え、これが健康診断?
人で溢れる東京・渋谷のスクランブル交差点。そこから徒歩5分ほどの一角、普段は結婚式場として使われているというビルの中をのぞくと、ピンク色にデコレーションされた、ポップな空間が現れました。
「健康診断というと、病院とか公共施設とか、無機質な空間に行かなきゃいけないっていうイメージが強いですよね」
そう語るのは、イベントを企画立案した、辻愛沙子さん。
14歳で単身、欧米に渡って世界を見て回り、大学在学中に広告会社adotに入社、クリエイティブディレクターとして女性をターゲットにしたデザインや企画を手がけてきた辻さん。世界で、女性の健康への意識が高まる中、日本では、とくに若い女性の健康意識が低いことに衝撃を受けたといいます。
「日本の女性の健康診断の受診率を調べてみたら、20代30代の若い女性が健康診断を受けている割合が、他の世代・性別よりも低いことがわかったんです」
健康診断のイメージを変えたい
下の表は、厚生労働省が発表している、各世代・性別での健康診断の受診率(平成28年国民生活基本調査)。たしかに、20代30代の女性の健康診断の受診率は、男性に比べて低いですね。
「そもそも、健康診断のイメージが、硬いとか暗いとか、男性のお医者さんだったら、ちょっといやだなとか、足を運びにくいものばかりだと思うんです。それに、現実問題として、それなりにお金もかかりますよね。だから、わざわざ行ってみようという意識が芽生えない。
このイベントでは、まずポップな空間を演出することで、女性にも男性にも会場に入ってきてもらって、『女性の健康を考えるってどういうことだろう』という意識を持ってもらえることを目指しました。
医学っぽいメニューだけではなくて、あなたの肌色にはどんなメイクがあうか、といった美容診断のコーナーもあって、お客さんが多いときには何時間待ちになるほどの人気だったんですよ」
ワンコインだし、怖くない!
「なんのイベント?」とフラッと足を踏み入れられる、そんな空間で、気軽に健康について考えられる。そんな空間を目指した辻さん。
もうひとつのこだわりは、ワンコインで健康診断が受けられることだったと言います。
「このイベントでは、ワンコイン500円で健康診断が受けられます。もっと若い女性に健康について考えてもらいたいという趣旨に賛同して、日本生命をはじめとした企業のみなさんにもご協力をいただくことができたんです」
また、健康診断の技術自体もアップデートされていることを、多くの人が知らない現実も変えていきたいと辻さんは意気込みます。
「たとえば、血液検査でも、これまでのように注射で多くのサンプルを取らなくても、いろいろなことが検査できるようになっています。痛くない、怖くない健康診断の技術が発達していることを、もっと多くの人に知ってもらえれば、健康診断を受診しようと思う人も増えていくはずだと思うんです」
実際、簡易血液検査のコーナーでは、指先から取ったたった一滴の血液から検査を行う、新しい検査方法が実施されていました。注射が苦手な人でも、これなら大丈夫ですね。
今回は国際女性デーである10月11日にあわせて、5日間限定で行われた、Ladyknows Fes 2019。辻さんたちは、今後も活動の幅を広げ、多くの人に参加してもらえるイベントに育てていきたいと話していました。
これから20代、30代と、人生の歩みを進めていくリケジョのみなさんも、健康診断のイメージをどんどんアップデートして、自分や身の回りの人の健康を考える機会を持ってみませんか?