深海は太陽の光が届かない「暗闇の世界」です。
確かに、そうなのですが、実際は光であふれています。
光を放つのは、深海の生物。
「光」を巧みに操り、「闇」を支配しようと、
驚くべき進化を遂げているのです。
あなたは深海生物。どう光を使いますか?
想像してみてください。あなたは暗闇に生きる、深海生物です。光をどう使って、えさを捕まえ、敵から身を守りますか?深海生物の5つの光の使い方を、2回に分けて紹介します。
赤外線を使いこなす“特殊部隊”
最初の光の使い方は、闇を照らして獲物を探す「サーチライト」。紹介する生物は、最初の写真に登場した、深海の“特殊部隊”「オオクチホシエソ」です。深海では青い光が遠くまで届くため、青白い発光器を持つ生物が多いです。しかし、オオクチホシエソは敵に気づかれにくい「赤い光を使いこなす」のです!軍隊が使用する赤外線暗視スコープのようですね。眼の下に赤い発光器があります。さらに、自らの眼も赤色を感じやすいように進化させ、“赤外線感知システム”も備えています。
光は甘い罠
2つ目は、光で獲物を呼び寄せる「ルアー」のような役割です。紹介するのはチョウチンアンコウの仲間の「Thaumatichthys axeli」です。この魚は、飛び出した上あごの先に、光るルアーをぶら下げています。大きな口を開けたまま、ルアーを発光。餌となる生物が光に集まってくると、ルアーを口の中に折り曲げて、誘い込みます。怖い!生物が口の中に触れた瞬間、口を閉じて閉じ込めて食べてしまいます。
時限爆弾で目くらまし
http://youtu.be/1xkFtv3d8MA
3つ目は、敵を光で驚かせて逃げ隠れる「目くらまし」です。紹介するのは、プランクトンの一種の「ガウシア」です。これまでに紹介した光の使い方は「攻撃」でしたが、今回は「防御」に使います。まずは、上の動画の2:46からの映像をご覧ください。ガウシアは、敵に襲われそうになると、青く光る液体を噴出。勢い良く放たれた液体が、ゆっくりになり始める約2秒後、突然、爆発したかのように閃光を放ちます。まさに“時限爆弾”。敵が光に驚いているすきに、身を隠します。
今回は、深海生物の光の使い方を、3種類紹介しました。深海生物がすごすぎて、私は深海で生きていける気がしません(笑)1日で食べられてしまいそうです。しかし、まだまだ驚くべき光の使い方があるんです。次回もお見逃しなく。(福田大展)