チョコレートを科学しようレポート

 
 
バレンタイン間近の2月6日(土)東京都渋谷区にある専門学校ビジョナリーアーツを会場に「科学の甲子園 全国大会」を主催する国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)と講談社「Rikejo」によるちょっと変わった!?チョコレートイベントが開催されました。
 
 
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◎「科学の甲子園 全国大会」って何?

都道府県大会を勝ち上がった全国の高校生が学校対抗で科学の力を競い合う競技会です! 優勝チームはアメリカで開催される「サイエンス・オリンピアド」へ派遣されるとあって、日本代表の座をかけ、毎年、科学好きの高校生たちが仲間と力を合わせて、筆記&実技競技に挑んでいます。
 icon-caret-right http://koushien.jst.go.jp/koushien/

 
3月18日(金)から3月21日(月)まで、茨城県つくば市つくば国際会議場他で開催される「科学の甲子園 全国大会」を盛り上げるプレイベントとして開催された、この日の特別イベント。イベントのテーマは、ずばり「チョコレートを科学しよう」。大会を主催するJSTの河野さんの笑顔の応援メッセージで幕開けです!

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「科学の知識を生かしながら、大会本戦さながらの創意工夫とチームワークで今日のミッションをクリアして、科学の面白さをみんなで楽しんでください!」
 
 
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この日は男子も参加OK。ふだん手にしない「Rikejo」にも興味津々!?
 
 
 

甘~いチョコレートを科学の目で斬る!

まずはチョコレートを原料や成分から知る、ミニ講座からスタートです。
 

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講師は、管理栄養士で料理家の中津川かおり先生。
 
 
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チョコレートの原料はカカオという木の実。この木の実の種子を精製して取れるのが「カカオマス」「カカオバター」です。これに粉乳(乳成分)と砂糖を加え、結晶化したものがチョコレートなのです。
 
チョコレートの美味しさを決める秘密が、「カカオバター」の結晶の状態。温度によって変化する6つの結晶状態のうち、Ⅴ型という結晶で構成されたチョコレートが美味しいのだそう! 
そのためには、チョコレートを50~55℃のお湯で湯せんする作業が欠かせません。菓子職人の世界では“テンパリング”と呼ばれるこの温度調節作業も、じつは科学的根拠に基づいていたんですね。
 
 
 

【mission 1】
美味しくて、思考力がアップするチョコレートブラウニーを作れ!

イベント後半は、8つのグループに分かれて取り組むワークショップ。
まずは「限られた食材+1食材」で、美味しくて思考力がアップするチョコレートブラウニーを作れ!というミッションに挑戦。制限時間は30分です。
 

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各チームに配られた材料は、7つの食材[ミルクチョコレート3枚、ビターチョコレート2枚、バター(食塩不使用)90g、卵2個、グラニュー糖55g、米粉70g、ココアパウダー大さじ1]です。これに加えて
 ●ホワイトチョコレート
 ●牛乳
 ●ココアパウダー
 ●インスタントコーヒー
から1食材を選びます!
 
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配布されたレシピは、なんと文章がところどころ空白…。前半のミニ講座の知識を活かして、考えながら調理を進めます。
 
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制限時間内にオーブンまで持ち込まなければいけないタイムレース。湯を沸かしたり、チョコを砕いたり、みんなで作業を分担する手際の良さもカギ。チョコレートの美味しさを引き出す湯せん作業は、温度計を確認しながら慎重に…。
 
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「残り10分!」の声に焦りながらも、いよいよ調理は最終段階。溶けたチョコレートに米粉を混ぜていきます。ここで各チームの「+1食材」も投入!
 
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型に流し込んだら、いざオーブンへ! 全チームぎりぎり間に合いました。
 
 
 

【mission 2】
焼き上がったブラウニーで表面積の大きなハート型を作れ!

ブラウニーが焼き上がるのを待ちながら、次なる挑戦は…。
焼き上がってくる20×20cmのブラウニーを三角形と四角形に切り分けて、できるだけ表面積の大きなハート型を作れ!というミッション。
 

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中津川先生の見本を参考に、頭を抱えながらも、方眼紙と電卓を駆使してみんなで知恵を出し合い、設計図(?)を準備します。
 
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約20分後、部屋には甘い香りが広がり、ブラウニーが焼き上がりました♪
 
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さっそく、考えた設計に合わせてブラウニーをカット!
最初に三角や四角に小さく切るチームもあれば、紙で作ったハート型に合わせて切るチームもあり、ハートを作る手段はさまざまです。
 
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無事ハート型ができたら、面積の計算結果をホワイトボードへ書き込みます。
さぁ、どのチームが一番大きなハートを作れたのか…。
 
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なんと! 5つのチームが、ひとかけらも無駄を出さない“面積400㎠”に成功しちゃいました!!
 
 
 

5チームのハート型ブラウニーをご紹介!

同じ面積でもその形はバラエティ豊か。
デコレーションにも各チームの工夫や想いが込められた力作ぞろいです。
 

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Aチームは、大きなハートの横に小さなハートをあしらったダブルハート! いちごを上手にカットして桜に見立てました。
 
 
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Cチームは、ブラウニーをわざと裏返して濃い面を使って、生クリームの白といちごの赤を美しく演出!
 
 
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Dチームは、生クリームでスマイルマークを、フルーツでリボンやほっぺを描き、キュートに仕上げました!
 
 
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Fチームは、生クリームが苦手なメンバーに配慮し、クリームを別添えに。4人で分けやすいシンプル設計です!
 
 
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Hチームは、バレンタインらしいメッセージを書いたリケジョらしい仕上がり。丸みのあるハート型がお見事!
 
 
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最後はみんなで実食です。他のチームのブラウニーも試食し合いました。「+1食材」が違うから味わいがそれぞれに異なります。面積は小さくても、味のいいブラウニーもいっぱいありました!
発想力、計算力、チーム力などいろんな力を出して取り組んだ、“美味しくて科学な”楽しいチョコレートイベントでした!!
 
 
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お土産には中津川先生のお手製ブラウニーも配られました。
 
ちなみに…
mission1の「思考力がアップするブラウニー」におすすめの+食材は“ココアパウダー”でした。チョコレートに含まれるテオブロミンやコーヒーに含まれるカフェインは、集中力や記憶力、思考力をアップする作用があるので、勉強の合間のブレイクにいいかもしれませんね。
 

◎参加したみんなの声
「ふだんの数学の授業では、計算式とかが何に役立つのかわからないけれど、今日のような経験をすると授業でやっていることが実際に役立つことがわかってよかったです」坂尻さん(中学2年)
 
「同じチームの子たちとコラボできて楽しかったです」田島さん(高校1年)
 
「学校でイベントの案内を見て、チョコ食べたいなぁと思って友達を誘って来ました! 面白かったです」佐藤くん(高校2年)
 
「チームに女子が1人だけで最初は不安でしたが、2人の高校生が頼もしかったです」菊池さん(中学3年)
 
「今日のレシピは1人でもやってみたいと思いました」永松さん(中学1年)

 
 

「第5回 科学の甲子園全国大会」は3月18日(金)から21日(月)、茨城県のつくば国際会議場他で開催。
今年も女子校チームが全国大会に登場するほか、たくさんのリケジョの活躍が見られそう!
応援に! 来年出場のための下見に!? みんなで行ってみよう♪
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(文=峯田亜季 写真=神谷美寛)