リクルートテクノロジーズ社とRikejo製作所の有志メンバーがタッグを組み、女性がアクセサリー感覚で身につけられる新しいウェアラブルデバイスをデザインしていくプロジェクト(前回までの記事はこちら)。
デザイナーさんと何度も打ち合わせをしたり、自主的にアンケート調査を行ったり、それぞれが「これ!」と思える完成形にたどりつくまで、デザインにこだわりぬいてきた当プロジェクト。いよいよゴールが見えてきました。現在、各チームのデザイン案が確定し、実際にプロトタイプを製作しているところです。
完成したウエアラブルアクセサリーは、3月中旬にお披露目の予定ですが、その経過報告と、各チームが最終的に決定したデザイン案をプレゼンすべく、チームA、チームB、それぞれの代表がリクルートテクノロジーズ社を訪れました。
果たして、その反応は? ドキドキのプレゼンの様子をレポートします。
就活や国家試験の勉強など、忙しい合間を縫ってプレゼンに訪れたのは、チームAの筒井さんと、チームBの山本さん。この日はリクルートテクノロジーズ ITソリューション統括部の塩澤繁さんに、現状の報告を行います。
なぜか東京駅近辺で迷子になってしまい、約束の時間ギリギリに滑り込んだ筒井さんは、「どうしよう、まだ焦ってて気持ちが落ち着かない……」とポツリ。それを耳にしたチームBの山本さんからは、「じゃあ、先に私がプレゼンするから、その間に気持ちの準備して(笑)」と、なんとも仲間思いの言葉が。こうしたチームワークも、Rikejo製作所の良いところ。
会議室に、塩澤さんが現れ、
「どんなガジェットに仕上がるのか、とても楽しみにしているんです」と、優しそうな笑顔。2人とも少し緊張がほぐれたようです。が、その後、「社内でもかなり期待が高まっているんですよ。“そういえば、あれ、どんなデザインになった?”なんて聞かれることも多くて」との言葉に、再び緊張の面持ちに(笑)。
「で、では、私からプレゼンさせていただきます。」
まずは山本さんから、現在製作中の3つのデザイン案を説明します(さすがに緊張している様子)。
山本「チームBの山本です。よろしくお願いします。チームBは、メンバー3人がそれぞれ1つずつデザインを担当して、細部にまでこだわって決めていきました。まずは、私が担当したブレスレットタイプ。こちらはお風呂で使えるように、濡れても大丈夫な仕様です。ガーリーライクな花のモチーフにこだわりました」
塩澤「お風呂で使うということは、どんな機能を想定して?」
山本「女の子はよく半身浴をするんですが、花のまわりが光って温度がわかったりすると楽しいかなと思ったんです」
塩澤「なるほど。これは女子ならではの視点ですね、面白いです」
山本「続いては、こちらの時計タイプ。こちらは、リケジョなら思わずグッとくる“ベンゼン環”をモチーフにしています」
塩澤「おお~。理系女子ならではですね。時計として使えるという発想もいいですね。普通にアクセサリーとして毎日着けられそうです」
山本「課外活動や就職活動で忙しいリケジョにはぴったりだと思います。デザインはクール&フェミニンで、毎日着けても飽きないものに仕上げました。そして最後がこちら、ヘアゴムタイプです」
塩澤「この発想は男性には100%ないですよね。へえ~、髪の毛を束ねる?」
山本「実験中など、髪がじゃまになるときに使えますし、ふだんはブレスレットみたいに腕に着けててもオシャレなデザインです。テーマは“アーバン&リッチ”で、甘過ぎないリケジョっぽいクールさがポイントです」
塩澤「すごいですね。こんなにいろいろなバリエーションが出てくるなんて。想像以上のクオリティです」
山本「ありがとうございます!」
【チームB/3つのデザイン案】
山本さんのプレゼンが一通り終わり、次はチームA筒井さんの番。山本さんと塩澤さんのやりとりを聞いているうちに、気持ちもすっかり落ち着いたようです。
筒井「チームAの筒井と申します。私たちのチームは、メンバー3人全員で、3つのデザインを考えるという進め方でやってきました。みんなの意見をまとめるのは大変でしたが、その分いろいろなアイデアを反映させることができたと思います」
