女子中高生にプログラミングやデザインを教える・普及しているTechnovation日本代表のアイヴィーです!
普段、女子中高生向けアプリコンテストの世界大会「Technovation Challenge」を日本で展開したり、小学校のプログラミング教育普及のお手伝いをしたりしています。
みなさん、文理選択や進路選択、迷いますよね。
実際、日本の大学では、学部を一度選択すると変更が難しいシステムになっています。
私自身は、高校生のときは化学と生物が好きで、生物を選択した理系でした。母親からも将来の職業として薬剤師を勧められていて、「自分は薬学部に進むのかな?」と思っていたのですが、結果的に、大学では外国語学部に進みました。
そんな私の今の仕事は、プログラミング教育を推進すること。
高校では理系を選択、大学ではコミュニケーションを勉強、今の仕事はプログラミング教育という、「理系→文系→理系(に近い)」というキャリアパスになっています。
自分自身が、中高生という早い段階で、将来の職業まで考えた進学先の選択を迫られ、さらにその後、修正しづらいことでとても苦労したこともあり、「理系も文系も関係なく色々なことを学びながら専門性を身につけられる大学があったらいいのに」と思ってきました。
そんな中、「文系出身者であってもプログラミングなどのICTを楽しく学べる大学がある」と聞き、その噂の大学のプログラミングの授業とゼミの取材に行ってまいりました!
山梨英和大学とは?
山梨英和大学は、山梨県甲府市にあります。
2014年のNHK連続テレビ小説「花子とアン」の主人公のモデルとなった村岡花子が、大学の前身である山梨英和女学校で教鞭をとったことも有名です。
山梨英和大学は人間文化学部の1学部のみですが、サイコロジカル・サービス領域(心理学)、グローバル・スタディーズ領域、メディア・サイエンス領域の3つから自分の興味のある分野を自由に広く学ぶことができます。
出典:山梨英和大学 大学案内2019デジタルパンフレットhttps://www.yamanashi-eiwa.ac.jp/pamphlet/2019/html5.html#page=15(参照2019-02-12)
なぜプログラミング未経験でも楽しそうなの!?
その理由を学生さんに聞いてみると…
1.MacBookが入学時に配られる
2.カリキュラムの自由度が高い
3.ゼミで「ものづくり」を自由に楽しめる
といった理由があるようです。どういうことか、ひとつずつみていきましょう!
MacBookが入学時に配られる
山梨英和大学では、2013年度からMacBookを入学者全員に配布しています。
1年生時には、配布されたMacBookを使いこなすための授業が必修科目として用意されています。
MacBookのセットアップだけでなく、Microsoft Officeの使い方やGoogleドライブを活用した共同作業、効果的なプレゼンの方法も学ぶそうです。
大学入学時点では、パソコンをあまり触ったことがなかった人でも、自分専用のMacBookを使って授業を受けていくうちに、より専門的にICTを学べるメディア・サイエンス領域に興味を持つようになるといいます。
実際、メディア・サイエンス領域のゼミの受講者も、ほとんどが大学からプログラミングを始めたとのことでした。
カリキュラムの自由度が高い
山梨英和大学では、入学時にコース選択や専攻がなく、自分の興味のある分野の授業を受講できます。
学部や学科による制限がないため、プログラミングに少しでも興味があれば、メディア・サイエンス領域の授業を好きなタイミングで受講できます。異なる二つの領域のゼミを同時に履修することもできるそうです。
メディア・サイエンス領域では、1コンピュータを作ったものづくり、2コンピュータサイエンスの理論やプログラミング、3インターネットなどのネットワークの仕組みやWeb開発、4今話題のデータサイエンス、といった授業が用意されています。
今回、取材で訪れたのは、1のコンピュータを使ったものづくりの授業のひとつである「メディア・プロジェクト」の授業。
学生たちは2~3名のチームを作り、手に収まるサイズの、プログラム可能なマイクロコンピュータmicro:bitや、3Dプリンターを使って、身近な課題をプログラミングやものづくりで解決するというプロジェクトを進めていました。
正しい歯磨きをサポートするため、歯ブラシで15回磨くとmicro:bitで音が鳴るようにするデバイスを作っているチームもありました。
歯ブラシで歯を磨くときは、同じ箇所を15回、磨くといいという話を聞いたメンバーの発案で、加速度センサーで磨いた回数を計測し、15回磨く動作を行ったかを、音で分かるようにしたとそうです。
学んだ技術を使い、具体的なものを作ってアウトプットする機会があるというのは、楽しそうな授業ですね!
ゼミで「ものづくり」を自由に楽しめる
メディア・サイエンス領域では、この授業のほかに、ゼミの様子も取材できました。
ゼミは学内の「Fabスペース」(デジタル工作機械が設置されているものづくりのための部屋)で行われていました。
学生の中には2つのゼミを同時に履修していて、プログラミング以外に、児童文学のゼミを取っている方も。
その両方の知識を活かして、童話をテーマにしたビジュアルノベルゲームを開発しているところでした。
ゲームに登場するキャラクターは、すべて自分で描いたオリジナルだそうです。
ゲーム開発以外にも3Dプリンターを活用したものづくりや、オリジナルのLINE Bot、3DCGの制作など、各自が自由にものづくりに取り組んでいました。
ゼミ生に聞いてみた!
ゼミ生は7名中6名が女性でした!
そんなみなさんに、さっそくホンネをアンケート!
プログラミングを学ぶ前には、
「記号や英数字が並んでいて暗号にしか見えないので、難しそうという印象でした」
「そもそもプログラミングの存在を知らなかった」
といった声があがりました。
そんなみなさんが、プログラミングを学んだあとでは、
「暗号に見えていたものも、それぞれに意味があって、どう組み合わせると望むものになるか、そのプロセスを考えることが難しいが面白さでもあると感じました」
「意外と難しくない。理解できれば応用できる」
などと感じるようになったといいます。
もっと女の子がプログラミングに触れる機会を!
私は、自分の活動として、女子中高生にアプリの作り方を教える場を提供している中で、女の子にもっとプログラミングへの興味を持ってもらうにはどうしたらいいだろうと常々考えています。
今回取材して、あらためて思ったのは、プログラミングは、触れてみる前には難しく考えがちだけれども、実際に学んでみると、「絵を書くのが好きだったから」「ものづくりが好きだから」など、色々な入り口から、プログラミングを楽しめるようになるんだな、ということでした。
山梨英和大学ではとくに、カリキュラムの自由度が高いので、興味のある他の分野とプログラミングを結び付けて学んでいくことができることで、文系出身の学生でも、プログラミングを楽しみながら勉強できているのだと思います。
また、メディア・サイエンス領域の授業では、座学だけでなく実際に手を動かして「ものづくり」に取り組み、アウトプットをする場があるのも魅力的だと思いました。
興味を持たれた方は、ぜひ山梨英和大学のオープンキャンパスに行ってみてはいかがでしょうか!?
今回、取材してくれたアイヴィーさんこと、田中沙弥果さんが代表をつとめる「Technovation Japan」とは…
Technovation Japanはテック業界やコンピュータサイエンス領域に女性を増やす取り組みを行っているNPO。とくに女子中・高・大学生をターゲットに、コンピュータサイエンスの楽しさを感じてもらうためのイベントを開催し、女子中高生限定のアプリコンテスト世界大会であるTechnovation日本支部を運営している。これまでに6チームの女子中高生が実際に日本からTechnovationに応募し、グローバルな舞台で戦った。
HP:http://tech-girls.jp/
協力:NPO法人みんなのコード