“人類最大の冒険”と聞いて、何を思い出すでしょうか?
私は迷わず、これを思い出します。
「地球から最も遠い距離に達した人工物体」
孤独な“独り旅”を続ける、無人探査機「ボイジャー1号」のことを。
太陽系の“端っこ”に到達!
ボイジャー1号は1977年、木星と土星を探査するために、地球を飛び立ちました。打ち上げから36年がたった現在の地球からの距離は約185億km。なんと光の速さでも17時間以上かかります!米航空宇宙局(NASA)は2012年6月、太陽系の“端っこ”に到達したと発表しました。太陽系を脱出すれば、人類初の快挙。まだか!まだか!と、注目を浴びています。
どのくらい遠いのか、実感できないですよね(笑)上の図は、太陽系の惑星と比べたボイジャー1号の位置です。惑星の大きさは拡大してあります。それでも、水星と金星、地球、火星は豆粒のようで、よく分かりませんね(笑)
夏休みの「冒険」を思い出す
私はボイジャー1号の旅を思うとき、自分の幼少時代が頭に浮かびます。あれは太陽がじりじりと照りつけ、汗が噴き出るように流れた夏休みのこと。近所に住んでいた幼なじみと一緒に、自転車を何時間もこいで、見慣れない隣町まで行きました。今となっては大したことない距離ですが、少年にとっては“大冒険”でした。ボイジャー1号の旅は、見知らぬ街へと一歩を踏み出し、馴染みの土地が少しずつ広がっていくときのような「冒険心」を思い起こさせてくれるのです。
絵画のような惑星
それでは、ボイジャー1号がこれまでに撮った、惑星の写真を見てみましょう。まず打ち上げから2年後の1979年、木星に到達。トレードマークである太陽系最大の大嵐「大赤斑」や、火山活動を続ける木星の衛星「イオ」などをカメラに収めました。私が一番好きな写真はこれです!(上の写真)「木星の大気」を写したものなのですが、とても惑星とは思えません。ムンクが描いた絵のようで、見入ってしまいます。続いて訪れたのは、巨大な“輪っか”を持つ土星。1980年に到達しました。
[caption id="attachment_1706" align="aligncenter" width="300"] 木星の大赤斑[/caption]
[caption id="attachment_1705" align="aligncenter" width="257"] 木星の衛星「イオ」[/caption]
[caption id="attachment_1707" align="aligncenter" width="300"] 土星[/caption]
大きな夢を乗せて太陽系外へ!
ボイジャー1号は、木星と土星を観測する当初のミッションを終えました。
しかし、実はさらに「大きな夢」を託されて、太陽系の外側へと向かっています!
どんな夢かは、また次のお話で・・・。(福田大展)
<惑星の画像はいずれもWikimedia Commonsより>
次のお便りは