塩澤「プロジェクトの進め方がチームによって違うのも興味深いですね」
筒井「そうなんです。始めから決めたわけではなく、流れの中で自然とそうなったという感じです。それで、チームAの1つ目のデザインは、テーマが“魔法少女”です(笑)。ロケットタイプのペンダントになっていて、フタを開けるとLEDが光ったり。これは、研究や実験に忙しいリケジョでも乙女心を忘れないで、という意味も込めてデザインしました」
塩澤「すごく美しいデザインですね。色も上品で」
筒井「流行色でもあるピンクゴールドを採用しました。そして次は、先ほどのチームBのデザインにもありましたが、チームAも“ベンゼン環”モチーフのアクセサリーを1つ考えました」
塩澤「やっぱり人気なんですね、ベンゼン環(笑)」
筒井「そうなんです。有機化学や薬学に親しむ人には特に、なじみの深いものなので(笑)。私たちはこのモチーフで“シンプルモダン”をテーマに、クリアガラスにラインストーンをあしらってみました」
塩澤「これは、どんなアクセサリーに? ブレスレット?」
筒井「(少しニヤリとしながら)実はこれ、ネックレスにもヘアゴムにもブレスレットにもなるという仕様なんです。アタッチメントでパーツを付け替えれば、その日の気分でいろいろなアクセサリーに変えられます」
塩澤「おお~、それはすごいですね!」
筒井「あと、自分の好きな色を選べたり、好きな言葉を刻印できたりして、自分好みにカスタムできたらなお良いなと思っているところです。そして、最後はこれ。遊び心を最大限に表現したスノードーム型です」
塩澤「これ、インテリアとして置いておくのもよさそうですね」
筒井「そうなんです! 中に入れる飾りのモチーフもいろいろなバリエーションで展開できたら面白いかなと思います」
塩澤「これは、モチーフによっては男性も欲しくなるかもしれませんね」
【チームA/3つのデザイン案】
山本さん、筒井さんともに、熱のこもったプレゼンをすることができ、塩澤さんも終始、デザイン画に目が釘付け。これは、予想以上に好感触?
そこで山本さんから、「全部で6つのデザインを提案させていただきましたが、この中で特に印象的なものはありますか?」と積極的な質問が。筒井さんも「ぜひ、ご意見を聞かせてください」と、すっかり緊張も解けた様子。
「どのデザインも素晴らしく、実際に完成したものを早く見てみたいなと思いました。ベンゼン環モチーフの2デザインも、発想がとても面白いですし。僕は男性なので、個人的にはスノードーム型に興味をひかれていますけどね(笑)」との言葉をいただくと、2人とも満面の笑顔に。
逆に塩澤さんからも2人に質問が。
「今回のデザインで一番苦労したのはどんなところですか?」
山本「リケジョは実験や研究に費やす時間が多いこともあって、そういうときの用途を考えていましたが、機能だけを追究するのではなく、誰もが欲しいと思えるような、スタイリッシュなデザインに仕上げるにはどうしたらいいかと悩みました」
筒井「ガジェットの基盤自体が、一般的なアクセサリーよりも大きいので、それを違和感なくどうデザインに落とし込むか、一番苦労したのはそこです。」
その後もデザインについてのこだわりや、製作過程での悩みなど、話は非常に盛り上がり、想定していたよりも長い時間でのミーティングとなってしまいました。最後に、塩澤さんからは、こんな嬉しいお言葉も。
「リクルートテクノロジーズのおもちゃのような無骨なガジェットが、こんな素敵なアクセサリーになり得るとは、僕自身想像もしていなかったので、今日はとても楽しいプレゼンでした。どんな人がどんなシーンで使うのか、というところまできちんと考え抜かれてデザインされているので、もし一般に販売したとしても、女性たちに喜んで使ってもらえるものばかりだと思います。あとは実物ができあがるのを待つばかりですが、3月のお披露目会を心から楽しみにしています」
というわけで、2チームとも、デザインに対するクライアントの評価は上々!
次回はこれらのデザインが、いよいよ実際のウエアラブルアクセサリーとして完成します。
仕上がりは? 着けてみた感じは? 次回のレポートも見逃せません♪