Q:理系に目覚めたのはいつですか?
小学生ぐらいですね。もともと理科がすごく好きでしたし、父がIT関係のエンジニアで理系だったので、幼いころから家でいろんな実験をやってくれていたんです。それで理科に親しみがありました。
小学生の5~6年になると、自分でも実験をしていました。よくいろんな人から変わっていると言われますが(笑)、お風呂にペットボトルを持って入って、口の部分に石けんで膜を貼るんです。そうすると膨らみますよね。それは水圧で押されることと、熱で空気が温まって膨張することが原因と考えられますが、実際はどちらなのか? それをはっきりさせるために、水圧でも押されないビンを持って入って比べてみるとか、本当に実験していました(笑)。
だから生粋の理系ですね。そんな家庭だったので、私が大学で物理を学びたいと言ったときに、いちばん喜んでくれたのが父でした。
Q:中学・高校時代はどんなことに夢中になっていましたか?
中学時代はスポーツ少女でした。もともとソフトテニス部に所属していたのですが、県大会に一歩届きませんでした。そしたら駅伝部の先生に『駅伝で県大会に行こう!』と誘われて、普通は受験勉強を始める頃に駅伝部に入部。勉強と部活の両立は大変でしたが、県大会に出場することでしました。
高校では一転、オーケストラに夢中になりました。もともと3歳からピアノを習っていたのですが、高校に入ってからオーケストラ部でバイオリンを始めました。入学式でオーケストラ部の方が演奏するのを見て、『カッコいい。この部活に入ろう!』と思ったんです。部員が全員集まるのは週に1~2回でしたが、勝手に朝錬、昼錬、夕方にも練習して、ほぼ毎日やっていましたね。高校時代は勉強よりもバイオリンをひいている時間が多かったかもしれません(笑)
Q:大学ではどんな研究をしていたのですか?
大学には物理をやりたくて物理学科に入りましたが、数式をひねくりまわす理論ばかり勉強していると、『実際に世の中に役に立つ研究をしたい』と感じ始めました。
そう思ったときに大学にあった研究室で、一番身近で人の役に立つものが放射線治療の研究室でした。その後、修士課程まで同じ研究を続けて、博士課程に進むか、企業で働こうかと迷っていたときに、『私がやりたいのは理系の論理的思考を活かすこと。仮説を立てて検証して結果を出すことは、企業で働いてもできる』と思い、就職活動を始めました。
Q:どうしてITベンチャーで働くことになったのですか?
最初は研究にかかわる医療系の企業や研究所か、当時興味があったIT企業のどちらかを考えていました。
IT企業はパソコン一台で何でもでき、プロジェクトの最初から最後まで関わることができます。私はやるからには自分で何でもやりたいという性質ですし、会社がいまどんなことをして、どこに向かっていくのかを知ったうえで働きたかったんです。だから、最初から規模が小さく、会社全体まで見ることができるベンチャー企業に行きたいと思っていました。それで探していたら、大学での会社説明会でたまたま出会ったのがいまの会社です。
うちの会社は社風が独特です。社員の給料は全社員が集まった査定会で決めますし、同じく会社のルールも社員みんなで決めます。例えば、『出社時間を遅くしよう』と誰かが提案し、全員が賛成したら、翌日からそうなります。それに1年目の新人でも社長に自由に意見を言うことができます。
会社づくりに関わりたいという人はベンチャーに向いていると思います。また小さい会社では、仕事を頑張ってきちんと結果を出せば、新人でもいろいろな仕事を任せてくれますので、速く成長することができます。そのためにはもちろん勉強は必要ですが、バリバリ仕事をしたいという人は、ぜひベンチャーに来てほしいと思います
(文=川原田剛 写真=井上孝明)