前回のブログ「深海生物の驚くべき光の使い方Vol.1」に引き続き、
深海生物の光の使い方を紹介します。前回は3種類紹介しました。
②光で獲物を呼び寄せる「ルアー」
③光で敵を驚かせて逃げ隠れる「目くらまし」
攻撃や防御にと、巧みに光を操る深海生物。
果たして他にどんな使い方があるのでしょうか?
愛をささやく
最初は、仲間同士で連絡を取り合う「コミュニケーション」です。紹介するのは、雌雄で大きく違う特徴を持つ「ミツマタヤリウオ」。雄は体長10cmにも満たない大きさで、目の後ろに大きな発光器を備えています。一方の雌は、体長50cmほどに成長しますが、目の後ろの発光器は小さく、持っていないものもいます。雄は成魚になると、ほとんど餌を食べません。雄だけが持つ大きな発光器の光を「求愛」に使い、生殖にすべてを捧げると考えられています。
目を閉じて、想像してみてください
いよいよ、最後の光の使い方です。太陽の光は、水深200mまでしか届かないとよく言われます。しかし、人間に感じ取れないほどの弱い光は、深海にも差し込んでいるんです。目を閉じて想像してみてください。あなたは深海の底に潜んでいます。薄っすらと、青黒い光が地上から届きます。そこに、1匹の魚が現れました。あなたの頭の上を横切っています。どのように見えますか?
うっすら黒い影が見えますよね。あなたはすかさず、頭上の獲物を捕らえます。これは、実際に深海で繰り広げられている、獲物を捕まえる方法です。深海生物はよく上を見上げ、影を頼りに獲物を捕らえます。
影を打ち消してひっそりと
そこで光の登場です。光で影を消してしまえばいいのです。それを「カウンターイルミネーション」と言います。お腹に備えた発光器を光らせて、影を打ち消します。深海生物が太陽の光を感じ取る水深1000mまでの生物のほとんどは、お腹に発光器を持っていると考えられています。
前回の記事と合わせて、全部で5つの深海生物の光の使い方を紹介しました。深海の生物の多くは発光器を持っています。深海は、太陽の光が届かない暗闇の世界。だからこそ、「光」を使いこなしたものが生き残る。深海生物の多様な生き方には、いつも驚かされます。(福田大展)