り出しやすい位置に。(名刺入れを鞄に入れるのは、特に女性に多いです)
・名刺入れがパンパン
⇒いただいた名刺は入れたままにせず、ファイルや管理ソフトなどで保管しましょう。
・複数の人と一気に名刺交換し、テーブルの上に並べようとしたが、どの人がどの名刺か分からなくなってしまった。
⇒ 名刺交換の際、手元に注目しすぎるとよくこうなります。いただいた際は相手のお顔も確認するようにしましょう。
・役職が分かりにくい(特に外資系企業の横文字の役職)
⇒どなたが一番上の役職か分からない場合は、どれか一つを名刺入れの上に置くことをせず、すべての名刺を机に直に置きましょう。
まとめ
自己紹介や名刺交換は、第一印象を左右する大切な場面です。マナーをしっかりと身につけて誠実な姿勢を伝えられれば、社内外かかわらず多くの人からの信頼へとつながります。ぜひ正しいマナーをマスターしていい仕事をしてくださいね!
資料提供/記事監修:
人材育成コンサルタント クルール 池田泰美(いけだひろみ)
http://www.la-couleur.com
参考文献:
金森たかこ著「イラストでまるわかり! 入社1年目 ビジネスマナーの教科書」(株式会社プレジデント社)
■パーソルテンプスタッフ株式会社 スマホで学習できる無料eラーニングL-TEMP
https://www.tempstaff.co.jp/staff/skillup/aca-ne/home/
(コンテンツ例)
ビジネススキル:「仕事がデキる人の伝え方」「サクサク片付く仕事整理術」等
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(本記事は「リケラボ」掲載分を編集し転載したものです。オリジナル記事はこちら)
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